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私たちは今、ここにいるぜぇ!

ROCK IN JAPAN FES.のグラスステージで見たモーニング娘。の今、そして未来へ

「私たちは今、ここにいるぜぇ!」

モーニング娘。’19が自信に溢れた目をしてこう言ったのは、ROCK IN JAPAN FES.2019のGRASS STAGEだった。
収容人数約6万人。現メンバーは、22年間繋がれていた襷を胸に、今この場に立っている。

決して当たり前ではない、このステージに立つまでの道のりと、体力おばけとオーディエンスに言わしめた彼女たちのパフォーマンスについての話だ。
 

2014年4月29日
当時のモーニング娘。のリーダーである道重さゆみが卒業を発表したときに言った言葉が物語の始まりだ。

「後輩たちに伝えたいこともあるし、見せたいものもあります。」

彼女は続けて、おっきく最強にかっこいいモーニング娘。に仕上げてから卒業し、次の世代にバトンタッチすると述べた。
 

モーニング娘。の歴史は長い。
遡ること22年前。1997年にモーニング娘。は誕生した。最初は5人、CDをメンバー自ら手売りする。
そんな苦労を経て、メジャーデビューをし、誰もが知る「LOVEマシーン」や「恋愛レボリューション21」などのヒット曲を連発していくのだった。いわゆる黄金期だ。
今の日本においても、モーニング娘。というグループを知らない人はいない。そう私は思う。
そんな無敵モード全開のモーニング娘。が当時のライブで使っていた会場は、横浜アリーナ、さいたまスーパーアリーナ、代々木第一体育館、大阪城ホールといったアリーナクラスの会場が多かった。

それからメンバーの卒業、加入を経て、時代はプラチナ期と後に評価される時期に突入する。
プラチナ期には様々考え方があるが、本文章では高橋愛がリーダーに就任した2007年後半から、亀井絵里、ジュンジュン、リンリンが卒業する2010年までをプラチナ期と考える。
この時期のモーニング娘。はメディアへの露出が非常に少なかった。テレビに出ていないから売れていない。そう判断されても仕方がない。
しかし当時のメンバーは、歌にしてもダンスにしても、そしてそれぞれのビジュアルや個性についても限りなくパーフェクトに仕上げていたのだ。
この頃のモーニング娘。の楽曲は前述の黄金期の楽曲とは大きく雰囲気が異なり、切ない恋愛ソングを当時の強みである表現力を生かして歌っている。その代表格が「なんちゃって恋愛」だと私は考える。
亀井絵里、ジュンジュン、リンリンが卒業する2010年12月15日。
プラチナ期の集大成とも言える日に彼女たちは横浜アリーナのステージに立った。その日を最後にモーニング娘。が横浜アリーナのステージに経つことは4年間なかった。

プラチナ期が終わり、現代のダンスに特化されたモーニング娘。へ変わっていく。その時期に加入したのが現在のリーダー譜久村聖を含む9期以降のメンバーとなる。この頃には、みんなで真似て踊れるような振り付けはなく、メンバー全員でハートの形、クエスチョンマークの形などを作るなど、目まぐるしくフォーメーションが変わるダンスを披露している。大きくグループが変化する裏には常に、私たちからは想像できないようなメンバーの努力があったというのは確かだ。
 

2014年11月26日
モーニング娘。は4年振りに横浜アリーナのステージに立つ。
その日は、リーダー道重の卒業公演だった。
彼女が卒業発表したときに述べた後輩に見せたかった景色とは、この横浜アリーナだ。
道重がリーダーに就任後、シングルは5作連続でオリコンウィークリーランキングで1位を取ったり、卒業公演でなければ立てなかった日本武道館に通常の公演で立てたり、メンバーとも歳の近い女性ファンという新たなファン層を獲得したりと数々の伝説を作ってきた。
そんな彼女は、自らの力で後輩に、そしてグループに最後の恩返しをした後、後輩に襷を託した。

「みんなには、私も知らなかったようなもっともっと大きい景色を見ていてほしい。」

という言葉を残して。
 

あれから4年半の月日が流れる。あの頃、後輩と言われていた9期、10期、11期のメンバーもすっかり先輩となった。
2019年の夏、2年連続でROCK IN JAPAN FES.への出場を決めた。それだけではないのだ。
昨年はLAKE STAGEだったが、今年はGRASS STAGE。22年の歴史の中で最も大きいステージに彼女たちは立つ。
道重をはじめ、歴代の全てのメンバーから受け継いだ襷を彼女たちは最高の晴れ舞台に持ってきた。

晴れ舞台の始まりの曲は「みかん」であった。
「何度も夢を見てきた あきらめたりは出来ない」
昨年、このフェスに出演してから彼女たちは、GRASS STAGEでパフォーマンスすることを夢に見てきた。更に言うと、この曲がリリースされた2007年から、大きなステージに立つことを夢見てきたのではないか。当時のメンバーでもあった道重が卒業時に後輩たちに託した想いも、この曲の歌詞に繋がる。
そして「笑う人に人集う」という歌詞の通り、過酷とも言えるセットリストを笑顔でこなす彼女たちのもとにはたくさんの人が集まり、気づけば広いGRASS STAGEも、モーニング娘。を見に来た人で埋まっていたのだ。

そのまま、みかんと同じプラチナ期の楽曲である「気まぐれプリンセス」と続く。
昨年のロッキンで体力おばけと評された現メンバー。それならばプラチナ期のモーニング娘。は表現力おばけだ。表現力おばけの先輩達に挑む形で、メンバーそれぞれの解釈で難しいプラチナ期楽曲を自分たちのものにして披露する。

3曲目はメンバーが直談判して急遽追加された曲「I surrender 愛されど愛」だ。メンバーが直談判してまで追加したかった理由は何だろうか。
真相は分からないが、モーニング娘。の歴史を語るに“愛”というワードが欠かせないからなのではないかと私は考える。
大ヒットソング「LOVEマシーン」や「恋愛レボリューション21」をはじめ、モーニング娘。の楽曲には恋愛を歌った曲や、地球を愛する意味合いをもつ楽曲が数多くある。言ってしまえば、22年間、モーニング娘。は様々な形で愛を歌ってきたグループだ。そんなモーニング娘。の歴史を見せつけたいという意味を込めた直談判だったのではないだろうか。
この曲は20周年記念アルバムの1曲目を飾る曲だ。モーニング娘。の歴史に「愛が無いなんて ありえない」同曲の歌詞にもあるそんなメッセージをぶつけている。

その後も休む間もなく、音楽は続く。
「LOVEマシーン」や「恋愛レボリューション21」、「ザ☆ピ〜ス!」のように誰もが知っている黄金期の楽曲も披露するが、セットリストのメインは近年の楽曲となっている。
このロッキンのステージで付いた体力おばけの名を、自らの力で更に磨きをかけていく。
畳み掛けるようなセットリスト。止まることの無いパフォーマンスを繰り広げていき、いよいよ最後の曲を紹介する。

私達は今、「ここにいるぜぇ!」

力強くそう宣言した彼女たちは、最後の最後まで託された襷を離すことなく、任務を全うした。そんな彼女たちの眼差しは、自信に満ち溢れていた。
しかし……

「僕らはまだ夢の途中」

そう最後の曲で歌ったのだ。初めて立ったGRASS STAGEだが、ここで満足はしない。「ここにいるぜぇ!」という曲はそんな意思表示を込めたものなのではないかと感じた。

「もっと大きい景色を見ていてほしい。」

この言葉にゴールはない。更に前に突き進む彼女たちの物語にこれからも目が離せない。

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