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アイドルコンプレックスから抜け出したい!

嵐「Turning up」から魅力を学ぶ

元々シンガーソングライターが好きだった。その人が紡ぐ言葉や独特なメロディなど、個性が垣間見える楽曲がどの人も必ずあることに魅力を感じていた。そして小学4年生でロックというジャンルに出会い、様々なバンドの音楽を聴くようになり、軽音部に所属し、大学4年生の秋まではロックが音楽のすべてだと信じて疑わなかったほどだった。そのバンドでしか鳴らせない音がある、そのバンド“らしさ”があるバンドが好きだった。

一方で、メジャーデビューしていったアーティストはどこか毛嫌いしていた。メジャーデビューというくらいなのでファンだけでなく色んな人に聴いてもらえる機会がぐんと増え、大衆受けする音楽になっていく。メジャーデビューしてしまうとそのバンドの良さがなくなる気がして、好きだったバンドでもメジャー進出をしたら遠ざけている自分がいた。

アイドルでも同じことが言えた。AKB48が進出してきた時はコンセプトの面白さと楽曲のキャッチ―さ、耳に残るメロディで唯一無二だなと思ったのを覚えている。今は同じようなアイドルが多すぎて、ぶっちゃけどのグループが歌っても同じじゃないか、と思えてしまう。そんなこんなで私はみるみる「アイドルコンプレックス」になってしまった。どうせどのグループが歌っても同じだ、なんて聴かず嫌いしていた10代だった。

勿論ジャニーズグループもアイドル集団なわけで。自分が20歳になる頃にはJr.の活動も雑誌で取り上げられていたり、色んなグループがどんどんメジャーデビューしていく中で、「似たような顔の子ばっかだな」とテレビを観てはひん曲がった眼で見ていた。そんな中、とあるニュースが私の目に飛び込んできた。
 
「嵐、2020年末をもって無期限の活動休止を発表」

まじか、と思った。嵐といったら私が小学生の時に大ブレイクし、高校の同級生の中にもファンが多く、日本で一番コンサートのチケットが取れない国民的スーパーアイドル。そんなイメージだった。アイドルを毛嫌いしていた私でさえもメンバー5人の名前とメンバーカラーが言えて、嵐が出演しているバラエティはたまに見ており、アイドルになじみがない私でも馴染みやすいアイドルだと思っていた。そんな嵐が活動を休止する。活動休止の決断に至るまでに2年弱もの時間を使って話し合いの場を設けていたことを知り、彼らの軌跡をたどってみたくなった。
 
2019年11月3日にデビュー20周年を迎えた嵐。50公演以上にも及ぶアニバーサリーツアー、愛は地球を救うテレビのメインパーソナリティー、そして20周年のタイミングに合わせてSNSやストリーミング配信の解禁、大ヒットシングル曲のMV公開、そして天皇陛下即位をお祝いする国民祭典での奉祝曲披露・・・など嵐は活動休止を発表して以来、とんでもないスピードで1年を駆けていった。まるで本当に世界中に嵐を巻き起こすくらいの勢いで。

嵐が20周年を迎えたその日に、ジャニーズ初のデジタルシングルをリリースした。「Turning up with the J-POP!!」とうたわれるその曲は、なんもとJ-POPらしい、だけどどこか革新的な歌だった。5人の武器だともいえるそれぞれの個性を生かした歌声と、サビのユニゾンになったときの美しさ。うわ、すごい曲だ、と思った。メロディもさながら耳に残りやすくキャッチーで、思わず踊りだしたくなるテンポ感。歌詞に込められたメッセージからも、まさに嵐の20周年を飾るにはふさわしい曲だと感じた。
 
