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リアルを諦めてはいけない。

~THE YELLOW MONKEY 東京ドームライブ現地参戦~

その時、ドームは朱く染まった。4割のキャパであったのに関わらず、まるで全ての席が埋まっているかのようだ。一つ一つの朱いライトは呼吸するように歌っている。彼らのロックアンセムを。
「叫んではいけない。大声で歌ってはいけない。距離を取らなければならない。マスクをしなければいけない」
今年初春から始まった災禍の中、音楽を愛する人たちにとって苦難の日々が続く。そのなかで、彼らが選んだ決断は、勇気ある選択だったのか、無謀な賭けだったか、分かるのにはまだ時が必要だろう。それでも私は、この光景に涙し、この場所にいられたことに感謝した。

THE YELLOW MONKEY 30周年記念ライブ、東京ドーム。4月に開催されるはずの2DAYSが形を変えたものだった。キャパは40%、考えられる全ての対策を取った上でのライブ開催。

同時に配信されたオンライン、TV生中継でも、ファンはこのシーンに胸を熱くしたのではないだろうか。

ステージ上でロビンは言う。「見た感じ満員だ」「今ここにいる皆さん、画面を通じてご覧になっている皆さんありがとうございます」「今回の東京ドームは俺達の望む形ではないかもしれないけれど、THEYELLOWMONKEYの勲章として自分の歴史に刻もうと思う」。
この言葉をどう取るかは、人それぞれだと思う。私達は声に出さなくても、ここにいる幸せを体やフリフラ(無線制御型のペンライト)で伝えようと賢明だ。それが彼らに伝わっただろうか。

ロビンは無念だったと思う。彼らの出来る限りを尽くしてステージに立ち、オンラインや生中継を通して、東京ドームの本来のキャパである約六万人をはるかに超えるファンがライブに酔いしれたとしても。
ドームに集まったのは、能天気だからばかりじゃない。色々思うことあったけれど、それでもこの箱の中に来た。それなのに、様々な枷を負わせていることに、ナイーブな彼が辛く思わないはずがない。
よろこびの中にも無念さ切なさを持ち、それを超えてのパフォーマンスだったのではないだろうか。それは多分、エマ、ヒーセ、アニーも同じだったと思う。正真正銘の満員で、ファンが名前を叫び、シンガロングして、笑顔ではち切れる様を見る。それが彼らにとって、至極の瞬間だろうから。もちろん、私達も、ロビンの名前を叫びたかった。エマとの絡みで嬉しい悲鳴を上げたかった。ヒーセとともに「are you ready to spark?」と叫びたかった。アニーと一緒に手を振り上げたかった。

世界を震撼させた災禍は普通にライブ会場にファンが集うことを許さず、アーティストを孤独にしていった。春に予定されていたライブはほとんどが延期、中止を余儀なくされ、その後はオンライン配信が主力となっていく。それは苦肉の策であり、音楽業界やエンタメ業界を救うためには必要だった。音楽に飢えていた私たちにとっても、思いのほか楽しめる
「新しいライブ方式」を受け入れた。

オンラインライブを否定はしない。今後もライブでは、チケットが取れなかったり、どうしても遠征できないファンのために、毎回あるといいなと思う。でも、それは一つのセーフネットであり、それが主流であってはいけない。
今は仕方ない。アーティストを始めとする、エンタメ業界と音楽に飢えたファン達を救済する大事なツールであることは間違いないのだから。

でも、これに満足しないで欲しい。

久しぶりにライブに参戦して思うのは。ここでしか味わえない高揚感と多幸感。そこに大好きなアーティストがいて、私達に大好きな音楽を届けてくれる。
「私はここにいるよ! ここで貴方達を捉えているよ! 叫んでいるから聞いて! 歌っているから聞いて!」
アーティストが叫ぶ。私たちが呼応する。私たちが叫ぶ。アーティストが応える。それがライブだ。心震わせる三時間、何もかもを忘れさせてくれる。オンラインでは絶対に味わえないものがある。

だから……私は強く思う。私達は、災禍の波に飲まれて「リアル」を諦めてはいけない。「リアル」を追い求めることを止めてはいけない。

少なくともTHE YELLOW MONKEYは諦めていない。そんなこと、考えてもいないはずだ。何故なら「40周年も50周年もここでやりたいと思います。その時は、今ここにいる人も画面の向こうにいる人も、ここに集まってください!」と宣言しているのだから。

いつかきっと、そんなに遠くないいつか、私達はまた集えるはずだ。あのステージに立つ輝く人を見るために。心揺さぶられる楽曲たちを聴くために。共にTHE YELLOW MONKEY IS MY LIFE. と謳うために。満員のアリーナでホールでドームでさえも、歓声を響かせ暴れることができる日が。必ずくる。その日まで戦っていく。

全ての音楽を愛する人がその日を待っているのだから。

リアルを諦めてはいけない。絶対。
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