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コロナ時代の「朝焼け」

~BRAHMANとMONOEYESの無観客配信ライブに~

コロナ禍のなか開催されたBRAHMANとMONOEYESの配信ライブを見た。

■BRAHMAN ONLINE LIVE "IN YOUR【   】HOUSE"
 -2020/10/09-

2020年2月以来となるBRAHMANのライブは、札幌 KLUB COUNTER ACTIONで行われた。
映像はBRAHMANを撮り続けてきた写真家三吉ツカサと山川哲也が担当。

当初はニューシングル『CLUSTER BLASTER / BACK TO LIFE』の購入者対象の有料配信ライブとのことだったが、のちにライブハウスビューイングが決定。
全国のライブハウスでドリンク代のみで見られることになった。

私は地方住みで一番近いライブハウスでもちょっとした小旅行になってしまうこと、既に配信チケットを購入していたことなどから、自宅から視聴することにした。

待ちに待ったライブ配信、2曲目の『The only way』から声を上げて泣いてしまっていて、正直一人で見ていてよかったと思った。誰に憚ることもなく泣くことができて。

BRAHMANのライブパフォーマンスは無観客だということを忘れてしまうくらいの熱量で、三吉ツカサのカメラワークの臨場感がハンパなく、ローアングルでTOSHI-LOWを見上げるように映したシーンなどは踏まれ……いや跨がれて行かれそうにさえ感じた。

COUNTER ACTIONの主KOとの『守破離』をキメてからのKOのMCがとてもほんわかしたもので、一気に和んだりも。

クライマックスはコロナにみまわれた春を歌った新曲『BRAHMAN : Demo Track 2020』に続いての『ANSWER FOR...』だった。
TOSHI-LOWが歌詞に詰まり……というより歌えなくなった時間があった。
その顔は泣き顔のようにも見えて堪らなくなり、私はまたボロ泣きした。
『ANSWER FOR...』はいつもTOSHI-LOWが観客の中に飛び込む曲だ。
無観客のフロアは、どんなふうにTOSHI-LOWの目に映っていたのだろう。

曲終わりにMCになだれ込み「立ち上がれ!ライブハウス!生き延びろ!」と。
絞り出すような声で続けたTOSHI-LOWの言葉が重く心に響いた。

そして「さぁ、帰ろう」と『BACK TO LIFE』のイントロ。
登場したBOSSと顔を見合わせてTOSHI-LOWが柔らかく笑う。

このシーンには救われる思いがした。
BOSSありがとう、と思った。

ラスト『ARTMAN』で荒々しく去るTOSHI-LOW、倒れたマイクスタンドのアップ。
BRAHMANのライブを愛し続けてきた三吉ツカサの目線がすばらしかった。


この日の生配信から、アーカイブ終了の10/16までの間にリピート上映をしたライブハウスもいくつかあり、全国85箇所のライブハウスで2,000人近い動員があったとのこと。

ライブハウスでドリンク代だけで見られるとなれば、わざわざシングルを買って配信チケットを入手するコアな層だけでなく、BRAHMANのライブに行ったことがないような人達も、ライブハウスに再び足を向ける機会になったことだろう。


■MONOEYES Between the Black and Gray Live on Streaming 2020
 -2020/10/19-

コロナ対策のため、通常のバンド編成ではなく、着席形式でのセミアコツアーを開催中のMONOEYES。
配信ライブは、バンド形式で行われるとのことで、私は早々に配信チケットを確保し、その日を楽しみに待っていた。

ライブ開始。
4人が向き合って演奏するステージの周りに、円形にレールが組まれカメラが走り回る。
コロナ禍のなか自身のプレイを見つめ直したという一瀬のドラムはよりタイトで重いビートを刻み、それぞれの個性を際立たせながら一体感を増したバントサウンドにブチ上がる。
クレーンやドローンを使用したカメラワークやライティングにもワクワクするライブになっていた。

ライブが始まってしばらくしてチャット欄に英語のコメントが流れていった。
スコットのお母さんだった!
あちらは朝7時。早起きしてコーヒーを飲みながら見ていると!
(終盤では甥っ子たちのコメントも!)

かなり広いスペースを使っているようだし、なんだか天井も高いみたいだなぁ、と思っていると、チャット欄に「武道館」という文字が。
え?武道館?と驚いていると、細美武士のMC。
でも、場所は明かされず。ただ「何故配信なのに月曜かというと、10/19は特別な日なんだ」と。

『Fall Out』が始まり、ステージを囲んでいた幕が落とされる。
天井には日の丸。
武道館だ!!
ドローンが大きく旋回を始め、目の前に広がる景色のスケールが一気に増す。
もう、トリハダ。
なんてサプライズ。

『Two Little Fishes』でTOSHI-LOW来るかなー、と思ったら期待通り登場。
それもノートPC片手にヘッドフォンしてメンバーになんか説明してまわってるw
どうも自宅で見てたらあんまりライブがいいのでPCの中に入っちゃって気付いたら来てた、という設定だったらしいww(その後のMCで判明)
そんなこんなで笑いを取るだけでなく、細美武士に「最短で」と有観客での武道館ライブを約束させたTOSHI-LOW。
心が折れそうな時、人を生かすのは希望なのだということをよく知っているTOSHI-LOWらしいはからいだった。

ラストは『彼は誰の夢』
アルバムを聴いていた時よりも歌詞がグッと胸にせまってきた。

『When I Was A King』の音源が流れるエンディング中、一瀬だけがまだドラムを叩く仕草を続けてくれていて、ほっこり。
画面が切り替わり、ライブ会場の設営映像が早送りで流れる。
そのエンドロールに、どのように大掛かりな設営で、綿密にサプライズが仕掛けられていたか、どれほど多くのスタッフが関わっていたかが垣間見えて、ウルウルきてしまった。



――2つのライブ配信を見て、その余韻を反芻するうちに、あることに気付いた。
2つのバンドは、コロナ後に生まれた曲のなかで奇しくも「朝焼け」を歌っている。


「遠ざかる足音で さよならを告げる 暗闇の遥か 朝焼けに溶けだした いつの間にか生成り色に 俺等を照らして 夜が滲んでく この街の片隅で」
BRAHMAN feat. ILL-BOSSTINO (THA BLUE HERB)『BACK TO LIFE』

「僕らが過ごした 当たり前の日々も 遠くなるけど きっと 蜃気楼みたいに 朝焼けに染まって 笑ってるのさ」
MONOEYES『彼は誰の夢』


2つの曲のシチュエーションは違うけれど、どちらも「朝日」でも「太陽」でもなく「朝焼け」なのだ。

夜の後に訪れる、朝の色。

明るい太陽の光はまだ見えないけど、闇のままではない。
2020年秋、そんな今を、私たちは共有しているのかもしれない。

2つの朝焼けの色を心に抱いて、この冬を越えようと思う。
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