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ほらね君には富が溢れている

わたしを救った椎名林檎

「この曲によって救われた」

音楽が好きな人なら一度はあると思います。わたしも辛い時に聴く曲、片思いしたときに聴く曲、一部音楽をプレイリスト分けしてます。

「この曲によって辛さがまして、涙を流した」

そんな曲もあると思います。私もたくさんあります。

しかしどちらをも兼ね備える曲はそこまで無いのじゃないでしょうか?今回は救われて、落とされて、でも大好きな1曲を紹介させてください。
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2009年、高校1年生のわたしを救ってくれたのは椎名林檎のありあまる富でした。

その年はわたしが高校に入学した年でした。中学時代一緒に苦楽を共にした部活仲間はプライベートを過ごす友達になり、勉強は学校の授業には最低限ついていけて、長い休みがあれば家族旅行に行く。そこそこ幸せに過ごしていました。

高校に入学して数ヶ月たったころ、初めて不穏な空気を感じました。両親の喧嘩です。決してわたしの前で言い争うことはないけど、夜わたしが寝たあとの雰囲気は最悪で、毎晩言い争っていました。最初は気づかなかったけど、自室を暗くして勉強していたとき、寝たと思ったのでしょう。聞きたくない言葉がたくさん聞こえました。やがて日中でもあきらかに両親の機嫌はよくなくなり、数ヶ月後離婚しました。

親に心配をかけまいと、「あなたたちの人生だから好きにしなよ」と、ダメージを受けていない態度で日々を過ごしていました。

でも、やっぱり辛かった。

道を歩けば両親に手を繋いでもらっている子ども、ファミレスに行けば仲良く話している家族。いままで当たり前に過ごしていたものたちが、手にすることはできなくなってしまいました。知らない人たちが凄くすごく…羨ましくみえました。

そんな当時のわたしにとって一番大きな事件が起きた数週間後、ありあまる富を改めて聴くと心が少し軽くなりました。

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僕らが手にしている富は見えないよ
彼らは奪えないし壊すこともない
世界はただ妬むばっかり
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はっとしました。他の家族のことを妬んでばかりで、自分の家族の離婚という嫌な出来事ばかりに目を向けてしまっていたのです。

離婚して一緒に家にのこった母は、たくさんの愛情をそそいでくれました。苗字だって、本当は戻したかったはずなのに、変えたくないわたしの気持ちを尊重してくれたから今でも父と同じ苗字を名乗っている。

離婚して少し離れて過ごすことになった父は、わたしが困った時、悩んだ時、どんなときもわたしの味方でいてくれました。

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もしも彼らが君の何かを盗んだとして
それはくだらないものだよ
返して貰うまでもない筈
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両親に奪われてしまったとおもった家族という戸籍上のカタチは大切かもしれないけど、わたしが毎日涙を流すほどのことではなかったのかもしれない。

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何故なら価値は生命に従って付いている
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家族というカタチは壊れてしまったけど、みんな元気に過ごせていて、今の時代簡単に連絡がとれることを考えたら、毎晩決まって泣いていた枕を濡らさないで過ごせるようになりました。
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そして数年たった2014年、ありあまる富がアルバム日出処に収録されました。あぁ、このわたしを救ってくれた曲をアルバムでも聴くことができる、と社会人になったわたしはすぐに購入しました。ありあまる富に限らずすべての曲を何度も再生しては浸っていました。

翌々年2016年に祖母が、2017年に祖父が亡くなりました。そこからこの曲は一度わたしをどん底まで落とします。

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何故なら価値は生命に従って付いている
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生命にしたがってしか価値はないの?
死んでしまったら終わりなの?

病気を患っても、リハビリが思うようにいかなくっても、頑張って生きてくれた二人が、もういません。祖父母の死別をきっかけに、数年前にわたしを救ってくれたこの曲を、しばらく聴くことができなくなってしまいました。
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三回忌もおわった今、久しぶりに祖父母の家へと足を運びました。いつも遊びに行っては俵おにぎりを握ってくれた祖母、2人になった瞬間だけ彼氏の存在を確認する祖父。行ってもいないのが辛くていけませんでしたが、気持ちも落ち着いてようやく行くことができました。

改めて家を見渡してみると、思い出がたくさんありました。たくさんの写真・一緒に旅行した時に買った洋服・代々来て来た振袖・孫用に買っていたアイスクリーム。もう姿は見えないけど、祖父母がわたしたちを思ってくれていた証がたくさんありました。
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君の喜ぶものはありあまるほどにある
すべて君のもの 笑顔を見せて
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わたしたちは生きていて、祖父母の生前の思いを感じることができる。一緒に過ごしてきた年月は消えないし、わたしのこころに残っている。ほらね君には富が溢れているって、林檎さんに言ってもらっているようでした。
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この曲を通してより辛さが増すこともあったけど、年月を歩むことにより、改めて生きることや自分のまわりにある幸せに目を向けることができました。

もし何か辛い想いやをしていて元気がでない人が身近にいれば、教えてあげてほしい一曲です。

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