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完全無欠のロックバンドの形

UNISON SQUARE GARDEN、プログラム15thを見て

「UNISON SQUARE GARDENを好きでいてくれる人をできる限り大切にしたい。大切にする方法を一つだけ知っています。それは……」
 

斎藤宏介が15年の想いを込めたMCに涙した7月27日、大阪、舞洲スポーツアイランド。
UNISON SQUARE GARDENにとって初めてのアニバーサリーイヤー。その目玉となるこの日にあったこと、そして感じたこと……
今回は彼らが魅せた完全無欠のロックバンドの形を、思うがままに語ろうと思う。

前置きとして、UNISON SQUARE GARDENは、ライブハウスで音を鳴らすのが1番よく似合うと私自身考えている。メンバーもライブハウスでやるライブを好んでいるように感じる。「目立たない路地裏で(プログラムcontinued)」音を鳴らすことにこだわり、かつ見たい人が全員見られるキャパで、という絶妙なバランスを保ちながら会場を選んでいる印象だ。
そんなロックバンドが、舞洲という2万人超え、しかも野外という場所を選んだ。(田淵は、野外でのライブをあまり好いていないことをブログで述べている。)普段の彼らからは想像できない会場で15周年のお祝いを行う。
その時点でもう、感動する要素が詰まりに詰まっているのだ。
 
 

始まりは、毎回使われているSE「絵の具(イズミカワソラ)」の旋律に高まる緊張感の中での斎藤のアカペラだった。思わず息を呑んだ。その曲は、長年ライブで披露されて来なかった「お人好しカメレオン」だったからだ。この曲が1曲目に来たことで、15周年という特別感が顕になった。

初めこそ、なかなかお目にかかれない曲で始まったが、その後はいつも通りともいえるUNISON SQUARE GARDENの姿がそこにはあった。
特別な演出をするでもない、かっこいい演奏をかっこよくこなす。ただそれだけだ。
特に、「10% roll, 10% romance」からドラムソロを挟んで「シュガーソングとビターステップ」までの畳み掛けるような流れはこれぞユニゾンと言うべきであり、1秒たりともステージの3人から目が離せなかった。

しかし、その通常通りとも言える演奏も、日々進化し、洗練されてきて今日に至る。UNISON SQUARE GARDENがかっこいいと思うのは演奏力だけではない。余計な要素を根こそぎ排除したライブを行うからだ。
MCでも触れられていたが、今でこそ煽るのはダサいと各所で発言するユニゾンもかつては、煽ることもあり、ドラムセットに飛び込むことや、大きなバルーンが登場することもあった。そういった演奏以外の要素が削られて今に至る。
お祝いのライブでも、今の自分たちにできる最大限のシンプルかつ、かっこいいライブを用意してきた。
「アンコールはありません。」
斎藤宏介がこう言い放った時にそう感じたのだ。
もちろん、アンコールがないことがかっこいい訳では無く、彼らの場合は、アンコールまでの流れを排除し、1曲でも多く演奏することを選んだと捉えられる気がする。それこそがかっこいいに値する。
鈴木「今日のライブ、かっこいいわ。自分とチームが誇らしい。」
田淵「UNISON SQUARE GARDENちゅうのは、すげぇバンドだな。」
2人のMCから溢れ出る自信も、見ていて心地が良い。
 

ところで、UNISON SQUARE GARDENは今回のライブにどのような想いを込めたのだろうか。
もちろんMCで三者三様、思いの丈を語っていたが、1番は彼らの歌に込められていると思う。
歌詞の「君」を主語としたフレーズに注目すると、背中を押してくれるような、前向きになれる楽曲がセットリストには多く含まれていることに気付く。
その一部だが、
「僕は僕のために〜君のために君はいるんだよ(お人好しカメレオン)」
「君が笑ったから 僕も笑えただけだよ(流星のスコール)」
「その果てであなたが待っている事を信じたいんだよ絶対にね(リニアブルーを聴きながら)」
「君に言ってるんだ。(プログラムcontinued)」
「君と笑っていたいとか(harmonized finale)」
「今 目の前の君が明日を生きれるくらいには (桜のあと(all quartets lead to the?))」
「僕がいて あなたがいて それだけで 十分かな(オリオンをなぞる)」
などが挙げられる。
ファンは所詮他人と謳っていながらも、15周年をお祝いしに駆けつけたファンに対しては正面を向いて応えてくれた、そう感じるものがあった。

特に鳥肌が立ったのは「さわれない歌」だ。
「もしも僕が君の目の前まで来て 何かできることがあるとしても この手は差し出さない」
ユニゾンなりのファンとの距離のとり方を表している。「出した答えは君だけのもの」だから、メンバーがファンに近づきすぎず、それぞれの人生を生きるという意味でも「ちょうどいい温度感であれ」と願っているのだろう。それぞれの人生の中でまたライブを通じて出会うことがあるなら、その時は楽しくやろう!
それが、ユニゾンとファンの関係性なのだろうと思う。

そんな関係性を大きく表したのが斎藤のMCであった。
UNISON SQUARE GARDENを好きでいてくれる人を大切にする方法、それは……

「これからも自分のために音楽を続けていくこと」

斎藤はそう語った。自分のために音楽を続ける第一歩として最後の挨拶は、「15周年、ありがとうございました」ではなく、「15周年、お疲れ様でした」であった。もちろん15年間のどこかで関わってきたファンへの労いの言葉にも捉えられるが、15年間走り続けてきた自分たちへのメッセージを意味していたように感じる最後だった。
 

15年のお祝いを経て完全無欠のロックバンドはまた旅に出る。「誰にもさわれない歌」を歌いながらずっと……

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