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世界はまだ終わっていない

RADWIMPSの「愛にできることはまだあるかい」について

「愛にできることはまだあるかい」は、新海誠の新作映画『天気の子』の主題歌として作られた、RADWIMPSの楽曲だ。この感動的な映画の観客は、エンドロールで流れる曲の歌詞を聴きながら、正に『天気の子』の主題歌として相応しいと感じるだろう。しかし、RADWIMPSは、一方で本作に寄り添いながら、同時にRADWIMPSというバンドとしての表現を、自己言及的な形で行っている。

RADWIMPSはいままで、愛の歌ばかり歌ってきた。その多くは、愚直な、時には恥ずかしくもなるような愛の歌だ。

「愛にできることはまだあるかい」では、そんな自分たちの過去を振り返り自問する。愛の歌が歌われ尽くしたように思えるこの世界で、まだ愛の歌を歌う意味はあるのかと。そして、それはあるのだと、希望への意思を示す。

これは切実で、胸を打つメッセージだ。愛の歌だけではない。映画も、ゲームも、アニメも、文学も、ワクワクするような科学技術も、そして経済成長も、何もかもがやりつくされてしまったのではないか。セカイは袋小路で、私たちはこれから下降してゆくだけなのではないか。そのような絶望感を抱いているひとは、少なくないはずだ。
 
絶望は、ひとを無気力にする。「どうぜ何にもならないなら、どうでもいい」と。ある者はノスタルジーに耽溺する。それらは、私たちの死期を早める。本来ありえたはずの未来さえ手放させてしまうだろう。それは最も愚かで悲しいことだ。出口の見えないトンネルの中でも、私たちは希望を失ってはならない。「僕にできることはまだある」し、「君」にできることも、まだあるはずなのだ。

『天気の子』において、欺瞞に満ちた社会に抵抗し、愛のために奔走する主人公の帆高。RADWIMPSの希望のメッセージは、そんな彼と共振し、今夏多くの人びとに勇気を与えるだろう。

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