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時をかけて魅せたい景色。Nissyがつくりだすライブステージ

Nissy Entertainment BEST DOME TOUR 映像化へ寄せて

画面の向こうに見つけた時からずっと、心にかかった光の粒がキラキラして消えないままだった。
 
Nissyとしての活動を西島隆弘さんがスタートして5年のライブツアー
「Nissy Entertainment “5th Anniversary” BEST DOME TOUR」
自宅に届いたチケットは、封筒がベストアルバムのジャケット写真とテーマの繋がっているレコードのデザインで、紙色と紙質はベージュでデコボコとした触り心地。チケットそのものにはNissyの写真がプリントされている。
こだわった紙を使うとそれだけコストもかかるはずなのに、招待状の到着からおもてなしが始まっていることに、感動していた。
  

2019年4月25日、東京ドーム。ツアー最終公演。
ライブのセットリストは、“最新”から“始まり”へのタイムワープのように、曲を聴いていた頃の空気ごとよみがえらせていくようだった。
でも不思議と背中のむこうを振り返っている感覚ではなくて、あの頃も今も同じ線の上で見渡せる距離にある、そんな感じだった。
ライブオープニングで流れた映像。大好きな2ndライブの映像でも登場した、Nissyを探し回り追いかけるエージェントたちが再登場してくれたことにテンションが跳ね上がる。
主役としてはじめに登場するのは“西島隆弘”さん。映像に映る小道具、おしりのところをわしわし掻く仕草、ひとつひとつにこれまでのMVの世界観が顔を出して、あっこれは!あれは!と思っているうちに、“Nissy”がスクリーンに姿を現わす。

Nissyがタイムワープの魔法をかけたエレベーター
古びたエレベーターというモチーフをオープニング映像のストーリーに入れ込んできたあたり、テーマパーク好きにはたまらなかった。
今度こそ捕まえろ!と躍起になるエージェントを尻目に、いとも簡単に時を止めてエレベーターへと乗り込むNissy。
ブルーのスーツの時とは違い、大きめのツバの黒いハットのNissyは、ミステリアスさが増してちょっとコワイような。この人について行って大丈夫かな、と心を拐われていくハラハラ感がある。

幕を開けたNissyのライブステージ。
1番はじめに歌ったのは「Affinity」
ツアーが始まる直前に突如解禁された、数分の映像で流れていた曲をライブのオープニングにもってくるところ。強い。と息を飲んだ。
レトロなつくりで、金に装飾されたエレベーターの中で歌っているNissyの姿がスクリーンに大写しになる。美しい鳥かごのような、格子状で外から中が見えるデザイン。
そのエレベーターもっとよく見せて!と思うほどリアリティのあるセットに、綺麗な映像で、心を捉える演出だった。

今回、自分のいた席はメインステージとスクリーンを横から眺める位置。
なのでスクリーンで起きていることやステージ奥で起きていることは把握しきれないところもあるものの、メインのスクリーンが平面に真正面を向くかたちではなく、斜めに出っ張りを左右につくるように置かれていたことで、補って見ることができた。

この曲だけは聴きたい。とお願いするとしたら、自分は「まだ君は知らないMY PRETTIEST GIRL‬」を選ぶ。あと叶うなら「GIFT」も。
ライブ序盤、3曲目に歌われたのが「‪まだ君は知らないMY PRETTIEST GIRL‬」だった。
ムービングステージで近づいたスタンド側、そこで歌いはじめる、
「君が思うより ずっと素敵なのに」
Nissyの歌声、ファルセットの美しさと儚さが耳に届いたとき、なんでそんなにと思うほど泣いた。縦に上がる花火の柱が綺麗だった。

「愛tears」では、オレンジと青の交互の線状になって降り注ぐライトが印象的。
青と言っても、青々とした色というよりは水色に近く、そこにオレンジを合わせるんだ…と感動した。2色の絶妙な色合いが、情熱だけではない曲の空気を表現していた。
メイキングを見てきた限り、Nissyは青とか赤とか、色の名前でオーダーしたのではなくて、新色を作るぐらいの勢いでこだわったのだろうと想像した。
「ワガママ」での噴水も、インパクトを求めてというより、繊細な水のゆらぎに見入ってしまう演出で、曲ごとに恋をして、失恋をして、新しい景色を見ている気分になった。
  

