517 件掲載中 月間賞発表 毎月10日

2017年6月21日

たけざき (22歳)
46
この数字はTwitterやFacebookでのリツイート・いいねなどの反応数を合算して算出しています。

しがらみと日常を飛び出して

21歳、女、一人で初FUJI ROCK

音楽文が好きです。なので大切にしてきた日記をここに託そうと思います。下ばかり見て俯いてる誰かへ届けば幸いです。

2016年、21歳の私は死にたかった。恋愛も仕事もここに書くにはあまりにくだらなく、重たいようなことが相次ぎ、自殺について考えない日は無かった。21歳、周りの友達も就活や就職で予定が合わず遊びに行く事も減ってしまった。どうにかして良い方向にいかせようとしても色んな原因に苛まれ上手くいかない。下だと思っていたその更に下へと事態が悪化していってしまう。

梅雨の時期、重たい空、暗い部屋の自室、ベットの上でぼんやりと重たい頭である考えが浮かんだ。それは形にするのならアーティストYUKIさんの言葉のようなもの。

”楽しいことにどんどんとびついていこう
それ以外の悲しいことや辛いことは勝手に向こうからやってくるんだから”

そして思い出した、もうすぐ夏だという事。そしていつかいこうとしていたFUJI ROCKがあること。

年初めに別れた彼氏が言っていた”FUJI ROCKなんてまだ早いんじゃないか?君の知らないアーティストも山ほどいるコアなフェスだよ。君が行っても楽しめるはずがない”と。その度に、好きなことは好きなことに繋がっていくんだと反論していた思い出が脳裏に浮かんだ。そんな言葉は関係ない、好きならそれを選べばいい、飛び込めばいいのだ。
そして思い切って未知の世界である、FUJI ROCK’16の申し込みのボタンを押した。

季節は過ぎ、気づけば私はFUJI ROCKへ向かうバスに揺られていた。

一緒に乗り合わせる人の服装や靴をみてこれで良かったのかな〜と不安になりつつバスに揺られる。夜が明けて空が明るくなってきて気づけば、バスの中から見える景色が段々緑と青空ばかりになる。どこをとってもジブリのような絵になる景色。広い田んぼに一つ小さな家があったり、紫陽花が綺麗に咲いた木造の小さな駅舎、コンクリートの隙間から見える緑が綺麗なトンネルは、なんだか忘れられない景色だった。

初めてなもんで、ゲートへはどこから行けばいいのか分からない為周りの人に聞いて向かう。あたりにあるゴンちゃんを見て、ワクワクし始める。そしてゲートが見えた瞬間、来たんだ!と感動した。いつかが、私の目の前にある。
 

ゲートを超え中に入れば、まずは腹ごしらえ。ワールドレストランエリアの所でお酒を買う。店員さんは外国人で少し日本語が話せる人だったので、初めてFUJI ROCKに来たこと、ここがFUJI ROCKで一番目に選んだお店である事を伝えると、お酒を作ってくれている間、店員である彼が、頑張って覚えている日本語を思い出しながらこう言ってくれました。

”初めてのフジロックにここを選んでくれて有難う”

とても暖かい気持ちでマンゴーラムを呑んだ。

2016年のFUJI ROCKは20周年という事もあり出演するアーティストが私には豪華に感じた。運良く、私が行くと決めた日は好きなアーティストが数多くいて楽しむことが出来たし、知らないアーティストの音楽も通りすがりに気になれば足を止めて聴く、これもまた良い。

そんな中で、あるアーティストのライブが自分の胸に深く届いて染み付いた。みなさんが悠々自適に暮らしていけますように、と願いを込めて歌われた歌。いつもと違うアレンジだ、なんて聴いていると不意を突かれた。そして、それを聴いたときに自殺したがっていた自分が本当にそこで死んで生まれ変わったような感覚がした。

