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2020野音前後

「拠点っていう意味では宮本浩次自身」(SWITCHインタビュー 達人達:2020.9.19放送)

【2020野音前 ~ソロの宮本さん~】

49歳の私は、人生において避けては通れない大きな喪失感の闇から抜け出せないでいた。
何をする気力もなく日々をやり過ごしてゆく。
なんの希望もないままの、これから先の人生は長い。
そんな時にテレビから聞こえてきたのが「ハレルヤ」だった。

please 高鳴る胸をかかえて そんな俺にもう一丁祝福あれ ハレルヤ
please 高鳴る胸をかかえて ああ涙ぢゃあなく 勇気とともにあれ ハレルヤ

胸が高鳴った。ワクワクした。
なんて単純なんだと思うことなかれ。
その瞬間、これから先の人生に希望が見えたのだ。
エレカシの宮本さんだ。
ソロ活動を始め、ファーストアルバムが発売されると知った。
発売日、“高鳴る胸をかかえて”CDを購入した。

「冬の花」
悲しくって泣いてるわけじゃあない
生きてるから涙が出るの

「夜明けのうた」
ああ 夜明けはやってくる 悲しみの向こうに

「Fight! Fight! Fight!」
雨の日も風の日も 行かなきゃあならぬ
暑かろうが寒かろうが
俺たちは行かなきゃあならぬ

「旅に出ようぜbaby」
昨日までの臆病な私の心よ サヨナラ

いつか終わりが来るその日まで 僕ら いかした旅人でいよう

人生の先輩である宮本さんの歌詞の中に救いの言葉を探し出し、私は少しずつ前を向いた。
さらに救いを求めるかのように、存在だけは知っていたエレファントカシマシのCD、DVDを購入し、あれよあれよという間にファンクラブに入会し、幸運にも、先行抽選で野音のチケットを手に入れることが出来た。
 
【2020野音 ~エレファントカシマシのミヤジ~】

まさかのまさかで、A席が“ご用意”されていた。
「独歩」を手にしたその日から、宮本さんの声を聴かなかったことはない。
宮本さんをすぐ目の前にして気絶するかもと本気で思ったし、ライブ初心者の私は音の大きさも心配で、スタート直前に耳栓を装着した。
宮本さんの登場だ。
気絶もしなければ、耳栓も速攻で外した。
まんまの声を聴きたい。

1曲目「序曲」夢のちまた
宮本さんの声が、やわらかくまあるく、すり鉢状の会場を包み込む。
今まで見ていた画面越しではなく、目の前で聴く声量に、その姿に圧倒された。

2曲目「DEAD OR ALIVE」
私が初めて購入したエレファントカシマシのアルバムタイトルでもあり、その1曲目を飾る。
rockin’on.comの「エレファントカシマシ、全23枚アルバムレビューを総まとめ!」を参考にし、“メンバー4人だけでレコーディングされているバンドサウンド”を知る1枚として選んだ。

曲が始まってすぐに、私の中で、“ソロの宮本さん”から、“エレファントカシマシのミヤジ”に変わっているのを感じた。

この日の野音を前に、宮本さんはインスタグラムで
「各世代の、渾身の曲たちを披露する、最高の場にしたい」
「“らしさ”全開の最高のコンサートをおとどけすべく、全力で練習中」
と綴っている。

それはつまり、“エレファントカシマシのミヤジ”として歌うということなのではないか。
残念ながら、楽曲発表時のエレファントカシマシを私は知らないが、歌う時には各世代にワープして、当時の心のままに歌っているに違いない。
だからこそ、時を経てもなお、伝わるものがあるのだ。
私は“エレファントカシマシのミヤジ”に熱狂した。

ミヤジの発するエネルギー、バンドの音を全身に受けた私は、さらに、配信アーカイブを時間の許す限り堪能した。
もうフラフラだった。
私は癒しを求めて“ソロの宮本さん”の歌を聴く。

「P.S. I love you」
愛してる~ 愛してる~ 悲しみの向こう~

ヘッドホン越しではあるけれど、“息がかかるほどそばにいて”優しく歌ってくれるのだ…
 
【2020野音後 ~歌手 宮本浩次~】 

野音が終わったその日の夜、『The Covers』スペシャル企画「宮本浩次ナイト!」が放映された。
せめて今夜だけは野音に浸りたかったが、リアルタイムで見てしまった。
“ソロの宮本さん”でもなく、“エレファントカシマシのミヤジ”でもなく、“歌手 宮本浩次”が歌っていた。
歌詞の解釈の仕方、表現は人それぞれだ。その人自身でしかない。
もはやカバーではなく、“歌手 宮本浩次”の歌そのものだった。

来月、カバーアルバム『ROMANCE』が発売される。
純粋に、“歌手 宮本浩次”の歌唱力を味わおう。

そして再び、“エレファントカシマシのミヤジ”が作る魂のこもった歌詞とメロディを求め、ふらふらになった私は“ソロの宮本さん”に癒されて、他者が作った名曲を歌う“歌手 宮本浩次”に圧倒されるのだ。
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