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“mol-7.4”

7月4日、mol-74がくれた1年でいちばん特別な夜

あなたたちに出逢わなければ知らなかった感情をたくさん教えてもらいました。
あなたたちに出逢わなければ見ることができなかった景色をたくさん見せてもらいました。

mol-74に、mol-74の音楽に出逢えたことは私の人生の中でも大きな意味を持ちました。
 
 

バンド名に因んで、毎年7月4日を「モルカルの日」と称し、影響を受けたアーティストをゲストに招き、いつにも増して特別なライブを届けてくれるmol-74。
今年はGOOD ON THE REELをゲストに招いての公演でした。

セットリストも普段のライブではなかなか演奏できないような曲を盛り込んでいたり、7月4日という日が特別な日であることを改めて感じるような。
よくライブで演奏される曲はもちろん、久々に生で聴いた曲も私の中ではとてもとても大きな存在であり、mol-74の音楽に出逢い、ちゃんと好きになった自分のセンスは素晴らしいとさえ思ってしまいました。

ライブ中盤で衝撃を受けたのは、僕らがGOOD ON THE REELを知った頃に書いた曲をと、もう今ではライブで演奏されることも滅多にない、既に廃盤になっているアルバム「18%の描いた季節」より「その瞬間に」を演奏してくれたこと。

頭がおかしくなりそうでした。
決して悲しいわけじゃない、驚きだけであんなに人間って震えるものなんだと、零れる涙はそのままに、視界が滲んだままステージを見つめました。

「悲しみの合図 夜明けを待つ街 魔法は解けて
  人差し指に触れた冷たい風で目が覚めて」
(その瞬間に / mol-74)

ああ、ずっと昔からあなたたちは夜明けに向かっていて。
メジャーデビュー後、はじめて迎えた7月4日の夜にとんでもない衝撃を残していってくれました。
 

アンコールではGOOD ON THE REELの「写窓」をカバーしていたmol-74。
ラストサビでは千野さん(GOOD ON THE REEL Vo.)ご本人登場、ボーカリストおふたりによる力強い歌声。
両バンドが好きな私にとっては、本当に何が起きたかわからなくて、でもきっとあの瞬間のことは一生忘れないだろうなと思うくらい、純粋に楽しくて幸せに満ちた時間でした。
 

あなたたちの演奏にはいつも、自分の欠落している部分を見透かされた気さえしてしまいます。
それに加え、私が欲しかった言葉を、心の平穏の為に誰かに掛けてもらいたかった言葉を、他でもないあなたが、あなたたちがくれました。

決して誰かを救おうとしている訳ではないのだろうけれど、いつも私はmol-74の音楽に救われています、勝手に。
中には自分の為に書かれたのではないかと錯覚してしまうくらい、私が言いたかったことを私以上に上手く表現してくれる曲だってあります。
私自身が経験したことはあっても、敢えて言葉にはしてこなかった感情を言語化してくれたような、そんな曲たちも多いのです。

「寝顔も、笑顔も、優しい泣き顔も
  瞼を開けば映ってたのに
  寝顔も、笑顔も、優しい泣き顔も
  瞼を閉じれば映ってるのに」
(瞼 / mol-74)

mol-74の曲は、武市さんの書く歌詞は季節感や温度感を手に取るように感じられるものが多いと思っています。
過ぎてしまった過去を、こんなに心が締め付けられるような言葉で表現できる方がいるのだと、聴く度に苦しいくらいに愛おしく感じてしまうのです。

深海に射すひかりのようだったり、肌寒さが残る時期の優しい春風のようだったり、美しく輝きながらも儚く消えてゆく花火のようだったり、mol-74の音楽に対して感じる比喩表現はたくさんあれど、どんな言葉で表現してもどこか輪郭がぼやけてしまって。もっと上手い喩えがある気がしてしまうのですが、きっとどんな言葉を使っても、彼らの音楽を適切に表現することはできません。ただ、時につめたくて、時にあたたかくて。幸せな気持ちで満たしてくれるのはmol-74の音楽の特徴のひとつかな、と思っています。
 
 
 

メジャーデビューという大きな転機を迎えた今年、ここに来るまでに私たちリスナーに見えないところで、あなたたちは一体どれだけの苦労を重ねてきたのですか。
この春のツアーで仰っていた「自分たちが一番かっこいいと思うものを詰め込んだ“▷ (Saisei)”のアルバムで結果が出なかったらバンドは解散するつもりだった」という話も踏まえると、何事もなく平和に長年「mol-74」をやっているわけではないと思いますが、それでもブレずに「変わらずに変わってきた」あなたたちは何よりもかっこいいです。
 

好きなのに好きと言えなかったやり切れない気持ち、後悔したもの、失くしてしまったもの、諦めてしまった夢。私はそういったものに蓋をして今まで生きてきました。人間というのはすごいもので、そうして蓋をしまくっているうちに蓋をしたことすら忘れて生きていけるのですね。そんなものはじめからなかったみたいに。
私がきつく閉めたはずの蓋を緩めたのはmol-74でした。
無意識に抱え込んでいたもの、吐き出し方がわからなかったもの、あなたたちの演奏を聴くと全部全部涙と共に溢れて止まらなくなってしまうのです。

私が知っている既存のミュージシャンの誰とも違う、「唯一無二」という言葉がいちばんぴったり当て嵌まる人たち。
たまらなく愛おしくなったり、心臓がぎゅうっと握られるような気持ちになったり、でもそれでも、その感情のすべてが幸せに思えて、私はまだまだあなたたちの音楽に溺れたままでいます。
感謝の気持ちを伝えようにも、ありがとうでは決して足りないのにありがとうしか出てきません。私の言葉が、もっとちゃんとあなたたちに届くくらい熱を持てばいいのに。

――今思えば、2019年7月4日の京都は早朝から大雨の予報でしたね。前の日に天気予報を見て、傘持っていかなきゃ、なんて思っていたもの。
「“18%の描いた季節”の“18%”って何の数字なんですか?」と訊ねたときに昔武市さんが教えてくれました。「18%は天気予報が外れる確率です」と。
あの日も天気予報が外れていました。晴天ではなかったものの、少し雲がかかって湿気を含んだ、夏が始まる匂いがするようなあの日。元々は大雨の予報だったあの日。
2019年7月4日、あの日は「18%」に当て嵌まる日だったのですね。

いつだって「雨のように 風のように 優しかった」あなたたちが、溢れんばかりの幸せを手にできますように。
私もあなたたちに負けないように、今からは想像もつかない未来に立っていられるように、あなたたちを好きでいることに恥じないように、精一杯生きていこうと思います。
来年の7月4日、またきっと私の知らない世界に連れていってくれること、楽しみにしています。

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