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世間に投げかけた"独り"の意味

またしても人々の心を救った星野源のうた

2020年最後の日。NHK紅白歌合戦で初披露された曲があった。それが「うちで踊ろう(大晦日)」だった。

4月に自身のInstagramに投稿した1分弱の「うちで踊ろう」は、緊急事態宣言の発令という、誰もが経験したことのない状況で爆発的な広がりを見せ、世界各国ジャンルを問わず、沢山の人が歌や音・ダンスなど、自分の出来ることで重なり合っていた。

「うち」というのが「家」を指すものでないことは、源さんも沢山のインタビューで語っている。ステイホームの押し付け感ゼロなのに、説得力100点。自分も何かしたい!と出来ることを考えたり、創ったり、練習したりする時間だけは、得体の知れない恐怖を忘れることができた。
同じように思った人が多かったのだろう。「うちで踊ろう」は2020年を語る上で欠かせない曲となった。そんな楽曲の2番を初披露というのだから、私の期待値も自然と上がっていた。

弾き語りから始まった曲。いつものバンドメンバーと、いつもの円形での演奏。
演奏者も源さんも、本当に楽しそうに歌う。


2番に入り、最初に耳に入ってきた歌詞。
-常に嘲りあうよな 僕ら -
胸の奥の奥を抉られるような…喉のあたりがキューッと締め付けられるような感覚に襲われた。
1番の「たまに」との対比。
嘲る とは、バカにして悪く言ったり笑ったりすること。決していい意味の言葉ではない。新しくつくったという歌詞の一発目から度肝を抜かれてしまった。


なぜこの1行に私がここまで衝撃を受けたのか考えたとき、私はいつも自分と誰かを比べては順位をつけて生きてきた。些細なことで落ち込んでは自己評価を下げ、ひねくれて過ごしてきた。自己評価の上がる誰か(何か)を見つけた時の、モノの見方は自分でも酷いと思う。それに気づいていながら、いつもどこかで物事に順位をつけて生きている。
「私のことだ…これ。」

それでも「僕ら」「変わろう一緒に」と歌詞を続け、こんな状態の私をすくい上げるように歌ってくれた。「みんなそうやって嘲りあいながら生きているんだよ、気づいてる?」というメタメッセージ。「でも、僕もそうなんだ」と言わんばかりの歌詞。こういうところがたまらないのだ、彼の歌は。


2番の後半。
「生きて踊ろう 僕らずっと独りだと 諦め進もう」
この歌詞を聴いてから今日まで、私の頭の中をぐるぐるとしている。曲の中で何度も歌われる「ひとり」の言葉。ここでは「独り」が使われている。平仮名での表現は、その柔らかさを感じる。

「独り」は周りに人がいない状態を表し、また、自立している状態を指す。


自立している状態…
私はこの「自立」を精神的な面での自立だと捉えた。自立のためには、弱い部分も含め、自分自身を認めることが必要だと思う。自分のことを知らなくてはいけないし、他人と比べて嘲笑することで、自分に仮面を被せているようではいけない。
「独りだと諦める」には覚悟が要るのだと思った。

こんな世の中となり、「みんなで心を1つに」「ともに」と声が上がる中、星野源の放った
"ずっと独りだと諦め進もう"
には、ブレない考え方と覚悟が確かにあると感じた。曲に表れた直接的な表現。しかし対象としては抽象的である。だからこそ聴いた人のもつ価値観で、たくさんの人の心に、それぞれの刺さり方をしたのかもしれない。


「愛が足りない」「こんな馬鹿な世界になっても」と歌われたこの世界で、ふらふらとした足元を見ながら、今日も"生活"している。
まだまだ大変な日々は続くだろうけど、自分と大切な人の生活を…命を守るために、私も踏ん張っていこう。


"生きて抱き合おう"
"いつかそれぞれの愛を 重ねられるように"
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