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THE WIND AND THE SUN TOUR2019

信じたものは手放すな。音楽の力を信じ続けたFUNKIST20年の軌跡

プロレス好きの友から。

「SEAdLINNNGの試合会場であんたが好きって言ってたFUNKISTの曲が流れてたよ。すごくよかった」

という謎LINEが来た。

SEAdLINNNGは現在、代表でもある奈七永選手、世志琥選手、中島選手の三名と専属レフリーの南月たいようさんが所属する女子プロレス団体だ。
思いがけないところから大好きなバンドの話題が出て、はて?となっていたのは、年が明けてすぐくらいだっただろうか。ツアー情報と新譜リリースの話題が出たのはそれから間もなく。

この春、FUNKISTはバンド結成20周年のメモリアルイヤー幕開けを直前に控え、全国8か所をめぐる最新シングルリリースツアーを行った。

ツアーにはボーカルの染谷西郷さん、ギターの宮田泰治さんを筆頭に、数年前まで正式メンバーとしてギターを弾いていたヨシロウさん、結成当時の初代ベーシスト桐沢輝さん、アルバムGypsyリリース前後、ドラマー不在の数年間を支え続けた古賀真人さんがサポート参加し、横浜を皮切りに、ファイナルの六本木まで3月~5月の2ヶ月をかけて全国8都市、8公演を駆け抜けた。

Time has comeで幕が開けると、西郷さんの子供のようなきらきらの笑顔と客席の距離があっという間に近くなる。何曲か進んだ後、何気なく始まるMCの流れから次第に熱を帯びてくる言葉たち。おもむろに始まる力強いバスドラのカウントに乗せて

「諦めるな。信じたものは絶対に手放すな」

という西郷さんの力強いメッセージとともにその後ろから追いかけてくるギターのフレーズが優しく寄り添い、楽器隊の美しいアンサンブルからAメロに入っていくTHE WIND AND THE SUN.

ツアータイトルでもあり、新曲としてもリリースされたこの楽曲は、西郷さんが女子プロレス団体・SEAdLINNNGのメンバーにインスパイアされてできた楽曲だ。

一度、手放しかけたプロレスへの情熱、それでも志を一つにリングに戻ってきた4人の選手たち。
奈七永選手の本名であり、SEAdLINNNGという団体名の由来にもなった奈「苗」にかけた歌いだしの言葉たち。そんな彼女たちを後押しするように、絶望や悲しみの向こう側、その先に

「僕が 連れて行くよ」

と、歌いきる強さは、私たちファミリー(リスナーの事)への熱いメッセージにも受け取れる。
世志琥選手(当時は世Ⅳ琥選手)が大きなトラブルを抱え、一度、プロレスの第一線から退いた後。彼女が復活を遂げ現在に至るまでの物語と、それを支えた奈七永選手、たいようさんのリングに掛ける情熱が楽曲と見事にリンクしている。

SEAdLINNNGの試合会場で流れる彼らの楽曲が選手たちを鼓舞するように。
この春、がんサバイバーとなり不安を抱えていた私のくじけそうな心に何度となく優しい手を差し伸べてくれたのは、他ならぬFUNKISTがステージの上から投げ掛けてくれた大切な音霊だった。
闇の向こうに君をさらって連れていくよ、という西郷さんの熱い言葉の先にどれだけ救われたかわからない。きっと、同じような想いでいるファミリーたちは他にもたくさんいることだろう。
ラストのサビでは英語から日本語の歌詞にスイッチするあたりで、ベースラインが高いところへ登って低音に降りてくるフレーズがある。
悲しみ、絶望、と歌う後ろに寄り添うベースラインがそこだけ他のサビとは違うアレンジになっている。それはまるで高いところから絶望の淵に叩き落されるようでありながらも、西郷さんの歌声が持つ優しさと力強さと絡みあうように。握った手をしっかりとつかんだまま離さずにいてくれるような、FUNKISTらしい大きくて優しい愛を感じさせるアレンジがそこかしこに散りばめられている。

5月の末に、彼らは結成20周年を迎えた。
8月には新曲も含めたこの20年の集大成ともいえるベスト盤がリリースされ、リリース記念ワンマンが8月30日にO-WESTで開催される。そして、このリリパを皮切りに、全国を回るツアーが秋から始まる。

メンバーが脱退していく度に、離れて行ってしまうファミリーたちがいるのも、また愛の証でしょ。と、いつかのMCで西郷さん。
春のツアーにはそんな風に離れていってしまったファミリーたちへ「今のFUNKISTを聴いてほしい」という強い願いが伺えた。
新曲のリリース、ヨシロウさんの帰還、そして、セットリストが新旧織り交ぜての構成になっていたことの意味を、ベスト盤リリースという伏線回収でなるほど。と、唸る。
そして何より、過去の楽曲を今のツアーに取り込んでも違和感がない。新鮮に響く、懐かしい、受け取り方はそれぞれであったとしても、彼らの音楽が時代に媚びず不変的に響くことの何よりの証だった。いつの時にも誰かの心を支えてきた彼らの音楽が、巡りめぐって今、自分の目の前にある奇跡。そして、私自身も、現在進行形で彼らの音楽に救われている一人だ。知らなかった頃の彼らを知りたい。ベスト盤を中心に構成されるであろう秋ツアーへの期待は高まるばかりだ。

何度でも立ち上がり、リングの上で戦うことを諦めなかった彼女たちと同じように。幾多の困難を乗り越えて、信じたものを手放さずにこの20年を奏で続けてきた彼らが見据えるその先へ。

「僕が 連れて行くよ」

と、歌う彼らの言葉を信じながら。
FUNKISTが奏で続けたこの20年間の軌跡を、音楽を手放さずに信じ続けた彼らが歩むであろうこれからの未来と、その先にある景色を「君とみていたい」と、心から。
そして、私の知らない“あの頃のFUNKIST”を知っているあなたにも。
今の彼らが届きますように。

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