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大人の本気で挑んだエモーション

宮本浩次『きみに会いたい -Dance with you-』に耳を研ぎ澄ます

♪カーテン閉めて 浮世とシャットアウトして

そんなことされちゃあ心臓バクバク。
正気じゃいられない。
後頭部から真後ろにまっしぐら気絶するだろう。
どころか、このわたしの年齢なら、心不全を起こして昇天するかも?

本当に罪な人。

この心臓型破りな一曲を私が知るのは高橋一生さんに提供したときよりも、「リキッドルーム」でのバースデイライブで初披露したときよりも後のことだ。
初めて聴いたときは、まだ「ソロ・宮本浩次」しか知らない頃。そのときの衝撃たるもの忘れられない。まず、その歌詞のストレートさに驚いた。ファンになったばかりの(所謂恋をしたばかりといいましょうか)初々しいメンタルにいきなり投げられた歌詞に動揺を隠せなかった。それからエレファントカシマシの曲を聴き続けていくうちに『きみに会いたい -Dance with you-』だけに限らず、ソロで発表していく楽曲全てがエレファントカシマシからのファンたちの度肝を抜いていたことを知る。とは言え、当時は高橋一生さんの『きみに会いたい -Dance with you-』しか聴くことが出来なかったので、「リキッドルーム」でみやじさんが歌ったという情報だけでイマジネーションを働かせた。
それから、半年余り経過してアルバム「宮本、独歩。」に収録されて以降、何度か耳にすることになる『きみに会いたい -Dance with you-』は、いくつかのバージョンが存在していると、わたしは思っている。


その1:CD音源
少しロックなテイストでテレビでは2020年4月3日放送「MUSIC STATION」で初披露された。歯切れのいいダンスロックで歌って踊る、みやじさんらしい身軽なステップで、髪の動きも息づかいもディスプレイからふんわり空気が漂ってきそうだった。
この曲は「きみに会いたい いますぐ会いたい」と熱望、要求、そして想像の歌詞で始まり終わる。
終始「~たい」の連続。副題にある“-Dance with you-”の「Dance」でさえ19回なのに対して実に26回の「~たい」である(いずれもコーラス含む)。道理で耳に残るはずだ。しかも、「~(た)ぁい」と二つの母音が吐息に混ざるような甘いささやきにキュートさも感じる。
あと「自由な世界 ふたりの世界」と世界という言葉が2回続いている“せかい”の「かい」も同じ二つの母音「(か)ぁい」で形成されているので、いつまでも耳に宮本吐息が残されていく。それは、吐息で迫りくる宮本浩次の口説きのようだ。しかし、口説いている割にはあっさりと言っているだけ感も否めない。だから、意外とするりと聴いていられた。


その2:ギター弾き語り
2019年6月12日 リキッドルーム
2020年6月12日 at作業場
いずれもバースデイコンサートで披露してくれた。

エレキギターと宮本さんの歌声との対峙が始まる。
まるで激しさという足音が遠くから聴こえてくるギターの前奏に、
2019年リキッドルームでは、それまで聴いたことのないギターの旋律に何を歌うのかわからないまま、少しずつ勘のいい人が気付き始め、「♪はぁーあぁ」であの曲を確信、一気に歓声が上がり(JKの「キャー!」な黄色い声ではないが(笑))、
2020年at作業場では、前奏と共に「さあ、行こうよ!」って、みやじさん言ってたよね。言ってたぞ!いったいどこへ行くの!?歌詞の通りドキドキしながら始まっていった。

宮本さんが搔きむしるように鳴らすエレキギターは主旋律と融合していく。
けれど、徐々に激しい足音が“きみ”へ近づいてくるエレキギターの音。
CD音源と同じく「~(た)ぁい」のささやきにはエモさが加わり、ギターの激しく掻き鳴らす音と汗だくでしかめるその顔は、ドストレートな歌詞とも重なり「会いたい!」の想いを爆発させるかのようだ。いや、爆発させているぞ!
終盤のシャウトは、あまりにも“きみ”への会いたさに頭を机に打ち付けている位の狂気が漏れてきているではないか(2019年リキッドルーム)。
そうして、ラストの歌詞「♪きみに会いたい」で激しい足音は今“きみ”の目の前で壁ドン!で到着した。

いつの間にか息さえ止めて聴き入ってしまった。ふぅ…

ギターの音に負けじと激しく歌うその様は50代の大人の色気が漂い、聴いている側も高揚感が高まる弾き語りバージョンであった。


番外編:コーラス、俺!
元々提供した高橋一生さんの『きみに会いたい-Dance with you-』にこれでもかっ!と、コーラスで参加をしている。ファンの間ではお馴染み「コーラス、俺!」が存在。
宮本さんのセルフカバーより1音ほど低めなキーは高橋さんの太い声にぴったり。宮本さんが高橋さんの為に書き下ろした一曲と改めて痛感させられる。その高橋さんのバックで聴こえる宮本さんコーラス、わたしは個人的にいちばん好きである。宮本さんの高音のいちばん気持ちのいい音域が聴こえてくる。当時52歳“男性(「男性」だよ、「男」ではないよ)宮本浩次”がそこにいる。返って遠くで聴こえるから、尚更色気を感じるのである。
耳の穴をかっぽじって何度でも聴いていたい。

話を戻そう。


その3:宮本浩次VS小林武史
2020年10月11日 放送「The Covers」宮本浩次ナイト!第2夜
リキッドルーム、at作業場での宮本さんが弾いていたギターの旋律を小林武史さんのピアノがいきなり弾きだした。そうして、小林さんはハンドマイクで歌っている宮本さんの声と競い合う。今度は小林さんのピアノと宮本さんの歌声との対峙の始まりだ。

♪(求め)あいたいよ 会いたいよ Every night

背中に電流が走った。

宮本さんの主旋律と小林さんのピアノが共に主役を譲らずケンカをしている。
どちらも負けていないし、どちらも<(クレッシェンド)ff(フォルテシモ)で。なのに、このケンカが煩くなく耳障りでもない。

「ケンカ四つ」とはこういうものなのか?

2番に入ってバンド演奏が入ってきても、ふたりの競い合いはとどまらない破壊力に、衝撃を受けてしばらく考え込んだ。が、どちらも主旋律だと言い追い求め合うような、けれどもどちらも押しにも出ずに、最終的には聴く人の耳にどちらも残る。新しい『きみに会いたい-Dance with you-』に魔法をかけられた。


宮本さんの曲はいつでも進化をして同じものは何一つないと言っても過言ではない。
中でも、『きみに会いたい-Dance with you-』ってヤツは、短い期間であらゆる形をわかりやすく掘って進化している。
その楽曲はCD「宮本、独歩。」で甘い吐息を耳元で囁き「手招き」し、バースデイコンサートで掻き鳴らすギターでは激しく壁ドンで「魅了」し、更に助っ人とケンカ四つで主旋律も伴奏も我々も全て一つに「封じ込める」その技よ!ストレートな歌詞に比例した感情の限界を切れそうで切れない命の糸をピンと張りつめている。切れそうで怖いくらい逼迫したその声に、人のこころを困惑させるみやじさん、ひとつ教えてください。


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