――You know what’s coming, You caught the feeling
 閉ざされたドア 開くカギはhere

櫻井翔が力強く胸をたたきながら歌う。櫻井翔が紡ぐ言葉には力があると常々いろいろな番組を見ていると思う。仕事への熱意、嵐に対する思い、そしてファンと嵐メンバーを大切にする気持ち。博識な彼から放たれる言葉だからこそ力をもつこともある。そしてこのフレーズもそのひとつだ。個性豊かなメンバーをまとめあげ、ひとつのゴールに向かって道しるべを先陣をきって作っていくような、そんな彼だからこそこの曲の最初のパートを任され、我々に「ほら!心を開放して!一緒に行くぞ!」と背中を押してくれているように聞こえる。

――近づく 聴こえてくる 全身を虜にさせる Harmonies

続くはリーダー大野智の“全身を虜にさせる”という言葉が一番相応しい歌声だ。嵐のメインボーカルなだけあって、彼の歌声はほんっとうにすごい。クセがないのに大野君だと一発でわかる透き通った声。歌と踊りでメンバーやファンを引っ張っていったリーダーだから歌えるフレーズだろう。櫻井くんが押した背中を、リーダーがその実力で虜にさせていく。このAメロだけで嵐の今までが垣間見える。

―照れさえも揺さぶって Moves baby, Moves baby
嵐のムードメーカー・トラブルメーカー相葉雅紀に「騒ごうよ!」なんて言われたら、どんなにシャイな子たちでもちょっとノってみようかな・・・、という気分になるのではないだろうか。バラエティで見せる圧倒的親しみやすさと笑顔で、世代を問わず人気のイメージがある相葉君。彼が無邪気に奏でる言葉だからこそ親しみがもて、リーダーで虜になった後にこの人たちと一緒に騒ぎたい!踊りたい!と思えるようなBメロがスタートする。

――Yes! リミッター振り切って Loose baby, Loose baby

二宮和也はいい意味で本当に自由だ。二宮くんといえば「演技がうまい」という印象だが、そこには必ず型破りな彼の演技がある。昔バラエティで何かのドラマの脚本家が「思っても見なかった角度から想像を超えてくる演技」と絶賛されていた。彼なりの役への向き合い方で、彼の自由な発想で、成功したドラマや映画は数々あるだろう。そんな二宮くんが相葉君からバトンを受け取り、「騒ぐのにリミッターなんていらないよ!自由にやろうぜ!」なんて、かっこよすぎやしないか?

――そっぽ向いても感じる Ah Yeah
Quiet storm オーシャン越えてWave

嵐大ブレイクの火付け役は、嵐たち本人が認めているように松本潤である。長年の下積みを得て、国民的スーパースターになった現在、テレビをつければいつでも彼らを見ることができるようになった。嵐に興味がない人でさえも彼らの音楽を感じることができる、そして閉静な嵐は海を越えて日本から世界に波を打たせる。これは彼らがデビュー当時から言っていた「世界中に嵐を巻き起こします!」という目標が、20年経っても変わらずに残っている彼らの強い決意の表れなんだろうと思う。それを嵐のコンサートのプロデュースも努め、誰よりも嵐に誠意に向き合ってきた松潤が歌うのは、なんて言うか、エモさを感じる。

――We got that something Your guilty pleasure
ポケットにはFunky beats to drop
We bring the party Let’s get it started
世界中に放て Turning up with the J-POP!!

君に届けたいものがあるんだ、きっとハマると思うよ。
ポケットの中に良い音楽があるんだ!
パーティーを始めよう、音を大きくしてJ-POPを世界中に放とう!

英語はさほど得意ではないが、サビはざっとこんな感じのことを言っているんだとわかる。これは嵐の全世界へ向けて、我々と一緒にJ-POPを楽しもう!といっているメッセージになっている。JET STORMという日本以外の4か国での会見、シングル・アルバム曲をストリーミング配信、北京でのコンサート公演(中止になってしまったが)など、彼らは日本だけでなく、世界を相手に嵐の音楽で勝負している。自分たちが今まで培ってきたJ-POPという武器で、世界中を巻き込んでパーティーをはじめるというのだ。長い道のりを超えて今がある嵐5人が歌うからこそ意味があるフレーズである。
 
