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TOTALFATが無観客ライブで示した画面越しの"約束"

待ち合わせは、ライブハウスで。

2020年7月20日、ソーシャルディスタンスを保ちつつ、3人の拳がぶつかった。
145日ぶりにTOTALFATはライブハウスで音を鳴らした。
145日前は、彼らが3ピースになって初めてリリースしたアルバム『MILESTONE』を引っ提げた全国対バンツアーのその初日公演が開催(強行)された。
その日はまだ”密”や”ソーシャルディスタンス”のように他人と距離を空けなければならなくなった世界になる寸前。オーディエンスは足の踏み場も戸惑うほどの人口密度で。TOTALFATが鳴らす音楽を通して、狭くて熱苦しいライブハウスで彼らと、私達は心の底からぶつかり合った。

145日経った今日TOTALFATが音を鳴らすライブハウスに、私は居合わせることができなかった。
勘違いしないでほしいが、私だけではない。

無人。この日のライブは、配信ライブ。そう、無観客ライブであった。

私は、少しでも臨場感を味わいたいがためにiPhoneでTOTALFATのライブに共に足を運んでくれる友人達と画面越しで繋がり、酒でも嗜みながらPC画面越しで彼らのライブを見守った。

『Will Keep Marching』と題された今回の配信ライブから総じて、たとえライブハウスが厳しい状況に陥ったとしても、観客を招き入れることができなくても、ライブそのものが開催できなくなっても、それでも音楽を止めない選択をしたTOTALFATの今の姿を見ることができた。

彼らは走り続けていた。

TOTALFATの代名詞的代表曲。
「PARTY!! PARTY!!」と叫ばずにはいられない、オーディエンスの掛け声でライブハウス中に響き渡るというのに、この日は無論、聞こえなかった。
“夏の始まり”を告げ、毎回オーディエンスが頭上でタオルを振り回すあの一体感は、無論見られなかった。
彼らの音楽に呼応して衝動が抑えきれない数々の突き上げられた拳が。日々押さえつけていた感情を溢れんばかりに放出せざるを得ない、モッシュやクラウドサーフの嵐も、無論見られなかった。
演者と観客が呼応し合い、一体となったあの空間が欠けたTOTALFATの無観客でのライブは少しばかり寂しさがあった。そして、できるものなら今すぐにでも画面の向こうに駆け付けたいと思うほどに、私自身も彼らのライブを体感したいという衝動に掻き立てられた。

この日は新曲も幾つか披露された。”My Secret Summer”は7月半ばが過ぎ、後半に突入したにも関わらず、まるで不透明な先行きに不安な私達の心中のような…曇り空が続く毎日に、一気に常夏を感じさせる日差しが押し寄せてくるようだった。この曲が夏を呼び寄せている。そんな気がした。
この状況下に応じて制作された”夜明け待つ”及び”Smile Baby Smile”はTOTALFATが導き出す高揚感とともに一刻でも早くライブハウスでの集合を願うばかりの新曲であった。ライブハウス事情が通常に戻ったとして、この曲達が奏でられた際には、生きてきたこと、それだけに誇らしさを覚えてしまうような。生きていくことだけで勇気づけられる、絶対に生き抜いてこの曲達を生で体感したいと強く思った。

ライブに関わらず大勢が集まるイベントが開催されないまま、(あやふやな)ガイドラインが示されたものの娯楽に関して先行きが不透明なまま世間は、みるみるうちに移り変わっていく。そんな世界に振り落とされまいと生きてはいるが、それでも新しい世界には馴染めない。

「明日が来るのが怖いとか、自分が嫌いだとか、そんなことは絶対にこの俺たちが音楽をもって、言わせないから。だからこそ今日も笑顔でおやすみと、明日も笑顔でおはようって言えるように。届けていきます。」(Shun(Ba/Vo))

“Hello & Goodnight”が始まった。疾走感のあるサウンドとエモさ溢れるメロディが織りなすこの曲が奏でられたときに、TOTALFATの存在感に再び救われた。私にはこんなにも心強い3人のヒーローがついていたことに改めて気づく。

そして、心のディスタンスを解いた”This Life”は、どうか、どうか生き抜いて、またライブハウスで互い巡りに会おうと紡ぎ合わせるように力強い演奏を見せてくれた。この命がある限りどんなことがあっても、たとえ時代が凄まじいスピードで過ぎ去りようとも、何が何でも生き抜いて再び会おう。そんなメッセージが秘めているように感じた。
死ぬことを選択するのはもしかしたら簡単なことかもしれない。でも死ぬ前にまずTOTALFATの音楽を聴いてみてほしい。さすれば必ず生きる意味が見つかる。そのためにTOTALFATの音楽は存在しているのかもしれない。彼らの音楽が生き続けている限り、意味を見失ったとしてもまずは生き抜こう。死ぬのはまだ早い。彼らの音楽が絶対に私たちの心の支えになってくれている。

そして、絶対に”ひとりじゃない”

画面越しの”Place to Try”。待ち合わせはライブハウスで。絶対にあの空間に、TOTALFATが作りだすあの空間に帰ろう。世界がどんなに後ろ指が指されやすい時代になっても大丈夫だ。だってTOTALFATが傍にいる。TOTALFATを音楽を愛した者にしかわからない最高の空間が待っている。絶対に生き抜こう。約束だ。そして、再びまた笑い合おう。泣き合おう。ぶつかり合おう。勿論、心の底から。そんなライブシーンを再び作り上げよう。

TOTALFATの無観客ライブは生きることの”約束”を強いられたそんな時間だったと私は思う。

改めて再び苦境に陥っていく世間の中でTOTALFATの現在の姿を発信してくれたこと、心強く思っている。最大の敬意と感謝を。
そして再び必ず会おう。待ち合わせは、ライブハウスで。
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