Nissyが考え抜いて、スタッフさんと共に作り出した印象的な演出の数々。一度きりになってしまうにはあまりにもったいない。
今回のライブでは、あっこの演出は!と、これまでのライブ演出が再度垣間見えるところがあって、作りは同じでもどう活かすかを今一度課題にして、楽しく向き合っているようにも見えた。
そういう意味で、既視感というものへの挑戦でもあったのだろうと感じる。

さらに今回のライブでは「愛tears」での球体のライトを使った演出をもう一度観られたことが本当に嬉しくて、ライブDVDでは全体を見渡すあの視点は味わえないと思っていたら、こうして形を変えて今一度観ることができた。
ブルーのコントラストで浮かぶ、まあるい灯り。
小さな丸と、今回は大きな丸もあって、ぷかりぷかりとドーム全体に浮かび漂う。暗闇のなか光るその青は、涙のつぶのようにみえた。
 

衣装も印象的だった。
2ndライブの攻めに攻めたカラフルでハードなファッションと対照的に、ベージュのシャツに、少し濃いめのベージュの細ネクタイ、パンツもベージュで合わせたりと、コンセプトカラーはベストアルバムからグッズにいたるまでベージュで統一。
上は黒のTシャツ、下は黒のスキニーで、黒の野球帽。
あんなにシンプルでモノトーンな衣装を、主役が着ている。それが成立していることがすごい。顔がぼやけないことがすごい。
シンプルでありつつ、ダンサーさんたちとのバランスも考えられていて、遠くから見ていて驚いたのは、むしろ統一されたシンプルさによってNissyが目立っていたことだった。
たとえ大人数で踊るシーンでも、Nissyが羽織ったブルゾンの背中には“5”の字が白く大きくプリントされているデザインの工夫で、すぐに見つけることができた。

ある曲と曲の間で、ドームに鐘の音が鳴り響き、Nissyが駆けていく場面がある。
何かに急かされるような鐘の音。そこに1人立ち尽くすNissyの姿はさながらシンデレラ。
あの広い空間に響く鐘の音があまりに綺麗だった。音に合わせて光って消える手持ちのライト。自分の持つライトも鐘の一部になったようで、ワクワクした。
奥行きがあって年季を感じる鐘の音。テンプレートな電子音には聞こえず、今になって考えると、どこかの鐘の音を実際に録音してきたのではと思うほどの深みだった。
気になって、パリから連想してノートルダムの鐘を聞いたものの間合いと音数がぴんとこない。Nissyのコンセプトに合う場所…ロンドン?と思いつきでビッグベンの鐘を聞いてみたら、こんな感じ!としっくりきた。
実際どうなのかはわからないけれど、素敵な鐘の音だったことは忘れない。

事前にアンケートを募っていた、リクエスト曲のコーナー。 
中島みゆきさんの「糸」をNissyの声で聴けるとは思わず、2番の歌詞はどうしても胸にくるものがあった。
席の位置的に、ドームの壁に当たった音が反響して返ってくるのが聞こえる位置で、Nissyの歌声にNissyの声が追いつき重なるようで素敵だった。

そして、ライブになるとガッと曲の表情が変わる「Double Trouble」
ライブで聴くたび好きになっていく。
歌い出しのNissyの歌詞アレンジはライブだけのオリジナル。“Hello”の一枚上手に微笑む感じ。ブラスバンドが強くなるあのライブアレンジがやっぱり好きで、リズムに乗って踊る空間がグルーヴそのものになる魅力がたまらない。
今回のステージ構成ではバンドメンバーが前に出てきていて、その様子を見られたことも嬉しかった。

もしかしてあるかな、いや流石に今年はないよな、と期待が膨らみ始めていたライブ後半。
「The Days」のイントロが流れ、なんとユニバーサルスタジオジャパンの仲間たちの紹介がスクリーンに。夢?夢かな?と思っていると、本当に向こう側に行進が見える。曲がり角を通過して、パレードがやってくるまさにその先頭から順に眺められる景色は、テーマパークの特等席のよう。
男性ダンサーさんが2人先頭を歩いて、バブルみたいな風船を持った人たち、フラッグ隊、大幕のNissyロゴがはためいて綺麗だった。
光きらめくフロートに乗って、キャラクターたちが近づいてくる。真ん中でうれしそうに歌ってじゃれあうNissyの可愛さはとびきり。
エルモやクッキーモンスター、スヌーピーたちに東京でまた会えるなんて、Nissyとの共演が観られるなんて。来てくれてありがとう。いつかUSJに遊びに行くね、そんな気持ちになっていた。
  

