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アラサー、おいしくるメロンパンと出会う。

眠れぬ夜の音声配信の君へ。

1年ほど前から、音声配信アプリにハマっている。
 
リアルタイムのライブ配信ではなく、収録したものを配信するタイプのものが性に合っていたようで、自分で配信をするのも、他の配信を聞くのも日々の楽しみになっている。
  
そのアプリの中で、先日、たまたま出会った番組がある。
  
配信しているのは、高校生か大学生くらいの男の子だろうか。
声が好みだったことと、話し方に独特な世界観があって惹かれたので、番組をお気に入り登録していた。
  
ある日、彼は好きな音楽の話をしていた。

バンドが好きらしく、いくつか名前を挙げていたのだが、その中で「おいしくるメロンパン」についても話していた。
  
恥ずかしながら、その時点で私はおいしくるメロンパンというバンドを知らなかったので調べてみたのだが、
これが自分の中で大ヒットとなった。
   
まずは、どんなバンドだろう?と気になって、検索をする。
公式ホームページがあり、今時のバンドらしく動画サイトで何曲かMVも公開している。
 
最初に聞くのはどれが良いかなと考える。
「色水」という曲がバージョン違いで公開されていた。
おそらくこの曲が、このバンドの“初期衝動”だとあたりをつける。
(この判断はどうやら正しかったらしい。)
 
「色水」を聴く。
冒頭から一気に曲に惹き込まれる。
 
軽快なテンポに乗せて、透明感のある歌声と軽やかなギターが奏でられる。
それを支えるしっかりとしたリズム隊もとても良い。上手い。
 
何より、歌詞の内容もこの季節にとても合っていて、
7月にこの曲に出会えたのも幸運だったなと、今になって改めて思う。
   
すぐにサブスクリプションで片っ端からダウンロードした。
  
まずは「色水」が収録されている1stミニアルバム「thirsty」を聴いた。

1曲目の「色水」に続き、2曲目にはアップテンポでエッジィなサウンドがかっこいい「シュガーサーフ」。
3曲目には、少し憂鬱なモラトリアムの情景を、曲に変化を持たせつつ爽やかに歌い上げたような「5月の呪い」。
4曲目はファンタジーな世界観の歌詞が民族音楽のような導入で始まる「砂と少女」。
5曲目は歌詞の切なさとサウンドのかっこよさが同居した「紫陽花」という曲ですっきりと締めくくられている。
 
このミニアルバムだけでもとても良かったのだが、この後に聴いた「水葬」という曲で、私はこのバンドから目が離せなくなった。
  
「水葬」は「hameln」というアルバムの1曲目に収録されている。

このアルバムの曲は「水葬」から始まり、「命日」や「nazca」(「ナスカの地上絵」のナスカのようだ。スペイン語では「生まれ」という意味もある)など、曲名を見るだけでも“死生観”や“タナトス”というワードがほのかに漂ってくる。
 
「水葬」は静かに曲が始まり、アンニュイな雰囲気をまといながら曲が進行していく。

「世界はどこまでも薄情なんだね」
「もう一つ目の栓は抜いたよ」

といった歌詞が切ないメロディーと相まってとても心地よい。
  
そんな心地よさに身を委ねながら聴いていると、曲の後半、Vo.ナカシマさんが畳みかけるように激しく歌い上げ、心揺さぶられた。
  
このバンドには、生命力がある。
伝えたいメッセージがある。感情がある。
  
「おいしくるメロンパン」という可愛らしいバンド名とは裏腹に、
良い意味での重さがあって、熱があって、私はすっかり魅了されてしまった。
    
邦楽ロックと呼ばれる、日本の若いバンドシーンを追いかけなくなってしまってもう何年も経っていた。
 
軽音楽部に所属していた学生時代は、インディーズにも敏感で、
私のiPodには次々に新しい音楽が足されていった。
 
年を重ねても音楽を聴くことはずっと好きだったけれど、
ライブからは足が遠のき、最近のバンドにはすっかり疎くなった。
 
以前にSNSで、
“人は25歳くらいまでに聴いた音楽を、それ以降は繰り返し聴くようになって、新規開拓をしなくなる”
というような内容の投稿を目にしたことがある。

その時は、寂しさや悔しさと同時に、本当にその通りだなと身をもって実感していた。
  
けれど、私はまた“好きなバンド”に出会えた。
 
30代になってから、新しく好きだと思えるバンドに出会えた。

このバンドを応援したいと思った。
このバンドの曲がこれからも聴きたいと思えた。
 
なんて幸福なことだろうと思う。
    
ありがとう、音声配信の君へ。
おかげで私は素敵なバンドに出会えた。
 
君の不定期配信も、また楽しみにしている。
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