唯一無二の未完成バラ色ソナタ
UNISON SQUARE GARDENが散りばめた幸せのかけら
2020年9月2日
33
UNISON SQUARE GARDENとして初の生配信ライブ、「LIVE(in the)HOUSE」の開催から約1か月が経った。
ロックバンドの華麗なる"生存報告"。
そんな最高の出来事から間髪を入れず、8月22日の今宵、生配信ライブ第2弾「LIVE(in the)HOUSE 2」がはじまる。
今回も引き続きファンの投票によるランキングを元にセットリストが組まれた。
前回はトップ30だったが、今回は31〜70位の曲からライブで披露する曲が選ばれている。
定番曲が中心だった第1弾とは異なり、マニアックな曲も多数含まれることが予想され、ある意味でファンを楽しみにさせるライブとなった。
僕自身も普段のライブでお目にかかれない曲と出会えることに、始まる前からライブへの期待値は否応なしに上がっていた。
配信の形態も2回目となると慣れたもので、開場時間に手早くサイトにアクセスすると、バンドのロゴと時刻を記した画面が表示される。
途中で楽器のチューニング音が聴こえるなど、期待感をさらに高めてくれる演出もありつつ、いよいよ開演時間の20:00となった。
表れたのは前回同様「LIVE(in the)HOUSE」のロゴ。
そして、いつものように登場SEの「絵の具」が流れる。
前回と違うのはステージ裏からの映像がないこと。
ステージ上の時計が20:02を示し、それがカメラに映し出される。どこか意味深な演出。
続けざまに斎藤宏介(Vo&Gt)がギターを手に取り、スイッチャーのボタンを踏む。
それまで流れていた「絵の具」がフッと鳴り止む。
剥き出しのロックンロールが僕らの耳を貫いた。
1曲目は「マスターボリューム」、彼らの"2nd"シングルだ。
この「LIVE(in the)HOUSE "2"」の幕開けに選ばれたのはきっと偶然ではない。
ギターソロからの前奏で、対面している斎藤、鈴木貴雄(Dr)、田淵智也(Ba)の姿が順番に映るの見て、僕の頭の中にユニゾンを知った当時の記憶が蘇った。
僕がUNISON SQUARE GARDENというバンドを知ったのは、2011年に放送された「TIGER & BUNNY」というアニメがきっかけだ。
彼らの代表曲のひとつである「オリオンをなぞる」がOPに起用され、アニメの世界観ともマッチした曲に当時の僕は魅了された。
まだロックバンドという存在もうまく認識できていない頃だ。
ちょうどYouTubeにもいくつか動画が投稿されていたので、そのまま目についた曲を聴いていった。
そのなかでも一際心惹かれたのが、この「マスターボリューム」。
前奏の鋭いギター音、どこか薄暗いながらも熱量を感じるメロディ、爽やかなボーカルの姿からは想像できないエネルギッシュな歌声。
どこを取っても完璧だった。
自分が求める"カッコ良さ"の基準を全て満たしたような…そんな曲。
ワンカットで撮影しているMVは、その不安定さも含めて、ロックンロールさながらの歪で剥き出しな彼らの音楽性を体現しているようだった。
「オリオンをなぞる」のポップな方向性から一転しての鋭いキラーチューン…このバンドの懐の広さにもまた魅力を感じた。
当時は"ロックバンド"や"ライブ"というものに縁遠かったので、それ以上に深まることはなかったが、この「マスターボリューム」はひたすらに聴き込んでいた。
数年後にとあるきっかけで彼らのライブに参加し、"わからずやには見えない魔法"にかけられるのだが、これがUNISON SQUARE GARDENとのファーストコンタクトだった。
それから約9年…僕の目に映るのは当時と同じ光景。
ブレブレのカメラで、順番に3人がアップで映される。
