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2017年6月19日

じぇい (29歳)

2017年日本は踊る!夜ダンと恋に落ちる!

夜の本気ダンスがツアー初日に見せた本気のグルーヴ

夜の本気ダンス(通称:夜ダン)は2008年に京都で結成され、2016年にアルバム『DANCEABLE』にてメジャーデビューを果たした4人組のロックバンドである。
若手バンドが数多く活躍し鎬を削る昨今、彼らの音楽・スタイルの大きな特徴はUKロックのルーツが色濃く反映されていることである。
 

筆者はそんな彼らの2017年6月4日にZepp Osaka Bayside(大阪府)で行われた「No rain,new days o’scene」ツアーの初日に参戦してきた。

突然だが、皆さんは
『2005年世界は踊る!フランツと恋に落ちる!』
というフレーズを聞いたことはあるだろうか?
これは夜の本気ダンスのボーカル・ギターである米田貴紀が愛してやまない洋楽アーティストの一つFRANZ FERDINAND(フランツフェルディナンド、2004年にデビューした英の人気ロックバンド)の2ndアルバム『You Could Have It So Much Better』の日本盤の帯に書かれていたキャッチフレーズである。
私は今回の夜ダンのライブを見て、その言葉を借りて『2017年日本は踊る!夜ダンと恋に落ちる!』というフレーズが真っ先に頭に過ぎった。
それぐらい最高に熱くて踊れる夜だったのだ。
 

今回の「No rain,new days o’scene」ツアーは、夜の本気ダンスにとって2017年2度目の全国ツアーである。
全国8カ所のうち、初日大阪とファイナル東京のみワンマン、あとは対バン形式で行われる。
昨年の秋に、結成当初からのメンバーであるギター・町田建人が脱退し、代わりにかつてからメンバーと面識があった西田一紀が加入した夜ダンだが、今回のツアーは西田が加入してから2回目の全国ツアーでもある。

なお、ツアーは現在行われている最中のものなのでセットリストは伏せつつ、伝えられる範囲で当日の興奮をお伝えしたいと思う。
 

今回の大阪での会場は夜ダンのキャパ史上最大のZepp Osaka Bayside。
国内最大級のライブハウスでキャパは最大で2800人越え。
京都在住バンドで、関西に拠点を置く夜ダンとしてはどうしてもソールドアウトさせたいと願っていたようだが、そこは残念ながら完売には至らなかったようだ。

会場に入ってまず感じたこと。
それは「今回のツアーは色々とお金がかかっている」ということ。(笑)
SNSでも事前に告知されていたが、今回のツアーでは記念撮影用の巨大パネルがあったり、ツアー名「No rain,new days o’scene」→「暖簾に腕押し」に引っ掛けてピンク色の暖簾がかかっていた。
まさに遊び心も“本気”である。(笑)

ステージ全体には真っ赤な幕がかかり、中心にはバンドのロゴのライトが妖しく輝いている。
そして天井にはシャンデリア。
こういったステージセットには特別な意味があるらしい。
この赤い幕とシャンデリアは、彼らが思い入れのあるライブハウス・梅田シャングリラ(通称:梅シャン、大阪・梅田にあるキャパ400人程度のライブハウス)をイメージしているとのこと。
「常に初心を忘れない」というメンバーの決意の表れらしい。

また、個人的に今回のツアーで注目していたのはボーカル・ギターの米田とベースのマイケルの新しい楽器である。
米田は以前はフェンダーの赤いテレキャスターを使用していたのだが、新しいギターも赤いテレキャスター。以前の物より艶があり、より舞台に映える赤であった。
そして、マイケルが昨年からFreedom Custom Guitar Researchに依頼していたオーダーベース。それがこの日にお披露目だったのだ。
色は紫で黒のピックガード。自身の好きなアメコミのキャラクターを意識したデザインらしい。ちなみにアンプやエフェクターなどの機材もだいぶ弄ったとのことなので、個人的にはマイケルの響かす低音に大注目な今回のライブであった。
 

今回のライブは、現在の夜の本気ダンスの持つ全ての力を注ぎ込んだ、まさに“本気”を感じさせてくれるような熱いライブであった。
筆者が特にそのように感じたポイントが2つある。

①グルーヴの美しさ
筆者は過去に何度か彼らのライブに足を運んだことがあるが、この日のライブでは今までとは明らかに違うグルーヴの完璧さに驚かされた。
まず、先に述べたマイケルの新しいベースの音が物凄く良かったのだ。
ゴリゴリさの中に“音の丸さ”もあり、とても艶のある音であった。
そして、鈴鹿秋斗のドラム。あの細い身体からは想像ができないパワフルなドラムを長時間、なおかつ安定感を保ちながら叩き続ける鈴鹿。さらにコーラスをこなし、得意のMCでも客を煽り、より楽しませる器用なバンドマンである。

