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ただのバンドが人生を救った件。

UNISON SQUARE GARDENが私のヒーローになるまでの話。

あれは2年前の秋のことだった。今思えばとんでもない出会いだった。
出会ったというより事故にあった…っていう表現の方が適切かもしれない。
そんな感じで、私はUNISON SQUARE GARDENと出会った。
衝撃に頭を殴られたような、でも、これから世界が面白くなりそうな、そんな出会いだった。

そしてこの出会いが、後々私を救うとは思いもしてなかった。

2年前の秋。
文化祭で先輩がアコギで弾き語りした「シュガーソングとビターステップ」。これが全ての始まり。
当時の私は根からのジャニヲタで、ペンライトだ、うちわだ、ロックバンドとは全く縁のないアイテムを振り回してキャーキャー騒ぎ立てる日々を送っていた。
そんな中、先輩の弾き語りライブを手伝うことになり、このバンドと出会った。

曲はなんとなく知っていた。
ただ、曲よりも先にMVの斎藤さん(Gt./Vo.)の前髪があまりにもぱっつんでそっちの印象が強かった。
前髪を切りすぎたギターボーカル、暴れるベース、洒落たドラムという斬新な第一印象。バンド名を覚えるよりも先に髪型が来てしまった。
しかも最初、斎藤さんを女性だと思っていた。ごめんなさい。

「UNISON SQUARE GARDENというバンドの曲」という基礎的な情報を手に入れ、改めてMVを再生すると、何処かで世界が回り始めるスイッチが押された。

「なんだこのバンド…めちゃくちゃ面白い!!!」

未だにこの時の衝撃は覚えている。今も曲を聴くと弾けたように思い出す。懐かしい。
今まで、ロックバンドといえばライブハウスでボコボコにされる、シャウトする奴らしかいないと偏見を持っていたが、完全に固定観念に化かされていた。
流れるように侵入し、心を魅了するメロディが持つのは、玩具箱をひっくり返したような楽しさ。それぞれが響き合う最高のアンサンブル。これがまたかっこいい。
何をしたらこんなアンバランスでも口ずさみたくなるのか知りたい歌詞世界。
ショートVer.のMVは2分弱。世界で一番満ち足りた2分弱だった。これはやばい。ハマるしかない。
私の心は瞬きする間に彼らに盗まれた。貴方の心を頂きに来ますってか?

その後、小学生ながらに歌詞が暖かくて好きだった曲が後の「harmonized finale」で、嵐が出るからとMステをリアルタイムで見ていたことに気付いたり、初めて見た深夜アニメのOPが田淵さん(内田真礼さん「ギミー!レボリューション」/「俺、ツインテールになります。」)だったりと、実は前々からどこかで出会っていたこともありズブズブと沼に落ちていき、年の瀬にはFC「UNICITY」の住民になっていた。
とはいえ、舞洲行けなかったのは残念。ハマった頃には全て終わっていた。
こうして彼らの虜になってしまった私だった。

しかし。

このご時世になって、学校が休校になり、外に出なくなった結果、元々蓄積していたストレスが大爆発。
私は自分自身に違和感が生まれ、世界から切り離された感覚に陥った。俗に言う「離人」。リアル「ワタシドコ ココハダレ ダアレ?」。
この状態で大学受験を控えていた。絶望的すぎる。
正直、ダメだったら命を捨てようぐらいまでは思っていた。

それでも、私のiPhoneにはUNISON SQUARE GARDENが入っていた。
何故入っているのか分からないくらい病状は酷くなっていた。
けど、「この音楽を手放したらまずい」という確信はあった。これを手放したら、元に戻れなくなる。彼らの音楽は、私を取り戻す唯一の鍵へと変身した。

彼らが声高らかに配信ライブをやると言ったのはその頃だった。
7月に行われた「USG 2020 "LIVE (in the) HOUSE"」。
上に書いた通りめちゃくちゃな状態の私が見たのは、あの日出会ったロックバンドが息をして、いつも通りでかい音を鳴らす姿だった。
今まで灰色だった世界に色がついて、キラキラと輝いて見えた。
だが、当時の私にはそれが誰の感情か分からない。それでも、無意識に画面の向こうに必死に手を伸ばしていた。
ライブ終盤、勢いの良いドラムと共に解き放たれた「フルカラープログラム」。