お酒を呑みながら、足だけ川につけたり、自然を楽しんだり、もちろん音楽を楽しみながらふらふらする。家族以外、私がFUJI ROCKに来ている事は知らない。iPhoneもカメラ以外は使わない。音楽と自然が溢れるFUJI ROCKの道を進んでいく。
 

フィールドオブヘブンエリアでは服を買った。そしてそれに着替えて、自宅から着てきた服はゴミ箱に捨てた。
着替える場所は店員さんの優しさで更衣室を貸してくれた。そこは絵本に出てきそうな三角のテント。購入したスカートとテントの可愛さのあまり、中で飛んだり踊ったりした。もちろんテントの中は一人だ。

そのまま、ルンルンしながら道を歩けば、外国人の女性からスナップを撮って貰えた。ロック?ロッキン?何とかって言っていたように聴こえたが発音が良過ぎて聞き取れなかった。何より私は照れていた。

暫くしてFUJI ROCKを抜けて温泉へ。会場の周りにも少し歩けば色んな温泉がある。

その温泉の受付がイケメンなお兄さんで、普段人見知りな私はまた照れてしまった。会計時、次回使えるクーポンをくれた上に、値下げもしてくれた事に気付いて、私が有難うございます!というと受付のお兄さんは”(クーポンあげたのが)そんなに響きました?”と笑った。クーポンに凄く感動した人みたいになったのだが、違う、違うのだ。けれども嬉しい。2017年はまたこの時貰ったクーポンを使いにいきたい。

FUJI ROCKに来てよかった〜と思いつつ温泉に入ると驚いた。人が少なくてのんびり出来るし、露天風呂は紫陽花がとても綺麗だった。

ぽつり、ぽつり、と人がいて少し寒いくらいの空気に綺麗な紫や青の紫陽花。

お風呂に入りながらいつものストレスが嘘みたいだな、と思った。本当の自分が確かにそこにいて、この本当の自分をどんなストレスに苛まれても掴んで離さないでおこうと思った。そうしたらきっと生きていける。本当の自分はどんな自分より強くて素晴らしい。

お風呂上がり瓶の牛乳を買って飲んだ。隣の外国人男性もなんだか私の見よう見まねで牛乳を飲んでいて可愛かった。
 

すっかり景色が変わり夜のFUJI ROCKへ戻る。また一味違う、幻想的な世界だ。

ライブを観ながらふと感じた。人見知りで友達が少ない私は、尚更同じ音楽の趣味の人がいない。アーティストも私の周りの人とは少し違うものを聴いて過ごしてきた。けれど、ここには同じものを聴いている人たちがいる。感じ方は違えど、一人で感じていた音楽をここにいる大勢の人も感じていたのかと思うと、繋がっていないのにずっと今までも繋がっていたような不思議な一体感があった。

暫く色んなところを歩いて観て回る。ふらっと立ち寄った海外アーティストの音楽が素晴らしかった。またそれを聴いている周りの外国人は日本にはあまりない音楽の楽しみ方をしていた。静かに記録するように見つめている人もいれば、肩を組みあったり、踊る人もいる、全員が自由に音楽を聴いていた空間は初めての経験で大好きになった。

ライブが終わってもどこかでどんぶらこ、どんぶらこと大きな風船を担ぎ余韻に浸る外国人。なんて自由な大人達、そんな空間が大好きだ。

またね、とゲートを一度振り返る。帰りのバスに乗って二秒で寝た。
 

FUJI ROCKに行くまではとりあえず生きていよう、と思っていた2016年。そして気づけば来年もFUJI ROCKに行こうと思えるようになっていた夏の終わり。

もうすぐまた夏が来る。2017年、今年もまた私はFUJI ROCKに行く。

  • 投稿作品の情報を、当該著作者の同意なくして転載する行為は著作権侵害にあたります。著作権侵害は犯罪です。
  • 利用規約を必ずご確認ください。
  • ハートの数字はTwitterやFacebookでのリツイート・いいねなどの反応数を合算して算出しています。
音楽について書きたい、読みたい