夢で逢えたら
銀杏BOYZと先輩と私
2017年4月27日
16
20歳、大学3年生、交際経験ゼロ。
今日も昼下がりのキャンパスにて、友人たちは口を揃えて「カレシ」の話をする。そんな中、私は笑顔で頷く。上手く笑うことが出来ているのかなんて分からない。
中高6年間、女子校に通っていた。楽しくてしょうがなかった。男性アイドルがひたすらに大好きだった、いわゆるドルヲタだ。6年間で1秒たりとも好きな男の子のことなんか考えたことが無かったし、恋愛の悩みとは無縁の日々だった。そんなことを考えている暇があれば、好きなアイドルの動画を見たし、次発売されるCDを何枚買うか考えるほうがずっと生産的だと思っていた。
そんな私も大学に進学し、現実を突きつけられることとなる。同じ教室には男の子がいるし、見たこともない女の子たちの姿を目の当たりにした。彼女らは「恋バナ」しかしない。私は「彼氏がいたことがない」と言うことが出来ず、「彼氏?1人いたよ」とくだらない嘘をついたことだってあった。
入学した当初は、そんな中でも「私にだっていつかは彼氏が出来る」という希望を持っていた。しかし大学1年生が終わる頃、現状に何も変わり無い私は悟った、「これはヤバイ」と。
彼氏ができない反動だろうか、ドルヲタは加速した。好きなアイドルの公演はなるべく入るようにしたし、CDは中高生の頃の2倍は買った。彼氏がいない現実から逃げるために、アイドルに夢中なフリをした。そう、私は拗らせた。ただの喪女だ。
しかしそんな大学2年生の夏、私に異変が起きた。バンドマンでフリーターのバイト先の先輩。黒縁メガネにマッシュでいわゆるサブカル女殺しのルックス。かっこいい。そんな先輩に私は恋をした。
先輩はいつも「GiNg naNg BoyZ」と書かれたトートバッグを肩にかけてバイトに来ていた。ヲタクなだけに行動力の早い私は、少しでも先輩の事を知りたくて検索してみた。どうやら「銀杏BOYZ」というバンド名が書かれているらしい。
私はもっともっとその先輩の事を知りたくて、アルバムを全てレンタルしてみた。アイドルソングしか聴かない私が、銀杏BOYZを聴いた。
「なんてステキな歌詞なんだろう」
6年間女子校に通っていた私にとって、銀杏BOYZは刺激が強すぎた。しかし先輩のためにと思い、私は夢中になってアルバムを聴いた。ストレートな歌詞は、20歳になっても彼氏がいたことがない私の心に響き、刺さった。峯田さんは、私の心のモヤモヤするものを歌ってくれた。
<君の胸にキスをしたら君はどんな声だすだろう>
もし、あの先輩が私のことを好きでいてくれたらこんなことを思っていてくれるのだろうか。
<君に彼氏がいたら悲しいけど 「君が好き」だという それだけで僕は嬉しいのさ>
先輩に彼女がいたら悲しいけど、「先輩が好き」という それだけで私は嬉しい。
<夢で逢えたらいいな 君の笑顔にときめいて 夢で逢えたらいいな 夜の波をこえてゆくよ>(以上「夢で逢えたら」より)
夢で逢えたらいいな、先輩と。
これだけ恋焦がれていても、出会って1年くらいたった今も、先輩の連絡先を知らない。話したことも数回しかない。「私も銀杏BOYZが好きです」なんて言えない。私は恋愛経験ゼロの処女ではなく、この歌詞を歌うような童貞なのだ。
それでも私は先輩が好きで好きで好きだ。銀杏BOYZを聴けば聴くほど、先輩が好きになった。そして私は今度銀杏BOYZのライブに行くことにした、1人で。
いつか先輩と行けたらいいな。昼下がりのキャンパスで、そう思う私であった。
今日も昼下がりのキャンパスにて、友人たちは口を揃えて「カレシ」の話をする。そんな中、私は笑顔で頷く。上手く笑うことが出来ているのかなんて分からない。
中高6年間、女子校に通っていた。楽しくてしょうがなかった。男性アイドルがひたすらに大好きだった、いわゆるドルヲタだ。6年間で1秒たりとも好きな男の子のことなんか考えたことが無かったし、恋愛の悩みとは無縁の日々だった。そんなことを考えている暇があれば、好きなアイドルの動画を見たし、次発売されるCDを何枚買うか考えるほうがずっと生産的だと思っていた。
そんな私も大学に進学し、現実を突きつけられることとなる。同じ教室には男の子がいるし、見たこともない女の子たちの姿を目の当たりにした。彼女らは「恋バナ」しかしない。私は「彼氏がいたことがない」と言うことが出来ず、「彼氏?1人いたよ」とくだらない嘘をついたことだってあった。
入学した当初は、そんな中でも「私にだっていつかは彼氏が出来る」という希望を持っていた。しかし大学1年生が終わる頃、現状に何も変わり無い私は悟った、「これはヤバイ」と。
彼氏ができない反動だろうか、ドルヲタは加速した。好きなアイドルの公演はなるべく入るようにしたし、CDは中高生の頃の2倍は買った。彼氏がいない現実から逃げるために、アイドルに夢中なフリをした。そう、私は拗らせた。ただの喪女だ。
しかしそんな大学2年生の夏、私に異変が起きた。バンドマンでフリーターのバイト先の先輩。黒縁メガネにマッシュでいわゆるサブカル女殺しのルックス。かっこいい。そんな先輩に私は恋をした。
先輩はいつも「GiNg naNg BoyZ」と書かれたトートバッグを肩にかけてバイトに来ていた。ヲタクなだけに行動力の早い私は、少しでも先輩の事を知りたくて検索してみた。どうやら「銀杏BOYZ」というバンド名が書かれているらしい。
私はもっともっとその先輩の事を知りたくて、アルバムを全てレンタルしてみた。アイドルソングしか聴かない私が、銀杏BOYZを聴いた。
「なんてステキな歌詞なんだろう」
6年間女子校に通っていた私にとって、銀杏BOYZは刺激が強すぎた。しかし先輩のためにと思い、私は夢中になってアルバムを聴いた。ストレートな歌詞は、20歳になっても彼氏がいたことがない私の心に響き、刺さった。峯田さんは、私の心のモヤモヤするものを歌ってくれた。
<君の胸にキスをしたら君はどんな声だすだろう>
もし、あの先輩が私のことを好きでいてくれたらこんなことを思っていてくれるのだろうか。
<君に彼氏がいたら悲しいけど 「君が好き」だという それだけで僕は嬉しいのさ>
先輩に彼女がいたら悲しいけど、「先輩が好き」という それだけで私は嬉しい。
<夢で逢えたらいいな 君の笑顔にときめいて 夢で逢えたらいいな 夜の波をこえてゆくよ>(以上「夢で逢えたら」より)
夢で逢えたらいいな、先輩と。
これだけ恋焦がれていても、出会って1年くらいたった今も、先輩の連絡先を知らない。話したことも数回しかない。「私も銀杏BOYZが好きです」なんて言えない。私は恋愛経験ゼロの処女ではなく、この歌詞を歌うような童貞なのだ。
それでも私は先輩が好きで好きで好きだ。銀杏BOYZを聴けば聴くほど、先輩が好きになった。そして私は今度銀杏BOYZのライブに行くことにした、1人で。
いつか先輩と行けたらいいな。昼下がりのキャンパスで、そう思う私であった。
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