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再会の挨拶は「はじめまして」

新曲「叫ぶ星」が教えてくれたストレイテナーの核心と魅力

ものすごく個人的で唐突な意見だが、
ストレイテナーは今が一番カッコいい。
  
ここ最近の作品の趣向は
以前のような良い意味でシンプルな
バンドサウンドを基調とした楽曲とは少し異なり、
キャリアと共にステップアップを重ね
より洗練されたものへと変化してきている。
 
どのアーティストにおいても言えることだが、
このような変化は時として
リスナーに"変わってしまった"という印象を
与えることもあるであろう。
しかしテナーの遂げてきた変化は
いつ、どの瞬間を切り取っても心から素直に良いと思える。
少なくとも私はそうである。
     
どの時代も良いと言いながら
今が一番カッコいいと思う理由は何か?
     
何年も前にリリースされた曲。
原曲からして既に充分良いのだが、
今のテナーがリアレンジすると
思わず溜め息や涙が出るほどに
カッコよく生まれ変わる。
 
先日行われた配信ライブ
"TITLE COMEBACK SHOW"
がまさに良い例である。
 
"SAD AND BEAUTIFUL WORLD"
"PLAY THE STAR GUITAR"
"泳ぐ鳥"
"REMAINDER"
テナーを象徴するような名曲たちが並ぶ。

どの曲も素晴らしかったが
"STILLNESS IN TIME"のOJ(大山純)のギターは
圧巻だった。
 
"TITLE"発売当時、まだOJは加入していない。
現体制になってからライブで何度も披露している楽曲もある中で、
この曲はあまり日の目を浴びてこなかった。
そのせいか
どんな風にアレンジされているか楽しみな反面、
そこまで過度な期待はしていなかった。

しかし驚くほどにエモさを増し、
元々持っていた曲の世界観を壊すことなく、
それどころか曲の輪郭をくっきりと描くかのように
上手く溶け込みながら存在感を放っていた。
  
それから
最後の"KILLER TUNE"のアレンジは
遊び心がたっぷりで
早くライブハウスに帰りたくなる衝動に駆られた。

ライブ後のトークでメンバーは
目の前に観客が居ない中での
KILLER TUNEについての
物足りなさのようなものを語っていたが、
ゴリゴリにアレンジの効いたダンスナンバーに
画面越しで盛大にパーティータイムを楽しんでいたのは
きっと私だけではないはずだ。
  
楽曲そのものは15年前のものであるが、
日々成長しながら着実にキャリアを積み重ねてきた
今のストレイテナーだから成立する
魅力満載の本当に素晴らしいライブであった。
     
冒頭で触れたが、
"良い意味でシンプルなバンドサウンドを基調とした楽曲"とは、
テナーで言うことろのまさに"TITLE"の頃のような
楽曲のことである。
 
約15年程前になるであろうか。
当時の私はELLEGARDENやASIAN KUNG-FU GENERATION
の楽曲をよく聴いていた。
あの時代の、あの楽曲たちが
私の中のロックの根源となっている。
そこに絶大な魅力を感じ、
日本のオルタナロックが大好きになった。
 
今も昔も変わらない
私の原点であり、一番好きな音楽。
  
当時の私はあと一歩のところまで迫っていながら
何故かストレイテナーには出逢えなかった。
存在は知っていたが
楽曲を聴くに至らなかった。
理由は全く分からないが、縁とは不思議なものである。
出逢っていればきっとすぐに
大好きになっていたであろうに。
   
時を経て
私がストレイテナーに出逢ったのは2017年。
ほんの3年程前のことである。
  
シーグラスのライブ映像をたまたま目にし、
一瞬にして虜になった。
そこから新旧含めてテナーの楽曲を
聴き進めていくうちに
"TITLE"というアルバムに出逢い、
私の中のロックの原点をそこに見つけた気がした。
15年前に感じたオルタナティブロックへの途方もない愛。
その想いが久しぶりに呼び覚まされたような
気持ちになった。
     
2020年10月14日
ストレイテナーは新曲を
デジタルリリースした。
 
リリースに先駆け、
配信ライブ"TITLE COMEBACK SHOW"の締めに
披露したのが、今回の新曲"叫ぶ星"である。
    
初めて聴くその曲に
衝撃が走った。
涙が溢れた。
  
ここ最近の作品の風潮から想像されるものとは全く異なり
まさに"TITLE"のころのテナーを彷彿とさせるような曲。
 
それでいて、あの頃のままではなく
間違いなく今のテナーの良さもたくさん詰まっている。
言うならば、15年という歳月と経験を積み上げて
"TITLE"の延長線上に存在する、
そんな魅力のある曲であった。
  
