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米津玄師を遡る日々

【Neighbourhood】に重ねる自分の過去とこれから

私は、米津玄師というアーティストを知ったのが数年前で、ここを読む若い人からみれば浅いファンだと思う。
とりあえず、CDを全て揃えて、昔のものを遡って聴いている。
好きな曲は沢山ある。
しかし、今回は比較的新しい曲について書いてみたくなったので、お付き合い願えたら…と思う。

『 この頃ひどい夢を見る 子供の頃の風景
  煙草の煙で満ちた 白い食卓だ
  腐りかけの幸せ 一日一切れずつ
  続く絶え間ないヒステリー あとは怠惰だけ 』
[ Neighbourhood より]

この曲の歌詞は、彼が昔を思い出しながら書いたのだということらしいのだが、この風景に似たものを、私は知っている。

自分の過去の風景だ━━。

夫婦喧嘩の絶えない父母。
父の投げた物が飛ぶ。
母のヒステリックな叫び声。
それに加えて、私に暴力的な弟。
その暴力を見てバカにしたように笑う父。
若い男と出掛けて家を空ける母。
万引きをして警察の厄介になる弟。

最悪だった。
死のうと思った。
首にコードを巻いた。
苦しくて死ねなかった。

そのまま、死んだように生きながらも、結婚した。
よく、女は父親に似た人を夫に選ぶと聞くが、そうかもしれない。
パワハラ気味の夫にはちょくちょく物を壊されたり、育ちや頭の悪さをバカにされた。

それでも、3人の子どもと出会うには、この結婚が必要不可欠であり、大きな我慢をしながらも、幸せだと思うようにしていた。

『 生きられないなって トイレの鏡の前で泣いてた
  逃げ出せその街を 飛ばせ飛ばせ飛ばせ
  笑え笑え笑え 』
          [ Neighbourhood より]

まさに、この歌詞に匹敵するような感覚だった。
【街】からは逃げ出せた。
実の両親や弟が今どこにいるのかも知らない。

パワハラ夫に何も言わない日々を過ごす中、結婚後で一番の事件が起きた。

叔父が自ら命を絶った━━。

あの頃の自分を思い出した。
周りの人間が叔父の死を、遠回しながらも「恥ずかしい」と思っているのを感じた。

〔あぁ…こんなふうに私ももしかしたら思われていたのか〕

私は棺の叔父の姿に、自分を当てはめてみた。
黙って、ただ見つめてみた。

【どうだ?その目で見る俺の姿は。お前は今生きている。それでいいんだ。】

あの場にいる人間の中で、私が一番叔父に近かったんだと思う。
一番付き合いの短い私が……だ。

この先、生きなきゃいけないんだと思った。
生きるべきだと思った。

そんなことを考えながら、ポンコツはポンコツなりに生きていた。

そして出会う。
米津玄師の曲に。
こんなにも心を救う曲に出会ったことがなかった。

『 君の悪い夢も
  私が全部食べてあげる
  痛いの痛いの飛んでいけ
  安らかな歌声を 』
         [ ゆめくいしょうじょ より]

『 そうかそれが光ならば
  そんなもの要らないよ僕は
  こうしてちゃんと生きてるから
  心配いらないよ
  帰る場所も無く僕らは
  ずっと向こうまで逃げるんだ
  どんな場所へ辿り着こうと
  ゲラゲラ笑ってやろうぜ 』
             [ アンビリーバーズ より]

あげればキリがないほどの救いが、米津玄師の歌詞にはあった。

最近だと、菅田将暉に提供した、[まちがいさがし]の歌詞が胸を掴んだ。

『 まちがいさがしの間違いの方に
  生まれてきたような気でいたけど
  まちがいさがしの正解の方じゃ
  きっと出会えなかったと思う 』

今まで生きてきた私の人生が間違っていなかったと、この今があるのは、辛かったあの頃があったからなのだと、妙に納得させられた。

この先も色々なことを考えながら、米津玄師の曲を聴いていく。

それは俺のとは違うなぁ……と、彼が思うかもしれないけれど。

この先もずっと、米津玄師の曲と歩いていくつもりだ。

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