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変わらない世界で、楽しむために。

UNISON SQUARE GARDENを知る

「変わらない世界で、開いて行く。」(箱庭ロック・ショー)

私が思う「世界」は、それぞれの人が持っている、その人自身の「人生」だ。
私は、私の世界の中で、秘密にしている"スター"がいる。
 
中学生の頃、生まれて初めてCDを買った。
それまで、音楽を自分から興味を持って聞いた事はなかった。

UNISON SQUARE GARDEN
3ピースロックバンド。
メンバーは斎藤宏介、田淵智也、鈴木貴雄。

ラジオで通りかかった彼らのメロディーを掴んだのは自分だ。
初めて再生ボタンを押す時、私の何気ない日常が変わっていく匂いがした。

UNISON SQUARE GARDENは、知れば知るほど、魅力が見えてくるバンドだった。
彼らの楽曲は、不思議な魔法がかかったように輝いていて、聞いているだけで楽しい気持ちになれる。
一見意味のなさそうな歌詞たちが、聞く時によって、グッとくるフレーズに変わる。
新曲を聞くときには、一聴で難解な歌詞をいかに多く聞き取れるか、という独特の楽しみ方が出来る。
初めて彼らのライブ映像を見たときには、本当に3人で演奏しているとは思えないほど圧巻で、鳥肌がたった。
そこに映る彼らは、他のどのファンよりも楽しそうに見えた。
そして、バンドの、"ファンとは一定の距離を置き、お互いに自由に楽しむ"というスタンスは私に合っていた。
他人に自分の好きなモノを言うのが苦手だった私は、ファンに対して何も強制せず、自由にさせてくれる彼らを謙虚で優雅だと思った。

中学生の頃の私が、悩んでいた日がある。

その日、私は下校時刻を過ぎても家に帰らなかった。
つま先を見ながら歩き、バスに乗る気にもならず、バス停近くの橋の上から、光に包まれる街を眺めていた。
その光の優しい色が、私を包み込んでくれる気配はない。
周りには虚脱感だけが漂っていた。
ぼんやりした気持ちのまま、橋の下を覗き込む。

しばらくそうしていると、頭の中に、UNISON SQUARE GARDENの曲が流れた。
一見意味のなさそうな歌詞と、速いテンポ。そして、ふいにグッとくる歌詞。
私の頭の中で鳴る、いつも通りの彼らの音楽は、今の自分の滑稽さを浮き彫りにした。
私はハッとして考えた。
彼らは、私がいてもいなくても、音を鳴らし続けるだろう。
それは当たり前の事で、ずっとそうであっていて欲しい。
だけど、私がいなければ、私は彼らの音を拾うことが出来ない。
今の「世界」を変えなくても、この先楽しいことがあるのではないか。
そういえば、私はまだ彼らのライブに行ったことがない。
「よしっ、帰るか!」
私はバス停に向かって歩き出した。
暗かった私の世界を音楽が照らした日だった。
 
それから何年かして、実際にこの目でステージの上のUNISON SQUARE GARDENを見る事ができるようになった。
やはり、生で見ても、彼らの演奏を1番楽しんでいるのは、ファンではなく彼ら自身だった。
いつも通りの彼らを見ると私はとても嬉しくなる。

私は時々、あの日を思い出す。
橋の上で学生が一人立ち尽くしている光景は、周りから見てもかなりヤバかったと思う。
でも、あの日があったから、大切なことを知れた。

この世界は私だけが開いて行けること。
そして、彼らの音楽はいつだって楽しいということ。

今、私が生きている時代は、とても残酷で厳しい環境にあるのかもしれない。
それでも私は、この世界が続いていく限り、楽しむことを投げ出したりしない。
あの日の私のように、どんな状況であっても、悲しくても、楽しさだけは覚えていたい。

彼らの音楽は、この世界の開き方と、音楽の楽しさを教えてくれた。 
変わらないこの世界は、何かを知るたびに、開いて行く。

そして、私は知っている。

世界一のロックスターの名は、
UNISON SQUARE GARDENだ。
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