それからはリリースが待ち遠しかった。
   
解禁になってからは
何度もリピートして聴いているが、
不思議なのは
聴けば聴くほどにシンプルなのに
(サビのギターアルペジオは早いし複雑であるが)
ものすごくテナーらしさを感じる。
  
逆にあれだけシンプルな曲構成の中で
バンド色を存分に発揮できるのは
テナーだから成し得る技ではないだろうか。
 
個々のスキルの高さや、
良い意味でクセのあるメンバーの個性が
融合することによって生み出される
一種の化学反応のようである。
   
ひとたび音がなればぐっと惹き込まれ、
エモを感じて胸と目頭が熱くなる。
    
細部まで作り込まれたサウンドも
確かに魅力的ではあるが、
私はやはり"叫ぶ星"のような曲が大好きだ。
   
新しいものを取り入れながら表現の幅を広げていく。
その過程で得てきたものをしっかりと握りしめ、
あるとき、ふと原点に立ち返る。
 
以前の空気感や懐かしさはそのままに、
アップデートされた音やメロディやフレーズが
時間軸をただ過去に戻しただけではないことを
証明している。

しっかりと原点を感じさせながら
枠を越えることなく今の最大限を盛り込む。
  
きっと型や枠にとらわれることなく
最新の自分たちを表現することよりも
ずっと難しいであろう。
   
あの飄々とした佇まいで
これだけすごいことを
サラッとやってのけるから恐ろしい。
       
作曲やアレンジのセンス

演奏スキルの高さ

曲によって差はあるが
総括して平熱から微熱くらいのテンション感の中で
爆発する個々の才能
  
あまり広く知られていない気がするが
ストレイテナーの魅力は
作品以外にも本当にたくさんある。
   
ホリエアツシのヴォーカルも大きな魅力のひとつであるが、
やはりソングライターとしての彼の才能は
類稀であるし、
ストレイテナーの世界観の確固たる根源となっている。
 
その世界を、時に鮮やかに
そして時に淡く優しく彩るのが
ナカヤマシンペイのブレないセンセーショナルなドラムであり
日向秀和のアグレッシブで革新的なベースであり
大山純のテクニカルでエモーショナルなギターである。
    
"叫ぶ星"ではOJのギターが
曲の印象を決定づけている。
刹那的なエモーショナル感を漂わせるリフとアルペジオが
良すぎて頭から離れない。
そしてあの疾走感や逞しさ、激しさは
シンペイさんやひなっちなしでは絶対に生まれない。
この曲の"これぞテナー"感の柱となっているのは
リズム隊のふたりである気がする。
さらに、聴いているだけでは気づかないが
自分で歌を口ずさんでみるとものすごく難しい。
歌いこなせるホリエさんはさすがとしか言いようがない。
    
ずっと変わらないテナーの芯の部分と
今のテナーだからこそ可能である表現が
共存した今のテナーにしかならせない楽曲"叫ぶ星"
   
あるインタビューでホリエさんは"叫ぶ星"を
この長い、会えない期間を経て
乗り越えて再会したときの曲にしたい
と語っている。
 
歌詞の中に登場する"はじめまして"という言葉は
再会や、はじめてやっと会えたときの喜びを表しているそうだ。
    
この数年、テナーのライブには何度も足を運んできた。
私が最後にみたテナーはCDJ1920のステージ。

おそらく今年はもうテナーに会うとこは出来ないであろう。
    
この先どうなるかはわからないが、
もし来年、ステージ上の彼らに再会することが
できたならば、
その時はぜひこの新譜を生で聴きたい。
  
再会できた嬉しさ
大好きなこの曲を聴けた感動
テナーの音に身を委ねられる幸せ

きっと様々な想いが込み上げてきて
泣いてしまうであろう。
  
決して立ち止まったり、離れたわけではないが
異例の事態を挟んでの再出発。
    
気持ちを新たに

"はじめまして"

からリスタートを切る。
    
その日を夢みて。
その日を心待ちにして。
       
音楽の力で
耐え忍ぶ苦しさを
待つ喜びに変えてくれる。

そんなストレイテナーを好きになれて
本当によかった。
    
ありがとう。
またライブ会場で。
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