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SPARK!!SOUND!!SHOW!!という音楽

新時代の奇才による止まらない快進撃、その人気の秘密に迫る

正直、悔しかった。

2019年1月11日F.A.D YOKOHAMA、忘れもしない。こんなにハチャメチャなバンド、好きになる訳ないと思っていた。ライブを終えた私の頭はSPARK!!SOUND!!SHOW!!という前代未聞の奇才バンドでいっぱいだった。
 
この日、あるバンドの対バンゲストとして呼ばれていたSPARK!!SOUND!!SHOW!!、通称「スサシ」。私は主催主のバンドを観に来ていたのだが、偶然早めに到着して興味本位で観た彼らに見事に魅せられてしまった。思惑にはまった。悔しい。あの曲はなんと言ったっけ。気になって仕方ない。その時のもどかしい気持ちは今でも鮮明に思い出せる。
彼らのライブはいつだって破壊的だ。タナカユーキ(Vo/G)、チヨ(Ba/Cho)、タクマ(Syn/G/Cho)、イチロー(Dr/Cho/169)の音に支配されたライブハウスはもはや無法地帯、やりたい放題の世界に一変する。過激なパフォーマンスやMCに初めは驚いた。取っ散らかっていて頭がついていかない。彼らの世界が大爆発していて置いて行かれるのかと思いきや、観客全員を取り込んであっという間に熱狂させてしまうのだ。ハチャメチャで非現実的、それがなんとも心地よく、中毒性があるのはなぜだろうか。
 
《正直 ジャンルがなんとかよくわからんからとりあえず名乗る/“CHAOS POP”》
(“スサシのマーチ”)
 
彼らの音楽にはジャンルもなければ常識もない。既存のジャンルに属さない彼らだけの“CHAOS POP”を確立したスサシは、そのうえ事務所にも所属せず、自主レーベルで活動をしている。よってライブは撮影自由、メンバー自身がライブの様子をSNSにアップするように煽っているのだ。大型フェスに出演しているようなバンドとしてはやはり異端である。このように前代未聞で時代に適応している活動方法も、刺激を求める若者の心をつかむ一つの要因なのだろう。
 そして何と言ってもスサシはその二面性こそが魅力的であると私は声を大にして言いたい。スサシといえば中毒性のある刺激的な歌詞、耳に残るメロディ、ぶっ飛んだ曲調を思い浮かべる人もいれば、どこか既聴感のあるレトロな曲調、メローなメロディを思い浮かべる人もいるだろう。このギャップこそがファンを恍惚とさせる秘訣なのである。
 
《我愛你 I think 最新 サランヘヨ 反吐でベットベト 愛してるなんて言葉だけ ファッキューベイビーアイラブユー》(“無無愛”)

《感電!べらんめえ 腰に響くビリリ 新時代マシマシ oh oh oh oh》
(“感電!”)

《南無妙法蓮華経 鳴かせてみるなら ホーホケキョ 何もあらへんサッダルマ プンダリーから今日はバイトも休む》(“南無”)
 
意味不明なのになぜか頭に残る。聴いたことのない、刺激的なものだからであろう。しかもその中毒性を狙って創作されたわけではないということが感じられ、やはり彼らの感性は新時代を代表しているように思えるのだ。
 
《なぁ アワーミュージック 聞いてくれ 媚びずに音楽がやりたい その瞬間に不自然になるんだ》
《思ってないことは言いたくないんだ 指図すんなよ》
《まず第一素直でいたい しょうもないやつにお世辞言えない その瞬間に毒が混ざってしまうんだ》
(“アワーミュージック”)

《俺は俺自身のメロディで生きていたい この青春に生かされていたい 笑いに変えて逃げるのはもう飽きた》
(“ソウルナンバー”)
 
本当に同じバンドの曲なのかと疑ってしまうほどピュアで真っ直ぐな思いが綴られている曲たちだ。本当にズルい。このようなテイストの曲は他にも“ミッドナイトサイダー”や“still dreamin’”などがあるが、こんなもの惚れてしまうに決まっている。当然ファンから絶大な人気を誇っている曲たちであるが、このような曲をたまに出してくるという点がスサシのズルいところで、ギャップにやられてしまう私たちはまんまと彼らの思惑にはまってしまっているという訳である。これよってライブにもメリハリがつき、さらにエンターテインメント性が向上するのだ。その作曲センスこそ実に天才、奇才である。
 
 スサシのブームにはとても夢がある。私が初めて彼らに出会った頃は小さいライブハウスで暴れていた彼らが、たった一年もしないうちに京都大作戦やSATANIC CARNIVALに初出演を果たし、そして私とスサシが出会ったあの日からちょうど一年、2020年1月11日には渋谷WWWにてワンマンライブを成功させている。しかし彼らは決して浮かれた様子も見せずに、一年前となんら変わらないライブを演っている。変わったのは彼らを観る観客の人数だけだ。彼らは未だに小さいライブハウスでもライブをするし、物販もメンバーが行うことも多い。

「媚びずに音楽がやりたい」

多くのバンドマンが口にしてきた言葉かもしれない。しかしここまでこの言葉通りに活動しているバンドは稀である。本当に格好いいバンドとはこういうことなのだと、彼らを知って初めて理解した。ボーカル・タナカユーキがTwitterにて投稿していた言葉に、胸を打たれたことがある。ファンがYouTubeにライブの動画を非公式にアップしていることに関して、他のファンが「普通のバンドだったら怒る」と発言し、それに対してタナカユーキは

「そーゆーの怒るのは大体金が欲しい大人だけなんで!アーティストからしたらいい表現が広まる事の方が大事やしメリット、それがアーティストの収入に繋がれば今後一層良い表現ができる」(タナカユーキ・Twitterより)

と答えた。本人は「寛容」なつもりが一切なく、本心でこう考えているのだという事がひしひしと感じられ、より一層彼らのことが好きになった。
 
 彼らの快進撃はこの新時代において必然であるように思える。SPARK!!SOUND!!SHOW!!は私たちに望まれて現れた革命児なのだ。ハチャメチャなライブ、無茶苦茶な歌詞、狂ったような音楽の中に潜む固い意志がメンバー全員の心でメラメラと燃え盛っている。その意志がふいに垣間見える瞬間に私たちは陶酔し、彼らの虜になってしまう。ズルい。ズルくて愛しい。やっぱり、少し悔しい。

これからも彼らの快進撃は続いていくだろう。私をはじめ多くの人が新曲のリリースやライブのたびに彼らに魅せられ、そして彼らはより大きなステージで、より多くの人を集めてライブをするようになるのだろう。私は、もっともっと大きくなったSPARK!!SOUND!!SHOW!!を観たいし、心から応援していきたい。少し欲張ったことを言うと、大きくなった彼らの根幹にある変わらない部分をたまにでも垣間見れたらいいな、なんて思ったりしている。
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