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ジャネールモネイの単独公演を観て、

Janelle Monáe at Zepp DiverCity Tokyo

7月24日、Zepp ダイバーシティにて行なわれた、Janelle Monáeの一夜限りの単独公演を観に行った。

アメリカを中心に、世界各国でその奇抜でエンターテイメントに溢れるステージが賞賛を浴びる彼女、今年はフェスティバルを中心に世界を廻っている。そんな多忙を極める中、実現された単独公演。しかしながら、今回の日本公演でチケットはソールドアウトにならなかった。(このことに対する見解は後半に話す。)

客層は20代後半から30後半の女性が多いと言ったところ(なので21の男子大学生の自分は浮いたと思う)。仕事帰りのサラリーマンの姿もちらほら。正直、ジャネールモネイのコンサートにスーツ姿で、踊りもしないでじっくりと観るなんてことは筆者には当分理解し得ないが、それは仕方がない。その辺はジャネールも「日本特有のコンサートの見方」を感じてくれたのではないだろうか。

開演前にはChance the RapperのGRoCERIESやLizzoのTruth Hurtsなどのヒットナンバーが並んでいた。そのヒットナンバーの幕を破るように照明が落とされ、一瞬の歓声と共に彼女を迎える雰囲気を帯びた沈黙が会場を覆った。そして、その沈黙を突き破るようにしてオープニング曲のリヒャルト・シュトラウスのAlso Sprach Zarathustraが流れる。今回のアルバムのコンセプトの一つ「未来」にもバッチリとあう登場曲とともに、煌々と光るステージに彼女が降り立った。それまでの沈黙が、歓声を超えた域へと達し、アルバムの一曲目、Dirty Computerが始まる。この曲はThe Beach Boysのブライアン・ウィルソンとの共作である。アルバムのテーマ曲と呼んでもおかしくないこの1曲で、観客を一気にジャネールワールドに引き込んだ。

その後、前2作の楽曲をちりばめながら次々と展開されていくステージ。全セットリストの約40%以上が前2作からの楽曲であり、全体としてバラエティに富んで、尚且つまとまりのあるステージだった。Pynkの際には女性器スーツを着てキュートに踊る姿にサラリーマン達は引き気味ではあったものの、それもある意味で「リアル」が追求されたステージを感じさせてくれた。I Got the Juiceの際にはファンをステージに上げ、躍らせた。ジャネールがYou got the Juice?と聞いているのにI like the juiceと答えていたのには苦笑いではあったが、ファンのダンスに会場は盛り上がりをみせた。

後半はLGBTに属する人々、マイノリティに分類される人々への理解と平等を訴えるスピーチにより、エモーショナルな空気が会場を覆った。その中で歌われるCold Warは会場の空気を保ちながらも、それぞれが持つ孤独的な心情を鼓舞するものとなっていたと思う。
ジャネール自身、黒人女性でレズビアンであり、母国アメリカでは、誰が受けたとしても嬉しくはない扱いを、少なからず受けてきたはずであろう。その彼女自身の持つ個人的背景を反映しながら、「多く」の「マイノリティ」に捧げている言葉の数々は、2019年のトランプ時代、安倍時代、に生きる人々の心を強く打っているに違いない。

世界は今、大企業が我々の生活を囲い、トランプ政権や安倍政権の経済政策はその大企業をプッシュするものとなっている。このような政府による大衆に向けられている社会の流れから、はみ出してしまう人々が少なからずいるはずであろう。それがまさに今、アメリカのジャネールモネイに対する熱を加速させていると言っても過言ではないであろう。
日本はこれからオリンピックや万博といったビックイベントを控えているからこそ、社会的マイノリティに対するケアが薄れてしまうことは安易に予測できる。そんな時代だからこそ、我々には彼女の曲が必要で、そして、彼女の訴えに賛同するべきではないのだろうか。

また、海外と日本ではまだまだLGBTに対する理解に差があると強く思う。日本のテレビに映るゲイの姿は、どことなく笑い者扱いをされているように感じるし、一般人の彼らに対する理解も、そのようなテレビの影響をもろに受けた状態になってしまっている。LGBTの人々に限らずマイノリティに数えられる人々が、もっと彼女の音楽に触れて欲しいし、できることならば「生」で聞いていただきたい。もしもう一度彼女が近い未来、日本でコンサートを開いてくれると言うならば、そのときにはソールドアウトの表示が見れることを願う。そのときには、日本はさらに多くの人々にとって「生きやすい国」になっているパワーに溢れているであろう。

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