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ヤバTこそ本当の「ポスト・サザン」なのかもしれない

サークルバンドが国民的バンドになる日

 
小学6年の夏休み、祖母の家に行く車内で
サザンオールスターズの曲が収録されていたカセットテープを
聴いていたら、いままでにない衝動が溢れてきた。
ダウンタウンとウッチャンナンチャン、清水ミチコと野沢直子が共演した
伝説の深夜番組「夢で逢えたら」のオープニング曲「フリフリ’65」、
CMでよく流れていた
「忘れられたBig Wave」「愛は花のように(Ole!)」「YOU」など
聴き覚えのある曲が流れてきて
湘南の海辺で洒落た男女がひと夏の恋に落ちる絵コンテが
私の脳内で描かれていき
「この人たちの曲をもっと知りたい!」と胸が高まった。
それ以降、少ないお小遣いを工面してファンクラブに入り
彼らの出演するテレビ番組を録画したり
姉のいない間に部屋に忍び込み
その年に出たアルバム「SOUTHERN ALL STARS」や「稲村ジェーン」を聴き
「いつかこんな田舎出て上京して、
バンドが結成された青学に入って素敵な恋をして
曲に出てきた江ノ島とか鎌倉に行こう」と幼心に誓った。

 あれからもうすぐ30年。
おつむが足りず青学には入れなかったが
結婚に伴い東京に住むようになり、
毎年お正月には車内でサザンを聴きながら
湘南の海を通って鎌倉の鶴岡八幡宮に初詣にいくようになった。
思わぬ形で夢は叶うものなんだなーと思っていたのだが
実父が要介護状態になり実家に帰省する回数が増えていくうちに
地元の関西が恋しくなってきた。
 そんな時全国のラジオ番組が聴けるアプリで大阪のラジオを聴いてると、
ヤバイTシャツ屋さんというバンドの「あつまれ!パーティーピーポー」が流れ、
メンバーが学生のノリで楽しそうに笑いを交えてトークを繰り広げていた。
彼らの話す関西弁を聴いてると、友達と描いた絵を交換し合いマンガや音楽の話で盛り上がった学生時代に戻ったようなノスタルジーに浸ることができた。

 彼らの音楽は私が今まで聴いてこなかったメロコアというジャンルらしいのだが、
有名大学に通いウェイウェイしてる学生や
自分の最寄り駅周辺がパッとせず
住んでる市より栄えている街に憧れつつ皮肉を言う歌詞に
自分の学歴と地元にコンプレックスを抱く私はとても共感した。

サザンを聴いていた時は、
「都会に住みドラマのような恋をする大人」への憧れを抱いていたが
アラフォーになりヤバTを聴いてると
「地元に住んで多少不満はありつつそれすらもエネルギーにして
気の合う仲間と楽しく過ごす大学生」になりたかったと思わせる。

 今まで「ポスト・サザン」というキャッチフレーズをつけられては
消えていったバンドが数多くあるが、
ヤバTがその座を狙えると確信したのは新曲「癒着☆NIGHT」を聴いてからだ。
炭酸飲料のCMで流れた時はキャッチーで楽しい曲だなと思っていたが、フルで聴くと
実はサビの歌詞が少し異なり男女の情事を匂わせる。
それでも不快感がなくさらっと聴けてしまうのは
耳馴染みの良いメロディーラインなのと
ベースのしばたありぼぼの可愛らしい声で
いやらしさが中和されているからだと思う。
女性の声が入ることにより、
男性ばかりリードするのではなく女性側も積極的になって
1つになりたいのという意思表示になり、
結果男女共に聴ける曲になるのではないか。
サザンは性的な行為を思わせる歌詞の曲がとても多いが、
歌詞をここに書くのもためらわれるデビュー初期の曲「女呼んでブギ」は
ハスキーで時にウエットな声で歌う桑田佳祐にドキドキするが、
キーボードの原由子による爽やかな
「もう一丁」というかけ声により緩和されている。
(時に「マンピーのG★SPOT」など、緩和されずに暴走している曲もあるけれど)
 WebのインタビューでヤバTの3人とも
幼い頃に両親が流していたサザンの曲を聴いていたと言っていたので、
彼らの気づかないうちに
キャッチーなメロディーと学生時代のような楽しいノリの良さ、
時々ドキッとさせる歌詞というサザンのエッセンスが
楽曲やパフォーマンスに反映されているのかもしれない。

ヤバTもサザン同様、デビューして40年経っても
ステージ上を駆け回る国民的バンドになるまで私は見守り続ける。
 
 
 
 

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