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今この場所がスタートだ

ASIAN KUNG-FU GENERATION 東北ライブハウス大作戦に寄せて

 
 
2019年8月8日、私は岩手県大船渡にいた。ASIAN KUNG-FU GENERATIONを観るためだ。

夏フェスで関西に来ないと知って、チケットを一般で取ってしまった。東北の、地元のアジカンファンに見て欲しかったという気持ちもゼロではない。
しかし、素直にアジカンの予定を立てて、生活を頑張る糧にしたかったのも紛れもない事実である。それに加え、ホームタウンツアーを終えた今のアジカンが、キャパ約200のライブハウスでどのようなライブをするのか、という興味が私の中で溢れ出てしまい、止まらなかった。
 
 

アジカンの曲をシャッフルで聞きながら、前日の夜に夜行バスで仙台へ。そこから電車とバスを乗り継ぎ気仙沼、陸前高田、大船渡。ニュースで見たことのある地名達は、一見すると片田舎だった。
時折見かける「津波到達地点」の看板。自分が今まで見たことのないものと知らない感情が沸々と湧き上がり、胸が掻き回され、涙が溢れていた。
 
 

今回私が参加する東北ライブハウス大作戦は、東日本大地震の復興プロジェクトである。
アーティストが東北ライブハウス大作戦のラバーバンドを付けてライブをしている写真は見たことがある。そして最近参加したライブでもアーティストが腕にラバーバンドを付けていた。
でも実際に自分が東北ライブハウス大作戦のラバーバンドを付けて、KESEN ROCK FREAKSでライブを観るなんて、本当に数ヶ月前まで考えてもいなかった。
 
 

この日のライブは、18:30開場19:00スタート。
「雨が降った」という言葉で片付けるにはあまりにも強い豪雨がライブハウスを打ち付ける中整列。ジメッとした空気が漂うライブハウス内で19:00を待った。

「ホームタウンツアーファイナル振りだから、大体1ヶ月経ってないくらいか。めちゃめちゃ久しぶりに感じるな。」なんて考えながら、ライブハウス内にある木札に書かれた沢山の人達の名前とそれに付属する想いを考え、今日のライブが素敵な夜になれば良いなと願った。
 
 

ライブは大好きな曲である夜を越えてから始まった。

ホームタウンツアーの雰囲気を持ち越したまま演奏される曲達と、久しぶりに聴く曲達はアジカンの東北への思いをこれでもかと訴えてきた。
アンコールラストは「アネモネの咲く春に」。
 

<< 拝啓 冬の朝 白いため息たちよ 綴るべき言葉など何処かにあるのでしょうか 相応しいメロディも探し歩き回って 未だ辿り着けていないです >>

アネモネの咲く春に/ASIAN KUNG-FU GENERATION
作詞:後藤正文
 

震災後、音楽を鳴らすことは不謹慎なのではないか、自分達に何ができるのか、などさまざまなものと向き合い葛藤しリリースしたアルバム、ランドマークのラストトラックである。

「完成したからそこで終わりじゃない。」、リリースの後、アジカンのライブの中でリスナーの心の中で育っていく曲達。
ダブルアンコールは、地元の人からのリクエストで、N.G.S、遥か彼方、嘘とワンダーランド。ダブルアンコールにもアジカンの優しさが見えたし、ダブルアンコールはあったが、アネモネでライブを終えるということがアジカンの答えなのだと感じた。

震災直後でもなく、ランドマークツアーでもなく、Wonder Futureツアーでもなく、20thツアーでもない。
ホームタウンというアルバムのツアーを終えた今のアジカンだから、魅せることのできたライブだった。

今のアジカンで、東北ライブハウス大作戦ツアーをしてくれて本当に良かったと思った。
チャリティにすべきだとか、地元の人だけにすべきだとか、もっと早くするべきだったとか、批判や意見は色々あるだろう。でも、旅行客は旅行客として実際に足を運んで、楽しんでお金を遣うことも1つの方法だと思う。

震災が起こって約8年。関西に住んでいる私には想像することもできないような苦労があったはずだ。
東日本大震災を、私にちゃんと現実に起きたものと結びつけてくれたのは今回の東北ライブハウス大作戦であり、ゴッチであり、アジカンであり、大船渡で出会えた人たちなのだ。
 

<< 遠くの街の出来事がニュースになっても 僕らはいつも他人事にして忘れてきたんだ >>
 

夜を越えて/ASIAN KUNG-FU GENERATION
作詞:Masafumi Gotch
 

冒頭で書いたように、東北の、地元のアジカンファンに見て欲しかったという気持ちもゼロではない。しかし、とてつもなく重要な瞬間に立ち会ってしまったこと実感した。KESEN ROCK FREAKSで

<< 今 この場所がスタートだ。 >>

このフレーズを聞けてしまった。テレビでしか見たことのなかった遠い場所が、ニュースの中での出来事が現実になった夏の日。私が人生で忘れたくない出来事の1つがこの日に生まれたのだ。

<< 僕らはあまりに無力なんて君が嘆いても それでも何時かは何かを成し遂げてみたいんだ 現実という名の荒野で迷子になっても この日々を照らすイメージを 本当にこれで良いのか 本当にここでジ・エンドか 今 この場所がスタートだ 胸の想いが少し光って 星のない夜を温めた 途切れそうな細いロープを手繰って 闇と瓦礫を掻き分けて 辿り着いたんだ >>

夜を越えて /ASIAN KUNG-FU GENERATION
作詞:Masafumi Gotch
 

ASIAN KUNG-FU GENERATIONが好きだ。昔より今の方がもっと、そして次、彼らのライブを見終わった後は更に彼らのことを好きになっていると断言できる。

そしてこの忘れられない夏の日を越えるような素晴らしいライブを、アジカンが観せてくれることを確信している。早く、アジカンのライブが観たい。
 

セットリスト
1.夜を越えて
2.君の街まで
3.荒野を歩け
4.君という花
5.ホームタウン
6.UCLA
7.今を生きて
8.生者のマーチ
9.ソラニン
10.Re:Re:
11.リライト
12.Easter/復活祭
13.センスレス
14.Standard/スタンダード
15.ボーイズ&ガールズ
 

Anc 1.Dororo
Anc 2.アンダースタンド
Anc 3.アネモネの咲く春に

D Anc1.N.G.S
D Anc2.遥か彼方
D Anc3.嘘とワンダーランド
(ボーカル、後藤正文のインスタより)

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