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2017年6月19日

とみ (21歳)

ピーズの武道館をみた21歳

10年前も、10年先も

14時の新宿駅の混雑は、地方に住むぼくにとってはお祭りのように感じた。スーツを着た人、着ていない人みんなが足早に歩いている。

あと4時間半後にピーズが武道館に立つ。

歌舞伎町の昼からやってる飲み屋で軽くひっかけ、早速九段下に向かう。新宿にはいなかったピーズの法被を着ている人がたくさんいて、その人達も知らない人なのになぜかとても安心した。グッズ売り場は長蛇の列で、ぼくはそれを諦め喫煙所に向かう。

ピーズのファンはガラが悪い。そう思った。いい意味で。

喫煙所の周りは地べたに座りながら缶ビールを飲むコワモテのおじさま達に埋め尽くされていた。21歳のぼくがひとりでいる場所ではない気がした。

そもそも、ピーズを21歳のぼくが聴いていること自体、場違いなのかもしれない。確かに全国にはピーズが好きな同年代はたくさんいると思うけど、「底なし」を聴いて踊る21歳はぼくも含め少し、いやだいぶ世間からズレていると思う。ではなんで、ぼくはピーズを聴くのか。

それは、ピーズは「聴きたいから聴く」のではなくて、「聴かなければならないから聴く」からだ。

音を楽しむと書いて音楽。前向きになれるから聴くのが普通だし、ぼくもそうだ。普通は。
でもピーズは少し違う。
「頑張ったって無理だよ」
「シニタイヤツハシネ」
絶望、焦り、諦め。それをはるさんは痛いほど言葉にして、僕たちに突きつけてくる。後ろ向きな言葉を浴びせてくる。グダグダとやる気も出ない、何もしたくない、音楽も聴きたくない、楽しいこともない頭の中にダラダラと流し込まれてくる。そして、それに救われる。だから、ぼくはピーズを聴かなければならないし、この喫煙所で缶ビールを嗜むおじさま達もそうだからここにいるのだろう。今日がピーズにもやもやした絶望とやらから救われた人達の集いであることを悟った。もうすぐ開演時間だ。

ライブが終わった。ぼくにはあのライブを文字に表せるほどの文才はない。

明日からも、ぼくはピーズを聴く。なぜなら、聴かなければならないから。日々につきまとってくるもやもやから救われるために。

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