カメラが切り替わることはなく、場面が変わるタイミングも同じだった。
さらに言ってしまえば、画面比さえもまったく一緒の状態。
彼らが行ったのはMVの再現であった。
配信だからこそできる手法。
ストーリー性も小道具もない、シンプルに彼らが音楽を鳴らし続けるだけ…不必要なものを削ぎ落として曲の力だけで勝負する演出。
他でもない「マスターボリューム」だからこそ、このやり方を実現できた。
鈴木の絶妙なドラムテクも、尖ったメロディの裏に隠れる田淵の重厚なベース音も、齋藤の心を鷲掴みにされるような叫び声も、最初に聴いた頃から変わらない。何もかもが当時のままだった。
ラスサビ前の激しいメロディには思わず心が震えてしまう。
そんな懐かしさを感じながら、現在の彼らの演奏でアップデートされた曲はより一層鋭さを増して、僕の家という会場に響き渡った。
世に出て長い月日が経っても、ライブの最前線で戦う姿は、まさにUNISON SQUARE GARDENというバンドの真髄を垣間見た気がした。
"健忘症の紫陽花が 真夏になって咲き誇ってる"瞬間に立ち会うことができたから。
いつどんなときでも、この曲は自分にとって揺るぎないものになる。
そんな喜びに似た確信を得たのはここだけの話。
約10年前に歌い、今日この日も叫んだ…頭の中で鳴っているはずの"未完成バラ色ソナタ"は一生完成しないんだろう。
それは不完全だからではない。
バンドとしての歩みを止めない限り、彼らの進化はずっと止まらないのだから。
現状で完成することはあり得ない。彼らの音楽はきっと永遠に"未完成バラ色ソナタ"なのだ。
それが唯一無二のロックバンド、UNISON SQUARE GARDENだ。
この「LIVE(in the)HOUSE 2」は、ランキング31〜70位の曲を演奏するという性質上、定番曲がほとんど登場しなかった。
そのため「マスターボリューム」以外にも、一曲一曲に対して自分にとって特別な思い出が蘇った。
「未完成デイジー」は、"わからずやには見えない魔法"をかけられた学祭ライブを。
「サンポサキマイライフ」は、何度も何度もYouTubeで見返した日比谷公園のライブ映像を。
「crazy birthday」は、記憶が曖昧になるぐらいにはしゃいだ初参加のワンマンツアー「桜のまえ」を。
「マイノリティ・リポート(daring,I love you)」は、人生で辛い時期に奮い立たせてくれた「Dr.Izzy」ツアーを。
「オーケストラを観にいこう」は、素晴らしい演出とセットリストで、UNISON SQUARE GARDENをさらに好きになることができた「MODE MOOD MODE」ツアーを。
そして、おまけで披露された「Phantom Joke」は、"ロックバンドは今日を生きてる"ことを再認識した「LIVE(in the)HOUSE」を。
彼らを知った当時から現在まで、たくさんの"楽しい"が頭の中を駆け巡り、まるで幸せのかけらが無数に散らばっているような時間だった。
配信ならではの演出にも心惹かれたし、聴きたかったあの曲にも出会うことができた。
今日のライブも最高だったことは言うまでもない。
ただ、こんなに多幸感を感じる時間にはしばらく出会えないかもしれない。
それぐらい様々な思いが集約されたライブとなった。
きっとそんな喜びも上書きしてしまうような…最高のパフォーマンスをいつかのどこかで彼らが見せてくれると思うけど。
少なくともこの「LIVE(in the)HOUSE 2」は、僕にとって唯一無二の大切な時間となった。
何遍思ってもまたこの感情に行き着くんだろう。
田淵の言葉が1年越しに頭に浮かぶ。
"UNISON SQUARE GARDENっちゅーのはすげえバンドだな!"
