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2020.11.3 長澤知之 四谷天窓弾き語りLIVE

〜ありがとう四谷天窓〜

誰かが書くかもしれないしな。そう考えたりもしたが、やっぱり残しておきたくて駄文を書くことにした。

私のチケットファイルに挟まったままのプレイガイドのチケットよりも少し小振りで木目模様の紙で出来ている「3/15 四谷天窓 井上緑×長澤知之」のチケット。これが「いつか」への切符になるといいと密かな希望を繋いでいた。

2020/10/14に飛び込んできた四谷天窓グループ閉店のお知らせ。
そして10/25長澤知之公式より『急遽開催決定 11/3 長澤知之 四谷天窓弾き語りLIVE〜ありがとう四谷天窓〜』のアナウンスが流れた。

長澤本人の希望で急遽、組まれたというアーカイブなしのツイキャス配信ライブ。

この日のライブは天窓への鎮魂歌であり『天窓で過ごした彼自身』を慰め慈しむかのようなライブだった。

「なんとなくコレやろうかなって思ってるけどあんまり決めてない。」そう言っていたのに本当に憎らしいくらいに最高のセットリストだった。そのほとんどは10代の頃に書かれたもので、何度も何度も聴いているはずなのに"今日"のその曲たちは"今"の長澤知之にしか表現できないものばかりだ。
変わらない歌と変わっていく心。
その音楽に触れる度に、私は"ライブを1回も逃したくない"と酷く独りよがりな我儘を抱いてしまう。
長澤知之の音楽は時の経過と共に変化していく。そして毎回全く違う煌めきをみせてくれる。誰も知らないような新しい色彩を放ちライブの度に幾度となくひかり輝く。

「天窓でよく歌っていた曲を。」と初期のナンバーを中心にデビュー曲『僕らの輝き』から始まった。
『マカロニグラタン』『三年間』はしっとりと丁寧に36歳のナンバーになっていて、
特に『三年間』は三年間、六年間、と3毎に繰り上がっていく遊び心のある歌詞が楽しみのひとつなのだが今回はキッチリと36まで歌いきり、そしてニヤリと笑った。

私が出会った頃、MCでは「長澤知之といいます。よろしくお願いします。」しか言わないような人だった。偶然ごくたまに呟いてくれる曲の背景などはとても貴重なものとして私の記憶に刻まれていて、こっそり打ち明けてくれたライブやラジオを思い出しながら『いつものところで待ってるわ』や『スリーフィンガー』に耳を傾けた。
『四つ葉のクローバー』では木漏れ日さす森の中のような情景が浮かび、『犬の瞳』の美しいアルペジオからの転調に耳を奪われ手首を振るストロークに目を奪われた。

バンドAL(アル)の楽曲として発表した『さよならジージョ』をこの日はアコギ1本で。これは自身の童心への惜別歌だと聴いた覚えがある。そして長澤にしては珍しくアコギにエフェクターをかませた『マンドラゴラの花』は圧巻だった。

「もう、聞き飽きてると思うけどなんとなくマインドというか言いたい事が変わらないから」と言って始まった『左巻きのゼンマイ』もうこの頃には自分が"何処で"聴いているかなんてどうでも良くなっていて、自然と画面の前で拍手をしていた。

そして少し長いMCからの『蜘蛛の糸』
「世の中、いろいろな事があるし、いろいろよぎると思うけど。そんな時、自分の琴線を思い出して欲しい。自分の中心点を忘れないで。そして俺はよく落ち込んだ時、月をみたりします。月を見上げて空にあんなデッカイ天体が浮かんでんだからさ!空があれば大丈夫。なんとかなるよ!」と十数年前から変わらぬ真っ直ぐな瞳で、まるで本当にライブ会場で目の前にいる私達に話しかけるように語ってくれた。そしてハッとして「MCでダラダラ喋るヤツ好きじゃないんだった!」とちゃらけてみせた。

『蜘蛛の糸』を聞くと現実は"動けない"、"動かせない"事も多い。けれど魂はどこまでも自由だといつも確認させてくれる。誰かの為の自分ではなく"自分のための自分の人生"を強く意識し、“今を生きたい"と願うし、それは明日を待つ力になる。

「最後の2曲なんて信じられないね」と思い出達をギュッと抱きしめるように歌った『コーデュロイ』でさよならの時間が近づいている事を意識してしまって切なくなった。
そして最後の最後に『パーフェクト・ワールド』。それでも肯いていく。と寂しさはあるけれど晴れやかな顔で天窓を後にする彼の背中がみえた気がした。

「最後に可愛らしい歌を」とenは『ソウルセラー』で締めくくった。
長澤知之は"ひかり"や"希望"を歌い続ける。
ライブをみたすべての人たちに届いているといいな。彼がずっと変わらずに歌い続けているものと変わり続けていくことのすごさを。

私は貴方をとっても誇りに思う。そしてそんな貴方を好きな自分を誇りに思えるよ。

今回のライブでは『安心』をたくさんもらえた。天窓ショックから立ち直れないままこの日を迎えてしまったが、いつものテンションの長澤知之と彼のパフォーマンスを確実に届けてくれた音響。夕陽が差す部屋のように優しく照らしてくれた照明。行きはワクワクしながら階段を登り、帰りはフワフワした気持ちで階段を降りた、あの天窓が目の前にあった。時折スタッフの方達の感嘆する声も入っていてそれにもとても安堵した。画面を通してもとても優しく温かい場所である事が伝わってきた。いろいろなアーティストが『天窓が僕たちの居場所をくれた』と言っている意味が少し分かった気がした。

四谷天窓の皆様、スタッフの皆様、本当にありがとうございました。


私はこのライブを一生、忘れないと思います。
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