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現代に蘇りし侍

7 MEN 侍が曲に刻んだ意志

侍は歴史の中の人物だと思っていた。だが侍は生きていたのだ。過去と未来を繋ぐ“今”に。
この曲の中で侍は生きている。そしてこの曲を唄う者たちもまた、侍である。
 
ジャニーズには研修生のような存在がいてそれらをJr.、と呼ぶ。Jr.はたくさんの人数が所属しており、もちろんグループも多い。私はそのたくさんのグループを図書館の本、と例える。図書館にはたくさんの種類の本があり、その中には自分が知らないものもあるし知っているものもある。ダンスに特化したグループや、アクロバットで魅了するグループ、たくさんあるなかで私が手に取ったのはスケートボードが上手い、音楽に対しての愛と熱量が高いバンドのグループだった。名は「7 MEN 侍」。ジャニーズと言えば、これは偏見であるが歌って踊る、キラキラとした存在だと思ってる人が多いだろう。しかし7 MEN 侍は少し違う。いや、一線を画すとも言うべき存在であろうか。彼らは楽器を武器とする、名前にもある通り“侍”なのだ。

新型コロナウイルスの蔓延により当たり前でない生活を過ごすことを余儀なくされたなか、エンタメ業界も大きな損出を受けた。ライブをする予定だったが中止が決定した。音楽番組の収録もだ。
しばらく音楽を披露することができない。それはただ、ショーケースに飾られているいつものケーキを眺めるだけの日々。頭が留守になっていた時、オーナーがケーキを作る工程を教えてくれた。それがメンバーの一人の投稿された、ある動画との出会いだった。
その動画の内容は“音楽”について一から説明しているもので、彼は音大に所属している学生ということもあってか喩えがとても分かりやすく、音楽に対しての知識がゼロに等しい私でさえも強い興味を惹きつけるような話しだった。自粛期間中に定期的に上げてくれ、その動画は今にも続く。視聴するたびに音楽に対しての見解が変わっていった。音楽というものは大海。泳ぎ方が少し分かったような気がして、もっと奥深くの蒼然たる景色を見てみたいと強く思うようになった。
新型コロナウイルスに対する規制の条件が緩みかけてきた頃、ふと入ってきた情報。それが無観客ライブの配信だった。ジャニーズの伝統である先輩方の曲を歌うことが多い彼ら、Jr.だが、今回は7 MEN 侍が初めての“自分達が一から創り上げた曲”、いわゆるオリジナル曲を披露する場が設けられた。既存された曲をバンドとしてアレンジしつつも曲の良さを残し、なおかつ自分色に染め上げる。そのような景色を見慣れた中、これは未知であり、どのようなものか待ちわびてたまらなかった。

そして披露されたあの日、言葉に表せないほどの衝撃を体験した。侍は生きていたのだ。曲中にだ。そしてその曲を唄う者たちも侍だったのだ。
曲名は「サムダマ」。初めて世に生み出された曲なのに、どこか聞いたことがあるような、胸のどこか奥底にしまってあったメロディ。そして強い意志を脳に直接刻み込むような強烈な歌詞。画面越しであるのに彼らの掻き乱す楽器の声、感情、息遣い、全てが胸に一気に伝わってきた。あの一瞬は神経をひどく昂らせるのには十分であった。
放心状態だったのだが、これは“ライブ”である。もちろん1回きり。アーカイブがなかったので、私の中での「サムダマ」は幻と現実を彷徨う“記憶”となった。素晴らしさを誰かに伝えたい、だがこの記憶は確かではない。そして現物がないというもどかしい気持ちを味わうこととなる。
そんなこんなで3週間が経った時、朗報が入る。番組での披露、ならびにYouTubeでの公開が決定したのだ。映像として、何度も見返すことのできる確実な“記憶”となる。つまりこれは共有できる。なんと画期的でありがたいことであろうか。
 
そして時は過ぎ、来る9月8日。彼らの音楽は全世界に放たれた。
 
《まだまだ始まったばかりのこの時代で 僕らが今できること
  サムライのメロディー(7 MEN) サムライの証(7 MEN)
  願うだけじゃ終わらない僕らは
  サムライの鼓動(7 MEN) サムライの魂(7 MEN)
  一度決めたならもう譲らない 
  We never give up!》

動画を開き、この歌詞を聞いた瞬間に新たな時代への狼煙が上がったのだと確信した。はじまりであるこの曲、でもなんだかエンドロールでも流れているような。原点にして頂点とはこのことを指すのだろうか。何度も何度もこの曲を聞くたびに感情が溢れて仕方ない。数日経った今でも。

止め処無い思いを手で抄って。溢さないで。筆を走らせることしかできない私だが、もしこの文章が誰かに響いて興味を持つきっかけとなってくれたら嬉しい。歴史に残る侍の生き様を一緒に見届けようじゃないか。
  
(⦅⦆内は7 MEN 侍「サムダマ」の歌詞より引用)
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