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それでもハルカミライがツアーを廻る理由。

俺達のバンドスター

ハルカミライ。
八王子からはじまって今や全国に何万人のファンを持つ、
押しも押されぬ大人気フォーピースバンド。
昨年末には幕張メッセで8,888人ワンマン、ソールドアウト。
全国ツアーをやれば全公演ソールドアウト。
ゲストバンドに彼らが発表されると瞬く間にチケットは売れ、
サーキットフェスではここ数年入場規制がかからなかったことはない。

そんな強大な求心力を持ったバンドが、今まさに全国ワンマンツアーを敢行している最中だ。
「ツアーオブバンドスター」と題し、
このコロナ渦で、まさに今、全国を廻っている。
ツアースケジュールを見ても、
キャパシティ目一杯埋めることなど今の彼らなら造作もない。
寧ろ通常キャパでだってチケットを買えない人が出る会場もあるのではないか。
しかしガイドラインに従えばキャパは大幅に削られ、
ただでさえ買いにくいチケットは争奪戦、まさにプラチナチケット。

僕は最初、このツアーをやる意味が分からなかった。
チケットを買えなかった人が当日の夜に
「今頃演奏してるのかな」
なんてそれぞれの場所で考えてるのはあまりにも辛い。
みんなハルカミライが大好きという同じ気持ちでライブを観たいだけなのに。
一本一本のライブの重みを知っていれば知っているほどその辛さは増す。

そんな中で運良く一般発売で地元の福岡の公演のチケットを買うことができた。
買えた瞬間は喜びと驚きに手が震えたが、
直後に「何人の奴らがチケットを買えなかったんだろうか」と落ち込んだ。
それでも自分のライブが観たいという気持ちは騙せなかった。

当日を迎えるまでせめて黙っていよう。
SNSにはチケットが買えたことは書かないことにした。

そして迎えた当日、整理番号は最後。
一人で会場前に着いて喫煙所でタバコを吸うも落ち着かない。
ライブを観てどんな気持ちになるのかわからなくて、
わくわくするよりもどきどきしていた。
楽しみと同じくらいの怖さがあって、
その怖さが一気に押し寄せてきた。

会場に入るともう既に薄暗くなっていて、
ステージからは音が鳴り始めていた。
いつもの猿のピカロのBGMが大きくなる。
足早にお酒を注文してフロアに着くと、
もうメンバーは喋りだしていた。

「1曲目、あの曲だから。
元気に……声出していいか分かんないけど。
でも隠れて、心で歌ってね」
須藤さんがフロアに話しかけて、そのまま暗転。
6発の爆音が鳴り、四人の歌声だけが響く。

――ただ僕は正体を確実を知りたいんだ
    ただ僕は正体を確実を知りたいんだ――

何度も聴いたはずのその一節が、
自分がずっと抱えていた葛藤を一気に吹き飛ばすようだった。

――欲しい訳では全然なかった
    欲しがる理由も何処にも無かった
    ただ僕は正体を確実を知りたいんだ――

そうだ、理由なんてどうでもよかったんだ。
彼らは演奏したい、僕らはライブが観たい。
そこに理由なんていらなかったんだ。

「つべこべ言わず、かっけえライブがしたいだけ。
そこから動けなくても大丈夫、熱くなって帰ってくれ。
俺達がハルカミライ、よろしく。」
学さんの言葉に、今日も今日とて救われてしまったんだ。

徹頭徹尾、僕らの知ってるハルカミライのライブだった。
アルバムのツアーなのに、新旧問わない選曲。
懐かしいあの曲も、まだまだ馴染まない新曲も、
全力でこちらに投げてくる。
決してぶつけてくるわけじゃなくて、
豪速球同士のキャッチボール。
まるでその場で話しているように変わっていく歌詞。
須藤さんの思いつきで自由に差し込まれる予定外のショートチューンも健在だ。

学さんはある曲の一節を変えて
「また百道浜にも行きてえな」
と今年中止になったTRIANGLEという夏フェスにも触れていた。
それがいつかへの約束にも思えて、堪らなく嬉しくて、
僕は誰にも見られないフロアの最後尾で涙を流した。

いつも通りの、いつも通りを超えていくライブ。
彼らはフロアに飛び込めはしないけど、
僕は声を出して歌うことは出来ない。
でも、彼らの音は確かに僕の中に飛び込んできたし、
声は無くとも心で歌えるんだって教えてくれた。
だからこそ「いつも通り」だと言ってしまいたい。
一番大事な根っこの部分は何も変っちゃいなかったんだ。

彼らがツアーを廻るのは
「ただライブがしたい」
それだけなんじゃないか。
僕らは
「ただライブが観たい」
それだけでいいんじゃないか。
彼らのことだ、ガイドラインがあろうが無くなろうが果敢にステージに立ち続けるんだろう。
それが僕らの信じるハルカミライなんだろう。

最後に。
思わず声に出しそうになったシンガロング。
実は一回だけマスクの下で声が出てしまっていたことを反省として、
いつかこの声も届けられたらと祈りを込めて結びとする。

(文中の歌詞はすべてハルカミライの"PEAK'D YELLOW"より引用)
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