アンコールは気球に乗って現れたNissy。
その登場が席から近く、Nissyだ。Nissyがいる。と思いながら、ひたすら無邪気に手を振った。
1曲、丸ごと歌うこと。にこだわりがありそうなNissyが、アンコールではメドレー形式で可能なかぎり多くの曲たちを披露したこと。それもNissyなりのプレゼントだったのではと思う。
どの曲にも特別な思いを持つひとがいて、聴くのを楽しみにしているひとがいると、伝わっているんだろうなと感じた。

アンコール後、一呼吸を置いてから話そうとしたNissyに、ライブスタッフさんたちからのサプライズ。
ファンが持つ制御式のライトが浮かび上がらせたのは、“THANK YOU Nissy 5th”の文字。スタンド2階から1階を使っての2段構えのメッセージ。赤のライトの海に、緑、ピンク、青の文字で。
自分のいた席は、スクリーンを正面に見られないもどかしさはあったけれど、この場所だったおかげで、Nissyが客席を見渡している視点で東京ドーム全体を見渡せる嬉しさを体感することができた。確かにくっきりと見事な文字になっていて、「すごい」と言いながらひたすら客席を見つめているNissyが印象深かった。
その後も、メインスクリーンに“We ♡ Nissy (キスマーク)”の文字が映されて、アリーナ席のみんながNissyに後ろ後ろ!と一斉に指差し伝えて、Nissyが気づいたりして、サプライズ好きな彼にサプライズで返すスタッフさんたちが愛くるしかった。

MCが長くなって、スタッフさんに終了の合図として鳩時計や鐘の音を鳴らされるNissyはライブでのいつもの様子。
なぜかトーク中にHOT!HOT!を口走って、「世代じゃないか」とつぶやくNissyがツボだった。藤井隆さんですよね…と思いながら聞いていた自分は、Nissyの笑いのセンスもほんとに好きなんだよなあと再度実感した。
Nissyの変顔に、さりげない一言に。さっき笑かされていたのに、次の拍子には歌を聴いて泣いている。情緒のアップダウンが激しいなとおもしろくなりながら、考え込むのは得意で笑うのは不得意な自分にとって、一瞬で笑顔を呼び起こしてくれるNissyは不思議な存在になっている。

ダブルアンコール、待ち焦がれずにはいられないブルーのスーツのNissy。
「どうする?」と言っただけであがる歓声。ハットをカメラにかぶせれば、それはもう。Nissyとダンサーさんがザンッと姿を現して、「どうしようか?」をパフォーマンス。
観ている時、ステージ横からドームに向かって踊るNissyを見ていたら、画面の中から飛び出して今本人が目の前にいる驚きと、ドームに集まる人を前にパフォーマンスしていることの感慨深さを思った。
こちらから見るには眩しいくらいのライト。そのライトに照らされて、堂々と披露する「どうしようか?」
数年前。NissyのMVをYouTubeで見つけ、一人部屋で画面の向こうに見ていたNissyの姿を、こんなにも多くの人が同じくして見ていたのかもしれない。部屋を飛び出し実際にライブを観に来て、こんなに多くの人と一緒にいる未来は、想像していなかった。

フォトアルバムを開いてゆく感覚で、時間の中をふわりふわりと行き来しながら、曲への愛着が増した今回のライブ。
エンドロールにも写真が沢山流れて、それぞれのジャケット写真を見ながら、Nissyが作品を届けることをはじめてからの5年の時の重なりを思った。

観せてくれた景色を思いながら、イヤホンを着ければいつでも呼び起こすことができる曲を持ちながら、
その時間のつづきで、また会えたら
Nissyが1年の時をかけて作りだしたライブステージの余韻にしばらくは浸っていたい。
 
 
そう思った日から、おおよそ4ヶ月が経った。
あの日観たライブが、2019年9月30日に、DVDとBlu-rayで発売されることが決定した。
自分の感想は“視点1”であって、あの日だけを数えても5万何通りの視点があったひととき。そこにライブ映像としての視点が新たに加わる楽しみは、なんとも言葉に代えがたい。
どんな角度で、どんな色で、「Nissy Entertainment “5th Anniversary” BEST DOME TOUR」の景色が再び目の前に広がるのか、心躍らせている。

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