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ロックンロールは終わらない

go!go!vanillasの日本武道館公演を観た

5月5日にこのライブの開催が発表されてから、観に行けることを願いながらずっとずっとずっと楽しみにしていた。しかし、コロナウイルスの影響と職場の事情で行けなくなったgo!go!vanillas 日本武道館公演。最後の最後まで無茶してでも行こうかと何度も考えたが、ぐっと堪えて配信のチケットを買い直した。届いたプレミアムチケットは今も手元に残っている。行きたかった、でも行けなかったライブ。ただ、画面の向こうのとても楽しそうな4人を観ていると、その場に居られなかった悔しさやモヤモヤした気持ちは少し忘れられた。良いライブであったからなおさら生で観たかったけれど、生のライブでのバンドの音に勝るものはないけれど、そんな色んな気持ちを吹き飛ばしてくれるくらいに良いライブであった。全部の曲がかっこよくて、配信であってもこのライブをリアルタイムで観られたことを凄く嬉しいと思った。

お馴染みのSEに乗って颯爽と笑顔でステージに現れた4人。頭上の日の丸が眩しい。『オリエント』から始まったライブ、「僕を駆り立てる、ここは日本武道館」牧さんのひと声に観客が拍手で返す。『アメイジングレース』、『マジック』と多幸感溢れるナンバーが続く。『デッドマンズチェイス』では、メンバー4人がそれぞれ個性豊かな歌声を響かせる。一昨年の事故から復帰したプリティさんの歌う姿は、ここまでの復帰を果たすまでの道のりを想像するだけで心が震えた。日本武道館公演の1週間ほど前に新譜がリリースされたが、それにはメンバー4人がそれぞれに作詞作曲した楽曲が収録されている。「俺の30年、聴いてくれ!」とプリティさんが叫び、『バームクーヘン』を歌う。「このままじゃあまだ終われねぇよな」、「ただ生きるだけじゃあ物足りないよな」とがむしゃらに歌うその表情がとても眩しい。続いてセイヤさん作詞作曲の『JETT ROCK SCHOOL』は楽器をパートチェンジして演奏された。ステージを走り回りながらギターを掻き鳴らし歌うセイヤさんの自由さが気持ち良い。そして雰囲気は一転、『バイバイカラー』や進太郎さん作詞作曲の『イノセンス』とクールでメロウなロックナンバーが続く。メンバー4人がそれぞれボーカルを務めることができるのは、バニラズの大きな魅力である。『パラノーマルワンダーワールド』に続き、サウナーであることを公言している牧さんの歌う『TTNoW』では、ステージから湯気を模したスモークが立ち上る演出。それに続き、新譜のリード曲である『鏡』が演奏された。「武道館でライブをやるにあたって、不安なこととかもあったけど、ステージに上がる時に日の丸が見えて、大好きなビートルズと同じ景色を見てると思ったらそんな不安は吹き飛びました」と牧さん。メンバー全員がビートルズへのリスペクトを持っているがゆえの日本武道館への特別な思いを語る。文化やしきたりの垣根を超える音楽。人生が変わるような衝撃や感動をもたらすライブ。そんな音楽やライブとの出会いに心は躍る。「音楽やっちょって本当によかったー!」と高らかに叫ぶ牧さんの顔を、私はきっと忘れられないだろう。
クライマックスに向けて『カウンターアクション』、『No.999』、『エマ』、『平成ペイン』とライブでの定番曲が次々と演奏されるが観客の声は聞こえない。ソーシャルディスタンスを保った形での座席が設けられており、観客が歓声をあげることはできない。コロナ禍でのライブにも徐々に慣れてきてはいるが、やはりもどかしい気持ちになる。そんな中で、牧さんは「みんなは声出せないけど。大丈夫、俺らが皆の気持ちを歌うから!心で歌ってくれ!」と叫び、『おはようカルチャー』を歌う。今日のこのライブをずっと楽しみにしていた人、しがらみを抱えながらそれでも観に行くことを選んだ人、どうしても観に行くことができなかった人、全てのファンの気持ちを歌う。本編の最後には「俺たちのはじまりの曲を」と、『人間讃歌』が演奏された。私は、この曲の「大切な何かを守れるなら 人は笑顔で死んでいけるから」という歌詞がとても好きだ。大好きなバンドを追いかけて様々なライブハウスに通っていたこれまでが嘘のように、今年は自粛に明け暮れた1年であり、ライブハウスは「ライブなんて所詮娯楽だ、不要不急だ」と、真っ先に営業自粛の対象となった。命に代えられるものはないと頭では理解しているが、ただ生きるだけでは物足りないのだ。理屈なんかを飛び越えて、感情や心が動くそんなライブをこれまで何度か目の当たりにしてきた。あの瞬間が私にとっては明日を生きる活力であり糧である。不要不急なんかではない。必要不可欠なのである。こんな状況下でも活動を止めず、音楽を信じて新しいものを生み出してくれるバンド達には本当に感謝してもしきれない。彼らの心が生き続ける限り、ロックンロールは終わらない。守らなければならない生活のため、ライブ会場には足を運べなかった今日。そんな今日も、大好きなバンドのライブに救われる。画面越しではあったが、4人が奏でる音に、声に、とても大きなパワーを貰った。

アンコールは、『アクロス ザ ユニバーシティ』に続き、ワンマンライブの最後を締めくくるナンバーである『ギフト』を歌ってくれた。「どうかまた会える日まで さよならは言わないよ」と。いつかまたそれぞれの街のライブハウスで会うことを、そしていつの日か満員の日本武道館でまたライブをすることを約束してくれたバニラズに、私は今度こそ絶対にあの日の丸を彼らと一緒に見ると、心に誓った。

本当に奇跡のような、本当にロックンロールの神様に愛されたバンド、バニラズのことをこれからもずっと観ていたいと思った。こんな世の中でも、こんな素敵なバンドが音楽がライブがあれば、大袈裟ではなくまだ生きていけると思えるのだ。go!go!vanillas、本当にかっこいいバンドである。改めてそう感じるライブであった。また会える日まで、私の人生は転がり続ける。その隣には、いつもバニラズの音楽を携えて。
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