4042 件掲載中 月間賞毎月10日発表
この数字はTwitterやFacebookでのリツイート・いいねなどの反応数を合算して算出しています。

SHE'S『悲劇or喜劇』

~Tragicomedy~

深夜ドラマ“ホームルーム”の主題歌『Unforgive』を耳にしてから
無性に気になったのがきっかけになる。

《SHE'S》誰?
偏った音楽癖がある自分は、
それまで全く存在すら知らないアーティストだった。

3年前に旅立った愛犬の犬種がシーズーというものだったからか、
どこか響きの懐かしさからすぐに名前を覚えて縁を感じることが出来た。

『Unforgive』を1日何回聴いただろうか。
1日中かもしれない。

この曲は作者の井上竜馬さんがセルフライナーノーツに記してる通り、
“赦せる人が最も強いと思っていた
僕は赦さない”
“赦したくないものは赦さなくたって良い”
と語っている。

誰もが全てに目を閉じて赦せるわけではない。
許す事が大人の対応であり
物事を綺麗に片付ける美学の常識を人蹴りで軽く覆してくれた。

勿論、ここでいう赦せない対象は
人それぞれ許容レベルがあるけれど
嘘を正当化し悪意をもって人を平気で傷付ける一定のラインをはみ出した悪に対して限定している。

詞にもあるように、
“後悔も贖罪も要らない
過去の記憶はもう変わらない”

―後悔したってもう過去の記憶は戻らないから贖いも要らないんだ
悪い行いは取り返すことが出来ないんだ―
悪いやつは死ぬまで気づけない。

本当にその通りだと共感した。

この不思議なメロディーのピアノロックと芯のしっかりした強い詞との相性がとても小気味良く心地良かった。

この曲は一見、恐さがある。
けれどもそれはある意味裏を返せば
やり場のない怒りと心の声を大々的に代弁してくれるスカッとする清々しい曲だと感じる。
赦せないことを無理矢理赦すことも人にとって辛いからだろう。
それなら心のまま従うことに一票入れようか。
『Unforgive』に。

そして一通り楽曲物色をしていると、、
『Dance With Me 』が好きになった。
勿論、他にも好きなものがあったけれど
突出した明るさにたちまち虜になっていった。

ポップでスタイリッシュな音色は垢抜けていて、
ボーカルの声が可愛い表情を見せてくれる。
この曲はおちゃらけた優しいピエロを連想させる。
よく詞を見ると少し可哀想な息苦しい立ち回りの登場人物が、
泪をぬぐって軽快な足取りで自立してゆくそんなイメージ。

“らしさ”とは何かを考えさせられる。
人らしさ、男らしさ、
女らしさ。

この“らしさ”が時に窮屈になって個人の自立を妨げることだってあるんだと言わんばかりに、
この曲のセルフライナーノーツには…
―自分の理想の正しさまで求められているような息詰まる時代に生きている―
と記されていた。

バランスを保てるのは自分らしさなんだ。

こんなに軽快で明るいメロディーなのに
何気なくしっかりと事の真相にえぐりをかけているその洞察力はとても凄い。

優れた感受性と才能の融合。

万事に光と影が息づいてるその的をしっかり把握していないと、
こんなに良い詞は到底描けない。

またその堅さを多くの楽曲で緩和カバーする綺麗なピアノの音色がしっくりくる。

さて、タイトルにも掲げた“悲喜劇”とは字の通り悲しさと喜び。
すなわち“心”である。

人生を物語にすれば必ずハッピーエンドというわけにはいかなくて、
だからといってアンハッピーエンドかとも決めつけられなぃ。

なぜかというと、
受け止め方と考え方でどう思い感じるかは個々に委ねられているからだ。
個人の主観次第。
ひとつ言えることがあるならば、
大抵の物語は悲喜劇から成るということに偏っている。

『Tragicomedy』の詞とメロディーはとても優しい口調で語りかけてくる。

人と関わると多かれ少なかれ
自己犠牲を伴い、場面によっては疲労感にさいなまれる。

それは仕方のないことで避けては通れないシステムになっていて
逃げ出すこと投げ出すこと、目を背けることで終わるわけでは決してないということ。
その時点で振り出しに戻るだけなのです。

悲劇があるから最後は笑って喜劇を迎える。
悲劇の痛みを伴わない人生や愛なんて
夢物語かもしれない。

人は決して独りでは生きてゆけないし、
しんどい事を嫌う。
愛が心が気持ちがなければ朽ちて生きる意味をも見失ってしまうかもしれない。

また、報われない一方的な気持ちも同じで身を亡ぼし心が蝕まれることもあるかもしれない。

時折私達は道を踏み外してしまっても、
立ち直れるのは必要としてくれる人や
待っていてくれる人、
求められて求める気持ちに動かされていることを忘れずにいたいと思う。

心を取り去ることはできないから。

心は心を求めて寄り添って
支え合い与えあってひとつのものとして呼吸し生きる。

愛する人に出逢うため、守る為に生きている。
生かされてる気がする。

人である以上わかりたくないくらぃ思い知らされる人生の永遠のテーマなのかもしれない。

Tragicomedyの奥行きのある優しい詩とメロディーは、
ピュアな真水のようにスッと体に入ってくる感じがした。

……―君に出会えて僕は変われたんだ
うまくいかない日も愛しい欠片なんだと
愛すために
守るために
僕の心は生きてる―……

心の行き先はいつも心なんだと。
  • 投稿作品の情報を、当該著作者の同意なくして転載する行為は著作権侵害にあたります。著作権侵害は犯罪です。
  • 利用規約を必ずご確認ください。
  • ハートの数字はTwitterやFacebookでのリツイート・いいねなどの反応数を合算して算出しています。
音楽について書きたい、読みたい