4109 件掲載中 月間賞毎月10日発表
この数字はTwitterやFacebookでのリツイート・いいねなどの反応数を合算して算出しています。

大いなる歴史の中で

エレファントカシマシが歌うわたしたちの死に様

 日本を代表する文豪、森鷗外。
 彼は「舞姫」「山椒大夫」など、日本の文学史に残る数々の名作を生み出してきました。高校生の頃、国語の授業で「舞姫」を読んだ人も数多くいるでしょう。
 そんな森鷗外のことを取り上げた名曲を皆さんご存知でしょうか。

 その曲こそエレファントカシマシ「歴史」。
 2004年発売のアルバム「扉」の冒頭を飾る一曲です。

 日本、いや世界には幾多の音楽がありますが、「森鷗外」という文豪をテーマにこれほどの名曲を生み出せるのは、エレファントカシマシしかいないでしょう。
 人間の生き様や死に様、生き方などについて考えさせられる一曲で、これぞ「日本のロック」というにふさわしい曲です。

 エレファントカシマシの曲には「死」というテーマがよく登場します。
 「あなたのやさしさをオレは何に例えよう」という曲では、生活とは「敗北と死に至る道」であると歌い、「コール アンド レスポンス」では、すべての生命はすでに「死刑宣告」されていると歌います。これは決して暗い意味でもなく、不吉な予感でもありません。人間には必ず死が訪れる。これは逃れようのない事実なのです。

 「歴史 青年期 あらゆる希望を胸に いきりたってヒトに喧嘩(論争)ふっかけた鴎外
  以後 官僚として栄達をのぞみ ドロドロした権力闘争にも身を置いた鷗外」

 「歴史」に歌われる鷗外も例外ではありません。大正十一年七月、森鷗外はこの世を去りました。「歴史」では森鷗外の生涯を歌いつつ、人間にとっての生き様、そして死に様とは何かが歌われます。

 「彼は負けたんだらうか?
  男の生涯 ただの男になって死に様を見つけた」

 小説家であり、また医師でもあった鷗外。
 それでも死ぬときは「ただの男」。

 そんな「ただの男」が死ぬ時の様子。つまり死に様にこそ、彼がどのような人間であったのかという「生き様」が見えるのではないか。「生き様」が映し出されるのではないか。
 
 森鷗外が残した数々の名作、そして生きてきた「歴史」。これこそが森鷗外の生き様なのでしょう。

 「歴史の末裔たる僕ら 残された時間の中で
  僕ら死に場所を見つけるんだ」

 森鷗外の生涯、そして死に様を歌う宮本浩次の歌声。そして曲の終盤、彼の歌声は「わたしたち」に向けられます。
 「死」を迎えるのは、鷗外に限った話ではありません。大いなる歴史の中にいるわたしたちもいつか死を迎えます。この世を去るときに、わたしたちはどのような生き様を見せるのか。いずれ迎える死に向けて、どのように生きるのか。
 「歴史」はそんなことを考えさせる名曲であると、私はそう思うのです。

 エレファントカシマシがすごいのは、このように「死」を歌うことで、「生きるエネルギー」を与えてくれること。力強い生命力をわたしたちに与えてくれます。

 「僕ら死に場所を見つけるんだ
  それが僕らの それが僕らの未来だ」

 この曲を聴きながら、今日もわたしたちは「歴史」を刻んでいくのです。
  • 投稿作品の情報を、当該著作者の同意なくして転載する行為は著作権侵害にあたります。著作権侵害は犯罪です。
  • 利用規約を必ずご確認ください。
  • ハートの数字はTwitterやFacebookでのリツイート・いいねなどの反応数を合算して算出しています。
音楽について書きたい、読みたい