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不敵なロックスターへ

私が[ALEXANDROS]に惚れ直した話

あの頃のような、彼らに出会った頃のような、
彼らを必死に追いかけていた頃抱いていたような熱はもうないと思っていた。
 

私は彼らと、彼らの音楽が大好きだった。
けれどいつからか彼らから離れていった。
なんとなく、遠く離れていく彼らについていけない気がしたから。変わっていく彼らに違和感を感じたから。
そんなぼんやりとした、自分でもよく分かっていない理由だった。
 

今年のROCK IN JAPAN FESTIVAL 2019。そこでも私は彼らを見るかどうか、迷っていた。
今の彼らを見たいような、見たくないような。
好きだったんだから見てみたい、変わってしまった彼らを見たくない。そんな狭間で、彼らのステージの時間が近づいても動けずにいた。

遠くから音が聞こえた。画面にアーティスト名が表示される時のSEと、大きな歓声。木々に遮られて見えないけれど、彼らの時間になったのだと分かった。
流れ出したカウントダウンは、彼らを追いかけていた頃と同じ、彼らの登場SE。Burger Queenだ。あの頃はいつだってこれを聞くと胸が高鳴った。
でもこの期に及んでも私はまだ動けなかった。
歓声が一際大きくなって、ああ、彼らがステージに現れたんだと思った。どうしよう。どうしよう。
 

Hello Hello Hello
つかぬ事を
Hello Hello Hello
御伺いしますが
Hello Hello Hello
以前どこかで
Hello Hello Hello
お会いしましたか?
(Adventure)
 

1曲目に流れ出したのは耳慣れた曲だった。
問いかけのような冒頭の歌詞は、自分にかけられたような気がした。
自然と立ち上がり、ステージに向かっていた。
 

この曲は、彼らがバンド名を変え、その第一弾として出したシングルの曲だ。
いつだったか、インタビューで、ボーカルの川上洋平さんはこれを[Alexandros]の1曲目にしたかったと言っていた。洋平さん本人のブログでも、何となく自分達の「今まで」と「これから」が綴られていると書いていた。
だからこの冒頭の問いかけは、改名して改めて自己紹介をするための歌詞だと当時私は思っていた。
 

以前から洋平さんは歌詞に意味は無いと口にしていた。意図や意味を探るのではなく、リスナーが自分達の思いや感情をぶつけたり投影したり、能動的になったら素敵だと言っていた。
 

この時の私は正にそうだった。
自分をもう一度呼び戻してくれるような何かをこの歌詞に見ていた。
だから自然に足がステージを目指していた。
 

たくさんの聴衆を掻き分け掻き分け、私はステージを見上げる場所まで進んでいた。
不敵に笑う洋平さんの顔が目に入った。

ああ、彼らは変わってなんかいなかった。

その顔を見た時、私はどうしようもなくそう思った。
そうだった。
いつだって彼らはビックマウスで、不敵で、不遜で、自由で、ロックスターだった。

変わってなんかいなかったのだ。
彼らを愛してくれる人が増えたぶん、小さな私には彼らが見えなくなっていただけだった。
彼らから数年離れていた間に私は背が伸びた。大きくなった。そうしてたくさんの人波で見えなくなっていた彼らが見えるようになって気がついた。
彼らはちっとも変わってなんかいなかった。
私が大好きな彼らのままだった。
 

あの頃のような、彼らに出会った頃のような、
彼らを必死に追いかけていた頃抱いていたような熱が帰ってくる。

そんな気がした。

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