"モノクロでは説明できない完全無欠のロックンロールを"
(「フルカラープログラム」)

斎藤さんがマイクを使わず、自らの声だけで響かせたこの歌詞。多くの人が涙したシーン。私も泣いた。
完全無欠のロックンロールはマイクがなくったって貫ける。無観客など関係ない。
それこそ「オーディエンスは至って居なくてもいい」といつか歌っていた。
世界が死んでも音楽は死なない。それを目撃した夜だった。

その後も症状に苦しんだ。死にたくなる日もあった。だけど側に彼らがいた。
段々、勝手に死んだら怒られそうな気がしてきた。

そんなこんなで迎えた10月15日。初めて彼らに生で会いに行った。
向かうは東京ガーデンシアター。そう、「USG 2020 “LIVE (on the) SEAT”」だ。
開演アナウンス、落ちる照明。眠れない夜に夢中で見ていた景色が、遂に目の前に現れた。
そして、駆け出した音が奏でたのは「フルカラープログラム」。
彼らの生存を私に刻みつけた歌が再来した。しかも生で。
天井だったから姿はよく見えなかった。そんなのはどうでも良かった。
声が出せないからなんだ。座ってないとダメだからなんだ。いつも通りにライブじゃん。DVDで見ていた景色と何が違うんだよ。最高だわ。
音を鳴らさなければ彼らは死ぬ。彼らが死んだら自動的に私も死ぬ。
お互いの命を握って笑い合う。こんな楽しすぎるデスゲームなら永遠にやっていたいくらい。
そう感じる1時間だった。それで終われば良かったのに。

ライブの数時間後に一連の記憶が全て消えた。

あの時ライブを見ていたのは誰だったのかと言わんばかりに何も思い出せなかった。
楽しかった気持ちすら嘘になりそうで泣いた。全てが泡になってしまった。
幸い翌日から記憶はゆっくりと回復し、今は何とか思い出せるが、当時は結構ショックだった。
その後、追い討ちをかけるように自分自身の記憶がほとんど消え、遂にUNISON SQUARE GARDENに関する記憶も消えた。唯一の鍵、そして取り戻したかった私はもう何処にもいなかった。

それでも、かろうじて握り締めていた「ユニゾンが好き」という消えそうな記憶を頼りに、再生ボタンを押す。

瞬間、雷に打たれたように、彼らのライブの映像が脳内に再生される。
多少の違和感が絡みついても、脳内を駆け巡る。
もはや笑うしかない。なんだよ、心の奥底で覚えてるじゃん。

“まだわかんない わかんないままでも走れるよ”
(「Dizzy Trickster」)

私の一連の症状を見抜いて書かれた気分になる「Dizzy Trickster」の歌詞。
受験が近付くプレッシャーから不安定になる日が多かった。その分悪化もした。
だが、UNISON SQUARE GARDEN という名の「ぐちゃぐちゃのまんまの希望」を握り締め、なんとか進路を決めることが出来た。

全てを見失い、全てを忘れて、自らの命も捨てようとした人間を引き止めたのは、どこにでもいそうで、ここにしかいないただ一つのロックバンドだった。
あの日出会った音楽が巡り巡って私を救った。ヒーローでも魔法使いでもなく、ただのロックバンドが。凄すぎるでしょ、こんなの。

これを書いている今も、一連の症状が完治したとは言えない。
時々死にたくなる日はある。けど、死んだら新曲が聴けない。ライブに行けない。
あの日出会ってから、自我がブレても、記憶が消えても、ずっと彼らを求め続けている私がいる。どうせ4年後もこんな感じだと思う。
なんなら2月また会いに行くし。席が近くて記憶飛んだりしないといいな(笑)

共犯関係とはいえ絆なんかない。そんなのは分かってる。
それでも、救ってくれたお礼くらいは書かせてほしい。
ありがとう。何があっても生きててくれて。音を鳴らし続けてくれて。
4年後もどうせ好きだよ。

「Thank you, ROCK BANDS!」「See you next live!」
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