4042 件掲載中 月間賞毎月10日発表
この数字はTwitterやFacebookでのリツイート・いいねなどの反応数を合算して算出しています。

米津玄師が考える「優しい人」って何だろう

日常に起こりうる社会のひずみから見えるもの

 「ババ抜きであぶれて 取り残されるのが 私じゃなくてよかった」

米津玄師『STRAY SHEEP』から「優しい人」の一節がドキリと胸をうつ。

子供の日常でのトランプゲームのババ抜きはよくある光景で、一枚ずつカードが引かれ終盤になると誰がババを持っているかで目を光らせながらカードを使い切るというスリルを味わうゲームだ。

ババを引いたjokerが残ると同時に敗北者も決まる。
 
その光景を見ている私も他人事だと思って巻き込まれずにホッと胸を撫で下ろしている感情に気づく。
 
 「噎せ返る温室の 無邪気な気晴らしに 付け入られる か弱い子 持て余す幸せ 使い分ける道徳 憐みをそっと隠した」

これは抑圧された安全だとされている場所の中での子供同士のやりとりが想像される。
子供は無邪気であるがゆえに、罪の意識もなく弱いものを支配し優位に立ちたがる。
その様子を哀れでかわいそうだという道徳心を焦りながら隠して知らないふりをする傍観者。
 
そうだ。私は30年前に教室の片隅で起きたことを思い出した。
小柄で怒ることなく四コマ漫画をひたすら描いていた彼女のことを。
誰が冷やかしたのか、立ち上がり机を頭上に掲げて怒り狂い始めたことを思い出した。
ただ私は温厚な彼女がこんなにも感情的になったことに対して驚いたことを覚えている。
私はきっと傍観者だった。
未だに記憶しているのだから彼女もまた傷が癒えているのかは不明だ。
翌日も普通に何もなかったように過ぎゆく日々だったことを記憶している。

人間は危険を察知すると自己防衛反応が働くもので、名乗りあげることも簡単なことではない苦しさもある。本能のせいにするのか、逃げかもしれないとあらためて思い返し自分に問う。

 「傍らで眺める私の瞳には とても醜く映った」

『頭を撫でて ただ 「いい子だ」って言って あの子へ向けるその目でみつめて』

同じ瞳=目でも、最初の黒目の瞳孔が開く印象が強い瞳の意味する傍観者から、顔にある目という直接的な目のニュアンスに変わる。

いわゆる同じEYEでも、細かく表現が違うように聴こえる。
きっと全てを肯定して真っ直ぐな目で自分だけをみつめてほしいという嫉妬心。
それと同時に自分の存在を確認したいと願っているようだ。

「あなたみたいに優しく 生きられたならよかったな 
優しくなりたい
正しくなりたい
綺麗になりたい
あなたみたいに」
 
人は優しくなりたい。
けれど優しくなれるのは傷ついた経験があるからこそ他人に優しくなれるものかもしれない。
いわゆる痛みも生じながら生きていく。

正しくなりたいという葛藤

綺麗になりたいという醜さ

自分の全てを受け止めてこそ、優しくなれるのかも知れない。

きっとそんな「あなた」みたいに私もなりたいと祈りながら日常を生きていく。

それが暗闇にいたとしても、一筋の光のようにポッと心を灯すだろう。

米津さんの奏でる優しい音楽に感謝する。
  
多くの人に優しい光が明日も差し込みますように。
  • 投稿作品の情報を、当該著作者の同意なくして転載する行為は著作権侵害にあたります。著作権侵害は犯罪です。
  • 利用規約を必ずご確認ください。
  • ハートの数字はTwitterやFacebookでのリツイート・いいねなどの反応数を合算して算出しています。
音楽について書きたい、読みたい