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SO YOUNG

THE YELLOW MONKEYの東京ドーム、横浜アリーナ公演を終えて

THE YELLOW MONKEYのSO YOUNG

113本という過酷なツアー、PUNCH DRUNKARD TOURの最後にも歌われたこの曲は、当時のイエローモンキーの状況や自身の青春時代を重ね、多くの人に愛されている。

しかし、私は何かに懸命に打ち込んだ経験もなければ、キラキラした青春の思い出もない。

だからこの曲はあまり共感できず、いつも俯瞰で聴いていた。そういう人もいるよね、といった感じで。


2020年11月7日、PUNCH DRUNKARD TOURのファイナルと同じ会場、横浜アリーナで行われた30th Anniversary LIVE -YOKOHAMA SPECIAL-では、最後にこのSO YOUNGが披露された。

私はそれを配信で観ていたのだが、楽しそうに笑顔でSO YOUNGを演奏するメンバーが印象的だった。

そのアウトロを聴きながら、私が思い出していたのは4日前に行われたイエローモンキーの11月3日の東京ドーム公演だった。

私は現地にそのライブを観に行っていた。

そもそも11月3日の30th Anniversary LIVE
-DOME SPECIAL-は、2020年4月4日、5日に行われる予定だった東京ドーム公演の中止を受け、新たに決定したものだった。

このライブが決まった時は「キャパシティ設定は0〜100%の間」というもので有客での開催ができるかは未定の状態だった。

地方に住む私にとって、仕事や家族への影響を考えたとき、この時期にライブへ行くということに不安が無かった訳ではない。

コロナウィルスの影響で様々な自粛を強いられ、自分と向き合う時間が増えた。これからは本当に自分がやりたい事をちゃんと見極め、リスクを冒してでもしたいのか、本当にやりたい事なのかを自分に問いかけてから行動しようと思った。そんな心の中での取捨選択を繰り返した結果、自分でも驚いたことに私にはTHE YELLOW MONKEYと音楽が残った。

行くと決めたからには万全の体制で臨まなければならない。主催者側からの来場にあたっての注意事項は端から端まで読んだ。当日は検温、消毒があり、当日の2週間前までに接触確認アプリCOCOAを起動させておく必要がある。公演中はマスク着用が必須で歓声は禁止。今までとは違ったライブになることが想像できた。

ライブ当日、私はとても緊張していた。コロナ禍といわれる状況になってから、東京ドームのような大規模会場での有観客ライブは世界で初めてとなる。そもそもこのライブでの成功とはなんだろう?感染者を出さなければ成功なのか?声を出せなくても楽しめることだろうか?それは私たちが今までしてきたことを否定することにはならないだろうか?スタンドの端に座る私がこんなに緊張しているのだから、メンバーやスタッフの緊張は計り知れない。イエローモンキーの肩に世界中のロックファンの重圧がかかっているような気がして不安になった。


でも、そんな私の心配は杞憂に終わった。イエローモンキーはいつも通り、いつも以上に最高だった。収容人数は半分以下にも関わらず、ロビンが言ったように「見たところ、満席」だった。最高にかっこいい演奏と演出。最後にプライマル。を披露する辺りは今回の状況関係なしに、最高の裏切りと尖りを魅せられた気がした。

今回の演出の中で、事前にファンから声援や歌声を募集し会場で流すという企画があった。思えば、今までのライブはその場で与えられたものをそれぞれが受取り、思い思いに声や体で表現していた。今回はそうした事前の歌声やフリフラと呼ばれる腕につける光の演出もあり、ライブの制作や演出に関われた気がして嬉しかった。

私はその会場で、イエローモンキーやスタッフ、配信を観ている人、ライブに思いを馳せながらやむ終えず仕事をしている人たちもみんな同じ思いを共有している気がしていた。そんな妙な一体感を感じさせるライブだった。

多くの人がそれぞれの思いと事情を抱えて、11月3日に向かって走り抜けた。それはまるで青春と呼べるものではないだろうか。


そう、私は横浜アリーナ公演でのSO YOUNGを聴きながらそんなことを思っていた。

そういえば、ロビンも横浜アリーナでファンに対し「先生(は)、自慢です」と言ってくれた。不謹慎だが、コロナがもたらす不自由さは、校則やルールに縛られもがいていた青春を想起させるのかもしれない。


どんな状況下でも、歌うこと発信することを辞めないでいてくれる吉井和哉は、イエローモンキーという《終わりのない青春》を選択し《絶望の波にのまれても》泳ぐことを止めてはいない。私は東京ドームのライブの前、何が成功で何が正解かわからなかった。でも、吉井さんはもっと先を見つめている。自分の「夢」を実現するために。

《終わりのない青春

それを選んで絶望の波にのまれても

ひたすら泳いでたどりつけば

また何か覚えるだろう》


世界的に見ても大きな一歩だと思われた東京ドームでの有観客ライブ。世界は何か変わっただろうか。世界から見れば小さな国の小さな出来事でしかないだろうか。季節が変わり感染者はますます増え、不安は絶えない。沢山のライブよりもいち早いワクチンが望まれる。でも生きていれば音楽に救われる瞬間があることを私たちは知っている。

《誰にでもある青春

いつか忘れて記憶の中で死んでしまっても

あの日僕らが信じたもの

それはまぼろしじゃない

SO YOUNG!!》
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