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君に月見草の花束は贈らない

Novelbright『ツキミソウ』を聴いて

日本語ってこんなに綺麗なんだ
音ってこんなに澄んでいたんだ

初めて聴いた時、
私は旋律と言葉の美しさに、
そして心への馴染み具合に衝撃を覚えた
1曲通して聴き終えた時、

何故だろうか、
とても心がふわふわしていた。


手のひらに落ちた一粒の雪のような

今にも割れそうな薄い硝子のような

真冬の帰り道の懐炉のような


そんな感覚に近かった。



このご時世で多忙な日々を送る中で凝り固まった心に
ピアノのどこか懐かしい音が、
紡ぎ出された切ない言葉が、
すんなりと溶け込んでいくようだった。




人肌恋しい冬の季節に聴くと尚更だ。


ー巻き戻してあの日に戻れるのならばー


ふと考えてしまう楽しかったあの日々。
と同時に、自分の選択を悔やむ毎日。
「あの時あの選択をしていたら今はー」

その時、嫌でも脳裏に浮かんでしまう
忘れられない人の顔。

昔の恋人
振られてしまった片想いの相手
大切な家族や友人

きっと誰にでもそんな存在はいるだろう。

一度思い出すと
記憶がどんどん頭の中から出てきてしまう



言葉にはできないけど何故か大切な人

何年経っても心の何処かに存在する人

眠りにつく時にふと頭に思い浮かぶ人



過去の自分が伝えられなかった想いが
未だに心に横たわって動かない。

鉛のような思いが心に残る。
あの時伝えられなかったという後悔と一緒になると
更に心は重くなる。


今更自分がこんなに想っても
時が経っても忘れられないその人に
もう言葉は届かない。
届けようとすればするほど遠くに行ってしまう。

一度離れてしまった人に
その想いを口にすることは最早許されない



月の時間にしか咲けない月見草のように、

太陽に向かって想いを口にすることはできない

太陽の時間に咲くことは許されない



どんなに伝えたくても

月見草が昼に堂々と咲くことはできない


夕方に人知れず、
儚さを感じさせるような白い花を
ひっそりと咲かせるしかない



伝えることはできないが、
切なく脆い想いが募っていく謙虚な愛情。



君に月見草の花束を贈ろうにも

贈れない

贈らない

忘れられないほど大切な人だけど、
忘れられないほど大切な人だから




結晶が溶けてしまうから、

硝子が割れてしまうから、

君に月見草の花束は贈らない。



「無言の愛情」はツキミソウの花言葉だ
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