2139 件掲載中 月間賞発表 毎月10日
この数字はTwitterやFacebookでのリツイート・いいねなどの反応数を合算して算出しています。

カラフルから無色透明へ

SHE IS SUMMERがたどり着いた場所

このところ、SHE IS SUMMERの「MIRACLE FOOD」をヘビロテしている。名前からして夏にぴったりな音楽だから、この時期はあちこちでヘビロテされてるのかもしれない。
でも夏に限らずMICOのボーカルはどんな季節にもどんなシチュエーションにも合うし、いつ聴いても耳に馴染む。

昨年の夏にリリースされたミニアルバム「hair salon」も長期間ヘビロテした。
繰り返し聴いても全然飽きなかった。聴くたびに新鮮ですらあった。
この作品からMICOの歌声は大きく変わったと思う。

1曲目の「CALL ME IN YOUR SUMMER」が流れてきたとき、それまでのカラフルな歌声とは雰囲気が違うことに気づいた。
楽曲に身を任せるような歌い方、さらさらした感触の声色。
驚くほど透明感があって、何時間でもずっと聴いていられるくらい心地よい。
MICOの歌は明らかに進化していた。

MICOの存在を知ったのは15年に公開された映画「おんなのこきらい」。
MICOは主題歌、劇中歌を担当したグループ「ふぇのたす」のボーカリストだった。
映画を見た後、ファンシーなゆるふわテクノポップとキラキラした歌声に惹かれてネット検索すると、YouTubeの「ふふふ」の動画がヒットした。
それからすぐ過去にリリースされた作品を全部聴いた。

ふぇのたす時代のMICOのボーカルはガーリーでキラキラしていた。
このグループが売りにしていたのは80年代風パステルトーンで彩られた楽曲。
そこにMICOの歌声が入るとさらにもう一色、色味が追加される感じがした。
SHE IS SUMMERとして活動した当初も、MICOは相変わらずカラフルでガーリーな歌声を聴かせてくれた。
ただ、ふぇのたす時代より肩の力が抜けて、歌が自然体になった。
グループを背負って「ガーリー」で「かわいい」を歌声に出さなければという気負いがなくなったのか、リラックスして歌っているのが伝わってくる。
そのリラックス感、ナチュラル度は、作品がリリースされるごとに磨きがかかっていくようだ。
16年の「LOVELY FRUSTRATION E.P.」、17年の「Swimming in the Love E.P.」、「WATER」。
1作ごとにMICOの歌声はのびやかになっている。
そして「hair salon」からは、自分のカラーにとらわれることからも自由になった。
持ち味のキラキラ感だけを残して無色透明な水のような歌声がここで披露された。
この透明感は、楽曲に歌で色をつけようとせず、楽曲の色あいに身をゆだねることで現れてきたのだと思う。
MICOは楽曲の色を感じとって歌うことに徹するようになった。
だからその歌声はカラフルな楽曲だけでなく、シックな色の楽曲にも馴染む。
じっさい「hair salon」以降は「CALL ME IN YOUR SUMMER」や、「エンドロールの先を歩く」のようなトーンを抑えた楽曲が目立ってきた。
もっともトーンが絞られたのは「MIRACLE FOOD」の「海岸2号線」。
色あいはセピアで、ここではMICOの歌の透明感が背景の色を際だたせ、せつないムードを引き立てている。楽曲に色付けをしないボーカルでなければ、この感じは出せなかっただろう。
「Darling Darling」は淡いブルーを思わせる楽曲でさわやかではあるけれど、MICOの透明な歌がメロディーをなぞると、どことなく物悲しさが感じられる。
楽曲自体に仕掛けられた物悲しさを歌声で伝えている。

ナチュラルを徹底させたMICOの歌は、驚くほど楽曲に溶け込むようになった。
異物感がなく、耳から体にスッと入って浸透してくる感じがする。
思えば1stアルバムのタイトルが「WATER」だったのは、夏だからというわけではなかったのかもしれない。
WATERみたいな歌でありたいという、MICOの無色透明を目指す意思の表れだったのではないかと思える。

水のように聴く人の体に浸透してくる音楽が聴きたい人がいれば、SHE IS SUMMERをおすすめしたい。

  • 投稿作品の情報を、当該著作者の同意なくして転載する行為は著作権侵害にあたります。著作権侵害は犯罪です。
  • 利用規約を必ずご確認ください。
  • ハートの数字はTwitterやFacebookでのリツイート・いいねなどの反応数を合算して算出しています。
音楽について書きたい、読みたい