この日は演奏中にマイケルと鈴鹿が頻繁にアイコンタクトを取っていたのが印象的であった。ベースとドラムの息がぴったりで、最高のグルーヴが生まれていたと思う。
そしてもちろん、ギター組である米田、西田とのコンタクトもバッチリであった。
鈴鹿を中心にメンバー全員が見つめ合い、とにかく演奏の一体感がすごい。

以前、たまたま見ていたテレビ番組で、あるお笑い芸人が「コンビ仲が上手くいっているかいないかは、ネタ中に目を見れば分かる」と言っていた。「目が合っていることは関係が良好な証である」と。
これはバンドにも通じることではないだろうか。

冒頭でも述べた通り、夜の本気ダンスは昨年ギターがメンバーチェンジをした。
前ギターの町田が脱退する意向を伝えたとき、残されたメンバーは「今後このバンドでやっていけるかどうか」と各々が葛藤したという。
悩んだ末に至った結論は「西田一紀をメンバーに加え、続ける」。
そして、今年1月から西田を迎えた編成での初めての全国ツアー「Too Shy A Key TOUR 2017」を行う。西田と共にツアーを乗り越えて得た「このメンバーでならやっていける」という自信。
さらに、メンバー内で唯一会社員をしながらバンドを続けていた鈴鹿。そんな彼の「会社を退職し、バンド一本で生きていく」という決断と覚悟。
こういった様々な思いがバンドを一つにし、今回のライブで最高のグルーヴを生み出したのではないだろうか。

②曲の繋ぎの美しさ
各々のパートの見せ場を設けて、スムーズかつ魅せるような曲と曲の繋ぎ。
あまりにもその繋ぎが美しすぎた。
通常、一曲が終わると拍手などにより場内は一旦クールダウンするのが一般的である。しかし、今回のような魅せる曲の繋ぎ方により観客にその隙を与えず、冷めるどころかさらに増していく興奮。
気付けば会場の後ろまで熱気が満ち溢れ、全ての観客が思い思いにそのビートに身を委ねていた。
 

そして、夜ダンのもう一つの魅力であるMC。
そう、しゃべり過ぎて“MCモンスター”という異名を持つ鈴鹿のおしゃべりである。(笑)
今回の会場が大阪の某有名テーマパークから一駅ということもあり、やたらそれ関連のネタを入れてくる。
鈴鹿が突っ走るのをさらりと突っ込むマイケルとの絶妙なやり取りはまさに圧巻である。
また、「今回、夜ダンのワンマンに初めて来た人?」という質問をしたところ、なんと会場の半分以上が挙手。
初めての人にも親しみやすいように、マイケルがメンバーを某テーマパークのアトラクションに例えながら一人一人紹介する。
ちなみに甘いものが大好物である西田はアトラクションではなく「チュロス」と例えられていた。(笑)そこで普段は寡黙な西田が「アトラクションじゃないやん」とボソッと呟く。
この各々のキャラが際立っている感じが、バンドそのものをより愛おしい存在にしてくれている気がする。

MCに関して特に印象に残っているのは先述のメンバー紹介と梅田シャングリラの件以外にあと一つ。米田の言葉である。
「皆さんはライブを見るときはどこで見ますか?僕は後ろです。
『前だから愛が強い』とかそういうことは無いと思います。一人一人が見たいように見れば良いと思います。」
という言葉。正直しびれた。
昨今のライブイベントでよく見かける“騒ぎたい若者が前方を埋め尽くし、純粋に音楽を聴きに来ている人間がモッシュが怖くて前に行けない”という矛盾を誰も傷つけることなくやんわりと指摘してくれた米田の言葉は個人的に心に突き刺さった。
 

ライブ自体の熱さはもちろん、彼らの人間的な熱さにも完全にやられた。
恐らくこの日のライブは、現在の夜の本気ダンスにおける最高傑作であったと思う。
その日、その時間、会場にいた全ての人間が確実に夜ダンに恋をしていた。
 

そんな夜ダンは8月9日にシングル『TAKE MY HAND』のリリースが決定。バンド史上初となるドラマのタイアップも決まった。
若手ならではの勢いとUKロックのトラッドを掛け合わせ、唯一無二の存在へと進化していく夜の本気ダンス。
彼らへの恋心はまだしばらく冷めそうにない。

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