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面白いことをするということ

星野源から始まった新しいエンターテインメントの形

2020年。
なんという一年だったのだろう。こんなはずではなかった。
東京でオリンピック・パラリンピックが開催され、エンターテインメントで日本に多くの笑顔が溢れる一年になるはずだった。
冬から春にかけて世はコロナ禍となり、人々は多くの我慢を強いられることになった。外出やイベントの自粛要請が出され、何とも温度のない生活に様変わりしてしまった。

日常が変わっていく中で、人々の心に笑顔と癒しを与えてくれたものがあった。
星野源による、『うちで踊ろう』。今や知らない人はいないのではないか、というほどの拡がりと繋がりが、海をも越えた。
世界中が緊張感で張り詰めている時に、人間が人間らしくいられる "何かに夢中になること" を、彼はInstagramで「家でじっとしていたらこんな曲ができました。」と、世界に向けて発信した。

私が個人的に心惹かれたことがある。それは、『うちで踊ろう』に添えられた彼からのメッセージ。
外出自粛要請が出されている社会でも、外へ出て働きに出なければならない人たちへ、彼が「"おうち"ではなく"うち"にすることで、心の内で踊れるように。」という言葉。どれだけの人が救われ、勇気づけられただろうか。

4月、リモート放送をしていた『星野源のオールナイトニッポン』の終盤で、彼が発した印象的な言葉がある。

「楽しいことをしよう、面白いことをしよう。 俺も楽しいことする! 負けるな!!」

コロナ禍となった世で彼は人々と同じように暮らし、時に自身も苦しみながら、常に「面白いこと」を生み出し、今も新しいものを創る手を止めることがない。
自宅で全て一人で制作したという楽曲『折り合い』の配信リリース、そして『創造』の発表。


「面白い」という言葉は、必ずしも笑えることだけではないように思う。もちろん、間の抜けたことで時を忘れて大笑いするのも、面白いこと。ラジオを聴いていると、彼の豪快な爆笑がリスナーの心をほぐしてくれる。

「面白い」の、もう一つの意味。
誰が何を描いても自由な真っ白なキャンバスのように、心が常にニュートラルでいること。彼はニュートラルであるから、斬新なアイデアを生み出すことができるのかもしれない。
以前は当たり前のようであった "好きなアーティストのライブに参戦する" ということが困難な情勢になり、エンターテインメントは形を変えなければ届けられない、という状況に移り変わっていった。

7月には、配信ライブ『Gratitude』を、10年前にソロデビューをした同じ場所・同じ時間に開催した。
離れていても、画面越しでも、人々は繋がれる。
いつかまた笑顔で会うという約束を、おのおのの場所で交わした。

私はまだ星野源の生ライブに行ったことがない。動画投稿サイトに公開されているライブ映像を観ていると、彼は手の届かない流星群のように眩しい。
でも、画面越しで始まりの場所に佇む彼を観たときは、違っていた。音楽を愛してやまない、もはや音楽という成分で出来ているような人間・星野源が、音と戯れている。これが "彼らしさ" なのかもしれないと、ファン歴の浅い身でありながら感じた。
音から生まれる無限の可能性を、体現しているように思えた。


2020年4月3日、『うちで踊ろう』が発信された日。彼のInstagramを改めて見てみると、あの日からもう30週間以上の時が経過したことが分かった。とても長い時間。
皆が必死に生きてきた時間が、そこには刻まれている気がした。

これからも、未知の敵との共存は続いていきそうだ。そういう中でも、彼は想像を超えるような「面白いこと」を考えて発信していくのだろう。

また生のライブで集まる約束は、
『うちで踊ろう』の【生きてまた会おう】という歌詞に込められているのかもしれない。シビアな世の中を生き抜くことは、とても辛いことも多いけれど。

もう2年前になるが、最新アルバム『POP VIRUS』の最後に収録された楽曲「Hello Song」に紡がれた言葉がある。

【何処の誰か知らないが 出会う前の君に捧ぐ】

【いつかあなたに いつかあなたに 出会う未来】

「出会いは未来」だと、彼はSNSやメディアを通じて何度も言う。
まだ見知らぬ誰か、今は互いに知り合えていなくても、いつか出会う誰か。
その "いつか" が来れば、"誰か" は "あなた" になる。

エンターテイナー・星野源が、きっと "あなた" との出会いを創り出す。
今ここにある足元から、未来は始まっているのだから。

誰も、この世で独りではない。皆が、この世で頑張っている仲間。

もしも今、淋しく孤独で絶望している人がいたら、私から伝えたい言葉がある。

また笑顔で会いましょう。
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