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とある1曲と共に闘う決意

Novelbright「Believers」に支えられながら始まる、私の闘い

嫌だな、春から高校3年生だ。
春が来るのがこんなに憂鬱なことはない。

ついこの間、高校に入学したと思っていた。
3年間に待ち受ける青春に心を躍らせ、キラキラした生活を夢見てピカピカの参考書を片手に桜をくぐったのは、もう2年前。
信じられない。
まぁ、この世の中だ。高校2年生としての1年間は行事もなく、遊びにも行けず、淡々とした毎日を送っていたらいつの間にか過ぎていた。

「あぁ……」

この1年間のことを思うと、虚無感に溢れた声が無意識に漏れ出る。
と、同時に、私の心には紫色の不安がドッと押し寄せて、1年で空っぽになった心をドロドロとした黒い紫で満タンにする。
そして私は頭を抱えた。

「受験生になっちゃう…」

そうだ、何を言おう、私は来年度から高校3年生。世間一般でいう「大学受験生」というものになってしまうのだ。

まず私は、悔しくてしょうがない。
高校2年生の時に思い切り遊んで受験に集中するという計画が根本から崩れたことが。
いや、違う、問題はその悔しさではない。

それと同じぐらい、いや、確実にそれ以上に自分の将来や成績に対する不安が大きかった。

ずっとなりたいものがあった。
幼稚園生の頃から13年間ずっと追いかけてきた夢。
小学時代、中学時代、一所懸命に駆け抜けてきた。
その勝負の時が刻々と近づいてきている。
それがとても怖くてしょうがない。

そして今、私は成績という目に見える評価に打ちのめされている。懸命に勉強しても上がらない成績。
同じ志望系統の周りの子と自分を比べては、自分にとてつもない劣等感や嫌悪感を抱き、「私ってダメだな」「私には夢を叶えることは無理なんじゃないか」と思うだけでなく、「いっそのこと全てを諦めたほうが楽なんじゃないのか」と思うこともある。

かつて一度、本当に自分の将来に向き合うのが嫌になって逃げ出そうと思ったことがある。
「自分はこんなにずっと夢を追っていて誰よりも熱意はあるのになんで」という気持ちでいっぱいになり、全部投げ出したくなった。

でも、そんな私をある一曲が繋ぎ止めてくれた。
塾の帰り道、曲を聴いた時に泣きそうになった。

その曲は、今の私にぴったり重なった。

冒頭には、

『これだけは負けてたまるかと自分言い聞かせて
ひたすら前を見て情熱注いできた
現実は抱いた期待は夏の蝉のように
儚く消え去って降り注ぐ涙を飲んだ』

まさにその通りだった。

ずっと可能性を信じて目標に向かって進んできた先での現実。
私は現実を突きつけられ、立ち直れないでいた。自分の可能性に涙を流した。


でもそれに続けて、

『今すぐに報われない努力でもいつかきっと
羽ばたく日が来るんだろう
僅かしか見えぬ頂上だって
イメージ膨らまし越えていくんだ
雄叫び上げ
胸張って揺るがない想いを共に
信じたものだけは見失わないで
転がって踏ん張って立ち上がって
行くよ未だ見ぬ場所へ』

不安で荒んだ私の心に一言一句が沁みていくのが分かった。

「絶対大丈夫、信じて進んで行こうよ、越えていこうよ」と、曲調も歌詞も全てが言っているようだった。

こんなに音楽に救われたのは初めてだった。

今の自分では程遠いゴールを掴む未来の自分をイメージして、努力して進んで行こう。
しっかりそう思わせてくれる曲に出会えたのも初めてだった。


力強く、でもどこか優しい曲。

強引にではなく、一緒になって自分を底から引っ張っていってくれるような曲。

心が千切れてしまったとき、勇気も一緒に織り込んで繋ぎ合わせるかのように、聴く人と一緒に立ち上がって背中を押してくれる曲。

暗紫色に侵食されてしまった心を、明るい色と希望の色で満たしてくれる曲。


『いつだって逃げ出せる瞬間はあった
でも自分に負けたくない涙も全部自信に変えて』

私は今まで逃げなかった。
そして、これからも逃げないと決めた。
私はこの曲と共に、しっかり闘い抜くと決めた。

1年間お世話になります。


いま私の片手にはボロボロになった参考書。
切れてしまった表紙も、テープで補強されている。
テープに反射した学習机の蛍光灯が眩しい。




※『』内は、Novelbright「Believers」の歌詞より引用
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