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この先も、何度でも

BUMP OF CHICKEN「アカシア」と私の始まり

"透明よりも綺麗な あの輝きを確かめにいこう
そうやって始まったんだよ たまに忘れるほど強い理由"

「夢を持ち続けていよう」というのと、「夢は捨てなくていい」というのは、似ているようで随分違う。……と思う。
夢を持って、追いかけるのには体力が要る。それこそ夢のない話をすれば、それなりのお金も時間も要るし、ものによっては適性やセンスが要る。途中で足を止めたとして、「情熱が足りなかった」なんて言葉で片付けるには、現実はなかなか厳しい。
「夢を持ち続けていよう」と「夢は捨てなくていい」。後者のほうが少し消極的に聞こえるけど、後者の方がちょっと優しい気がする。そう思うのは、私が夢を持ち続けられなかったからだろうか。
夢を追いきれなかったのは、別に誰に叱られたわけでも、止められたわけでもない。何かに挑戦して、打ち負かされたわけでもないし、どうにもならない運命の悪戯が降りかかったわけでもない。自分よりもすごい人が世の中には沢山いるのを知って、ああこれは無理だなぁって自分から降りた、ただそれだけの話だ。
でも、捨てなくていい。続けることを選んでいなくても、なんかすごいドラマチックな展開に憧れていい。都合のいい受け取り方なんだろうけど、それで私の視界はスパッと晴れて、まさに冒頭の歌詞みたいな、確かな輝きを見つけられたと思った。
そう歌ってくれた人たちこそ、BUMP OF CHICKENなのだ。

冒頭の歌詞は、彼らの一番新しい曲「アカシア」だ。
ポケモンとのコラボレーションで、この記事を書いている今、そのMV「GOTCHA!」は、まさに海外からも大絶賛を集めている。
アップテンポの走り出したくなるようなバンドサウンド、歩いてきた道を大事に想いながら、「これから」「この先」を歌う切実であたたかい言葉たち。彼らの音楽に何度もそうしてきたように、自分を「僕」に重ねてべそべそ泣きながら聴いて、すっかり大好きになって、配信リリースからもう何度も繰り返し聴いて、ふと考えたことがある。

もしBUMP OF CHICKENの音楽に出会わなかったら、私は書くことを続けていられたんだろうか。表現することを続けていられたんだろうか。

書くことは好きだから、何かしらは書いていそうだ。でもこんな風な、とにかくすげえんだ聴いてくれよって文章を書いているかというと、ちょっと想像がつきにくい。ずっと物語が好きで、書いてきたのもそういうものだったから。
もしも出会わなかったら、と自分から言い出したくせになんだけど、本当は多分、こんなたらればの話はあんまり意味がない。可能性だけなら無限にあるから、どうとだって言えてしまう。
だけど間違いなくいえるのは、「この文章を書いている今の私」の始まりが、BUMP OF CHICKENの音楽だということだ。
酔っ払いの昔話みたいに、似たようなことばかり何度も言っている自覚はある。もう分かったよいらないよと言われても、何度だって言いたい。今の私があるのは、4人が歌い鳴らす音と、それが繋いでくれた人たちのおかげなんだっていうことを。

"どんな最後が待っていようと もう離せない手を繋いだよ
隣で (隣で) 君の側で 魂がここがいいと叫ぶ
そして理由が光る時 僕らを理由が抱きしめる時
誰より (近くで) 特等席で 僕の見た君を 君に伝えたい

君がいる事を 君に伝えたい

そうやって始まったんだよ"

夢は捨てなくていいと納得した私は、だからといって突き進んでいるわけではない。できる範囲をできるときに、書くことを忘れてしまわないようにやっている。
それで何かになれるのかって言えば、まあ怪しい。書けるものは相変わらずコンパクトだし、知らなきゃいけはいことは多くても、インプットもままならない。こんなのじゃ全然足りないだろう。何かになる前に、結局趣味の域をでないまんま、やめなきゃいけない日が来るかもしれない。それでもこうして言葉をつないでいくことが、私には必要で、大事なことだ。それを思い出させてくれた彼らの音楽も、同じひとものを好きになって出来た友人も。

私はここにいたい。
またいつか、彼らがステージの上から眺めるであろう、その景色の中にいたい。
そうしたら、私が見たBUMP OF CHICKENを伝えたい。特等席じゃなくても、上手じゃなくても、持てる限りの言葉を使って、ありがとう、あなたたちはほんとすげえんだぜって。せっかくこうやって、また書くことを思い出したんだから。

(引用符内の歌詞はすべて、BUMP OF CHICKEN「アカシア」より)
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