9月には対バンライブ「fun time HOLIDAY ONLINE」、10月からは全国ツアー「LIVE(on the)SEAT」が開催される。
あの日、UNISON SQUARE GARDENと出会えたのは偶然なのかもしれない。
でも、そんな要因がいくつも重なって、今の僕はここにいる。
ひとつひとつが大切な幸せのかけらだ。
明日も僕はそんな幸せを拾いながら、人生という道を歩み続ける。
先行きの見えない不安だらけの行程だけれども。
そこに音楽という希望の光が散りばめられているのなら、迷わずに歩いていけるかもしれない。
ほら、もう目の前に"一つ 二つ もう少し"。
"死ねない理由"ならそこに全部揃っている。
願わくばこれからも自由にでっかい音を鳴らす彼らを見続けていきたい。
それだけで僕の人生は勝手に彩っていくから。
ロックバンドの華麗なる"生存報告"。
そんな最高の出来事から間髪を入れず、8月22日の今宵、生配信ライブ第2弾「LIVE(in the)HOUSE 2」がはじまる。
今回も引き続きファンの投票によるランキングを元にセットリストが組まれた。
前回はトップ30だったが、今回は31〜70位の曲からライブで披露する曲が選ばれている。
定番曲が中心だった第1弾とは異なり、マニアックな曲も多数含まれることが予想され、ある意味でファンを楽しみにさせるライブとなった。
僕自身も普段のライブでお目にかかれない曲と出会えることに、始まる前からライブへの期待値は否応なしに上がっていた。
配信の形態も2回目となると慣れたもので、開場時間に手早くサイトにアクセスすると、バンドのロゴと時刻を記した画面が表示される。
途中で楽器のチューニング音が聴こえるなど、期待感をさらに高めてくれる演出もありつつ、いよいよ開演時間の20:00となった。
表れたのは前回同様「LIVE(in the)HOUSE」のロゴ。
そして、いつものように登場SEの「絵の具」が流れる。
前回と違うのはステージ裏からの映像がないこと。
ステージ上の時計が20:02を示し、それがカメラに映し出される。どこか意味深な演出。
続けざまに斎藤宏介(Vo&Gt)がギターを手に取り、スイッチャーのボタンを踏む。
それまで流れていた「絵の具」がフッと鳴り止む。
剥き出しのロックンロールが僕らの耳を貫いた。
1曲目は「マスターボリューム」、彼らの"2nd"シングルだ。
この「LIVE(in the)HOUSE "2"」の幕開けに選ばれたのはきっと偶然ではない。
ギターソロからの前奏で、対面している斎藤、鈴木貴雄(Dr)、田淵智也(Ba)の姿が順番に映るの見て、僕の頭の中にユニゾンを知った当時の記憶が蘇った。
僕がUNISON SQUARE GARDENというバンドを知ったのは、2011年に放送された「TIGER & BUNNY」というアニメがきっかけだ。
彼らの代表曲のひとつである「オリオンをなぞる」がOPに起用され、アニメの世界観ともマッチした曲に当時の僕は魅了された。
まだロックバンドという存在もうまく認識できていない頃だ。
ちょうどYouTubeにもいくつか動画が投稿されていたので、そのまま目についた曲を聴いていった。
そのなかでも一際心惹かれたのが、この「マスターボリューム」。
前奏の鋭いギター音、どこか薄暗いながらも熱量を感じるメロディ、爽やかなボーカルの姿からは想像できないエネルギッシュな歌声。
どこを取っても完璧だった。
自分が求める"カッコ良さ"の基準を全て満たしたような…そんな曲。
ワンカットで撮影しているMVは、その不安定さも含めて、ロックンロールさながらの歪で剥き出しな彼らの音楽性を体現しているようだった。
「オリオンをなぞる」のポップな方向性から一転しての鋭いキラーチューン…このバンドの懐の広さにもまた魅力を感じた。
当時は"ロックバンド"や"ライブ"というものに縁遠かったので、それ以上に深まることはなかったが、この「マスターボリューム」はひたすらに聴き込んでいた。
数年後にとあるきっかけで彼らのライブに参加し、"わからずやには見えない魔法"にかけられるのだが、これがUNISON SQUARE GARDENとのファーストコンタクトだった。
それから約9年…僕の目に映るのは当時と同じ光景。
ブレブレのカメラで、順番に3人がアップで映される。
カメラが切り替わることはなく、場面が変わるタイミングも同じだった。
さらに言ってしまえば、画面比さえもまったく一緒の状態。
彼らが行ったのはMVの再現であった。
配信だからこそできる手法。