MVをみてもらえるとわかるのだが、曲に入る前の冒頭部分でニュースキャスターが「J-POPグループ嵐が、新たな度に向けて準備をしている」と伝えている。「国民的アイドル」でもなく「アイドルグループ」でもなく、「J-POPグループ」なのだ。この曲でいうJ-POPはまさに、彼ら「嵐」の音楽を示しているのだろう。J-POP=嵐で考えると、「Turning up with the J-POP」は「世界中に嵐を巻き起こす」と捉えることができる。そう、彼らは20周年を迎え、様々なことに挑戦し続けて、新たな旅をファンのみんなと、世界中のみんなと巻き起こしたい!と思っているのだ。2020年で一度彼らの旅は終止符を打つと考えられていたが、嵐はそんなことそれっぽっちも思っていない。むしろ新しい入り口に立ったことをワクワクしながら旅を続けていると考えられる。
 
1番だけでもこんなに嵐の20周年の歴史と新たな旅への決意を感じられるが、私が特に好きなフレーズは2番Bメロにある。

――句読点のない情熱をMoves baby
終わりなき夢をLoose baby
巻き起こせ 空前のAh yeah
誘うぜ ほら East and West

句読点の無い情熱。つまり決して途切れることのない情熱ということである。そして終わりなき夢を自由に見ながら、再々言われるように、「嵐を巻き起こそう!」である。嵐が架け橋となって、東から西へと、世界中に、永遠に終わることのない旅をしよう。かっこよすぎる。これをサラッと2番のBメロにぶち込んでくるあたりがかっこよすぎる。
 
MVは嵐を見た人々が急に踊りだして、最後はステージの上にいる嵐と一緒に全世界の人がこの曲を踊っている、というものだが、実はそれは夢オチだった。という構成である。嵐の「世界中に嵐を巻き起こす」というのが、夢の中の話であっても、厳しい現実を突きつけられても、決してあきらめることなく夢を見続けていた、という20周年の旅をこのMVひとつで感じられる。

いや、アイドルの曲でこんなに意味が深い曲って他にあるの??というのが初見の印象だった。そして嵐は純粋に5人の歌がうまい。前述したように圧倒的美声で魅せる大野君、ミュージカルで鍛え上げられて太く力強い声の櫻井君、アイドルらしい甘いファルセットが持ち味の相葉君、セクシーさも兼ね備え低音を担う松潤、幅広い音域をもち表現力と息遣いが抜群にうまい二宮くん。5人それぞれ声に個性があるのだが、5人が合わさると本当に声がとけあって、これがアイドルの正解だと思わせるほど5人の声の調和が良い。ユニゾンになると誰も個性を突出したりしない、けど誰が歌っているのかはすぐにわかる。嵐のほかの曲も聴いてみたが、曲のメロディや雰囲気に合わせて歌い方を変えているため、世界観とも溶け合うし、何よりも聴きやすい。聴きやすい、親しみやすい、というのも、嵐の楽曲の大きな魅力のひとつだろう。
 
ここまで綴ってみて、いやお前完全に嵐ハマっているやないか、と感じるだろう。その通りである。私はTurning Upで嵐の楽曲に興味をもち、聴いていくうちに嵐の人柄などにも魅了され、ライブDVDを集め、今ではファンクラブ会員になるほどだった。嵐はライブも素晴らしい。ジャニーズのライブは最高のエイターテイメントだと言われている。その言葉に恥じないくらい、どこを切り取ってもキラキラしている嵐のライブは、アイドルに興味がなくても楽しめるものだと思う。
 
聴かず嫌いしていたアイドルの魅力。というか嵐の魅力。Turning Upという曲を通して痛感することができた。いまだにアイドルに対するコンプレックスは抜けないが、何でもかんでも同じひとくくりにしたら駄目だなと自分の視野を広げることには成功したのである。ありがとう嵐。そして新たな旅へ、まだまだ世界は終わらない!
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