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恐るべし宮本浩次

宮本独歩。よどこまで行くのか。

「この先どうなるのかわからない。」
「去年の今頃はこんなことになるとは思いもしなかった。」
コロナの影響で、普通だと思っていた生活が一変し、あちこちで嘆きの言葉として呟いていた。
けれど、この人に限って言えば、この言葉はこちらの思惑を覆す、新鮮な驚きの言葉となる。
宮本浩次のことである。
「まさか、こんなことになるとは思っていなかった!」
作詞作曲をほぼ全て一人で担ってきた人間が、カバーアルバム、しかも女性ボーカリストのカバーアルバムを出すという。
宮本、独歩。のアルバムは凄かった。彩り豊かな曲の数々、毎日貪るように聴いていても未だ飽きるどころか、ますます新しい宮本に感動して聴き入ってしまう。
つい先日もドラマ主題歌の新曲を発表し、続々と「売れる」曲を世に送り出している矢先にカバーアルバムの知らせが届いた。
たしかに、彼のカバーはテレビ番組で歌うたびに話題になり、元歌本人の魅力をさらに輝かせ、テレビ番組で同席した大作詞家松本隆から、「カバーアルバムを出してくれないかなあ?」なんて言われていたくらいだから期待はしていた…。しかしだ。まさかこんなにすぐ実現させるとは思いもしなかった。

初めてのソロツアーが中止になった。いちファンの自分でさえその事を考えると悔しくて、未だに泣きたくなるような気持ちでいる。インスタで中止のことをファンに発表した宮本は、泣き言や恨み言らしきものは一切語らなかった。ソロとして新しいメンバーと練習を重ね、舞台衣装も揃え、いざ本番!というギリギリの時期だった。心血を注いできたソロツアーが中止になって悔しくないはずがない。
それなのに、むしろこちらが励まされるような明るい言葉と表情でそれを告げた。
そして、2020年6月12日、
中止となったコンサートの代わりに、宮本の作業場で配信ライブが行われた。「今日は、私にとっては新しい形で…宮本、独歩。コンサート執り行えることになりました。みんなありがとう!私の作業場なんですけど、ひきがたりで!最後まで、素敵な時間を一緒に作れるといいなと思ってます。楽しんでください。リラックスしてください。いろんな曲を用意してきましたんで。ドーンと行きますんで!」ギターをポロンと鳴らして「じゃあ始めるぜエブリバディ!…うれしい!」と夜明けのうたを歌い出した。自分は「緊急事態宣言で…」の後には当然、「ツアーが中止になって残念だ」という言葉が続くと思った。しかし、宮本は「嬉しい」と。この場所から届けられることを、心底嬉しいと笑っていた。
私は自分の浅はかさを恥じた。

宮本には本当に驚かされる。30周年ツアー大成功の翌年にソロ活動を発表した時もそうだ。ほぼ100%自身の歌しか歌ってこなかった宮本が椎名林檎やスカパラとコラボしたのにも仰天した。そして今度は、ドラマ主題歌のシングルを出した途端に、女歌のカバーアルバムを出すという。こんな展開になろうとは、いったい誰が想像したであろうか?去年の今頃、こんなことになろうと予想していた者がいるのだろうか?

歌というものは出会えるタイミングが大切だ。10年前の自分がエレカシの歌に救われたように、その歌のおかげで生き方さえ変えられることもある。
宮本が敬意をもってカバー曲を歌うことによって、知らなかった人にもその歌と歌い手の素晴らしさに改めて気付かされて、
「こんなことになるとは思ってもいなかった。」
宮本一人だけではない世界が動き出すことになるかもしれない。
世界の大きなうねりの中、我々の全く想像していなかった顔を宮本は見せてくれている。まさか!まさか!の展開だ。

宮本の歌は、彼に困難が訪れるたびにそれを糧にして驚くような展開を見せてきた。だからといって昔の歌を否定するとか古びてしまうことはない。それどころか、どの曲もますます今の時代に寄り添って力を与えてくれるのは、宮本の言葉が偽りのない本物の言葉だからだ。
宮本自身の歌詞の通り、彼は、百年でも足りないくらい(約束)引きずりまわして(俺の道)体の全て使い尽くして(地元の朝)生きていくのだろう。

どの道俺は道半ばに命燃やし尽くす
その日まで咲きつづける花となれ。
(シグナル)
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