ストーリー性も小道具もない、シンプルに彼らが音楽を鳴らし続けるだけ…不必要なものを削ぎ落として曲の力だけで勝負する演出。
他でもない「マスターボリューム」だからこそ、このやり方を実現できた。
鈴木の絶妙なドラムテクも、尖ったメロディの裏に隠れる田淵の重厚なベース音も、齋藤の心を鷲掴みにされるような叫び声も、最初に聴いた頃から変わらない。何もかもが当時のままだった。
ラスサビ前の激しいメロディには思わず心が震えてしまう。
そんな懐かしさを感じながら、現在の彼らの演奏でアップデートされた曲はより一層鋭さを増して、僕の家という会場に響き渡った。
世に出て長い月日が経っても、ライブの最前線で戦う姿は、まさにUNISON SQUARE GARDENというバンドの真髄を垣間見た気がした。
"健忘症の紫陽花が 真夏になって咲き誇ってる"瞬間に立ち会うことができたから。
いつどんなときでも、この曲は自分にとって揺るぎないものになる。
そんな喜びに似た確信を得たのはここだけの話。
約10年前に歌い、今日この日も叫んだ…頭の中で鳴っているはずの"未完成バラ色ソナタ"は一生完成しないんだろう。
それは不完全だからではない。
バンドとしての歩みを止めない限り、彼らの進化はずっと止まらないのだから。
現状で完成することはあり得ない。彼らの音楽はきっと永遠に"未完成バラ色ソナタ"なのだ。
それが唯一無二のロックバンド、UNISON SQUARE GARDENだ。
この「LIVE(in the)HOUSE 2」は、ランキング31〜70位の曲を演奏するという性質上、定番曲がほとんど登場しなかった。
そのため「マスターボリューム」以外にも、一曲一曲に対して自分にとって特別な思い出が蘇った。
「未完成デイジー」は、"わからずやには見えない魔法"をかけられた学祭ライブを。
「サンポサキマイライフ」は、何度も何度もYouTubeで見返した日比谷公園のライブ映像を。
「crazy birthday」は、記憶が曖昧になるぐらいにはしゃいだ初参加のワンマンツアー「桜のまえ」を。
「マイノリティ・リポート(daring,I love you)」は、人生で辛い時期に奮い立たせてくれた「Dr.Izzy」ツアーを。
「オーケストラを観にいこう」は、素晴らしい演出とセットリストで、UNISON SQUARE GARDENをさらに好きになることができた「MODE MOOD MODE」ツアーを。
そして、おまけで披露された「Phantom Joke」は、"ロックバンドは今日を生きてる"ことを再認識した「LIVE(in the)HOUSE」を。
彼らを知った当時から現在まで、たくさんの"楽しい"が頭の中を駆け巡り、まるで幸せのかけらが無数に散らばっているような時間だった。
配信ならではの演出にも心惹かれたし、聴きたかったあの曲にも出会うことができた。
今日のライブも最高だったことは言うまでもない。
ただ、こんなに多幸感を感じる時間にはしばらく出会えないかもしれない。
それぐらい様々な思いが集約されたライブとなった。
きっとそんな喜びも上書きしてしまうような…最高のパフォーマンスをいつかのどこかで彼らが見せてくれると思うけど。
少なくともこの「LIVE(in the)HOUSE 2」は、僕にとって唯一無二の大切な時間となった。
何遍思ってもまたこの感情に行き着くんだろう。
田淵の言葉が1年越しに頭に浮かぶ。
"UNISON SQUARE GARDENっちゅーのはすげえバンドだな!"
9月には対バンライブ「fun time HOLIDAY ONLINE」、10月からは全国ツアー「LIVE(on the)SEAT」が開催される。
あの日、UNISON SQUARE GARDENと出会えたのは偶然なのかもしれない。
でも、そんな要因がいくつも重なって、今の僕はここにいる。
ひとつひとつが大切な幸せのかけらだ。
明日も僕はそんな幸せを拾いながら、人生という道を歩み続ける。
先行きの見えない不安だらけの行程だけれども。
そこに音楽という希望の光が散りばめられているのなら、迷わずに歩いていけるかもしれない。
ほら、もう目の前に"一つ 二つ もう少し"。
"死ねない理由"ならそこに全部揃っている。
願わくばこれからも自由にでっかい音を鳴らす彼らを見続けていきたい。
それだけで僕の人生は勝手に彩っていくから。
- 投稿作品の情報を、当該著作者の同意なくして転載する行為は著作権侵害にあたります。著作権侵害は犯罪です。
- 利用規約を必ずご確認ください。
- ハートの数字はTwitterやFacebookでのリツイート・いいねなどの反応数を合算して算出しています。