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唄はそばに

BUMP OF CHICKEN「流れ星の正体」を聴いて

タイトル通り『流れ星の正体』の話をしたいところだが、その前に少し昔の曲の話をしたい。
 

BUMP OF CHICKENの通算6枚目のアルバム『COSMONAUT』の中に『イノセント』という曲がある。
もう9年近くも前のアルバム曲だが、『イノセント』という曲は、BUMP OF CHICKENの音楽そのものを表しているように感じていた。
 

「君がどんな人でもいい 感情と心臓があるなら 君の力になれるように 気付かれなくとも 唄は側に」

「誰の声か どうでもいい 言葉と音符があるだけ ただ力になれるように 愛されなくとも 君の側に」
 

どちらも『イノセント』の歌詞の一節である。
BUMP OF CHICKENの音楽は、まさしくこういうものだと思っている。常日ごろから彼らの曲を聴いている私からすれば、BUMPの曲を忘れることもなければ離れることもそうそうない。

しかし、ふとした瞬間に、何気なく聴いた彼らの曲に、理由も分からず涙が出てきたり、心を溶かされてしまったりすることがある。そういう経験が、これまでに何度もある。

今まで何回も聴いてきたじゃない?なんで今ごろ?って思う。それでも、そのとき耳に入ってきた音楽が、いま自分の置かれた状況や気持ちに共鳴する。今まで気づかなかったような感情に気づかされたような、あぁ私はこうしたかったんだと急に理解したような、そんな気持ちになる。
 

でもこれはきっと逆で、『イノセント』の歌詞が言うように、彼らの音楽は、いつか聴く人の力になれるように、万全を期して、私たちのそばにいてくれているのだと思う。そしてそのときがやってきたとき、その威力をここでもかと発揮する。その瞬間、理解するのだ。この曲はこのときのために私の中にあったのか、ずっとそばで待っていてくれたのか、と。
 
 

さて、7月10日に彼らのニューアルバム『aurora arc』が発売され、7月12日には埼玉・メットライフドームから、ツアー『aurora ark』が始まった。

『aurora arc』の最後を締めくくる曲として、『流れ星の正体』というものがある。この曲の歴史は古い。もともとはVo&gtの藤原さんが長年やっていた連載が最終回を迎えた際に作られた曲であり、その後すぐに発表された彼の弾き語り音源を聴いたのはもはや2年半ほど前だ。
そして今年に入ってついに2番までの弾き語りがYouTubeにて公開され、リスナーはこの曲と2年越しの再会を果たしたのである。

そして、やっとアルバムの1曲として聴けると思い、楽しみにCDを聴いた。しかし驚くべきことにこのたび発売された『aurora arc』では、『流れ星の正体』がさらなる進化を遂げて私たちの前に現れたのである。

いやいやいやこんな曲だったなんて聞いてない、初めてアルバムを通して聴いたとき私は目と耳を疑った。2番まで聴き、ふと歌詞カードを見るとまだ続きがあるし、耳の中では曲がまだ続いているではないか。

あ、これはまずい、と思った。聴き終わって、呆然としてしまった。理解が追いついていなかった。でも同時に思い出した。あぁ、BUMP OF CHICKENはこういうバンドだった。
 
 

「君が未来に零す涙が 地球に吸い込まれて消える前に ひとりにせずに掬えるように 旅立った唄 間に合うように」

「太陽が忘れた路地裏に 心を殺した教室の窓に
逃げ込んだ毛布の内側に 全ての力で輝け 流れ星」
 

思い返せば今まで、つらいことはいっぱいあった。いや、人と比べたら自分は楽で恵まれた方だと思う。それでも嫌なことはあったし、つらくて泣いてしまうことも自分が嫌いになることもたくさんある。楽しそうな人や笑っている人を見て、自分は陽の当たらない側の人間だと思ったこともあるし、教室の隅で自分の声を押し殺すことも多々あった。

そんなときも、いつものようにBUMP OF CHICKENの曲を聴く。彼らの曲を聴くと、一人だけど独りじゃなかった。
彼らのもとから旅立った唄は、ずっとうずくまって下を向いていた私の頭上に輝いて、上を向かせてくれた。
 
 

「お互いに あの頃と違っていても 必ず探し出せる 僕らには関係ない事 飛んでいけ 君の空まで 生まれた全ての力で輝け」
 

この曲を聴いてさらに感じた。『イノセント』でも歌っていたように、BUMP OF CHICKENの曲たちは、その言葉と音符をもって旅立ち、聴く人の空に輝く。
そして、私がそれに気づいたとき、そのすべてをもって掬ってくれる。
 

きっと私が笑った日も笑っていられなくなった日も、彼らの曲はそばにいるのだ。
私の体の中に、記憶の中に、感情の中に、もしかしたら大切な誰かとの間とか、ものとか、場所とか時間とか、そういうところにもいるのかもしれない。
そのどこかでBUMP OF CHICKENの曲が待ってくれていて、ふとそれに触れる瞬間が来たとき、あぁなんだ、ずっとそんなところにいてくれたのかって気づくのかもしれない。
そういう仕掛けをもった音楽がBUMP OF CHICKENなのかなぁと、そう思う。

そんな彼らの曲たちだからこそ、私は大好きなのだ。いつもどうもありがとう。ずっとお世話になっている曲も、今後再会するかもしれない曲も、これからもよろしくね。
 
 
 

「」内はBUMP OF CHICKEN『イノセント』『流れ星の正体』から引用。

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