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一音から広がる世界

星野源「創造」を聴いて想像したこと

「マジでヤバいのできた」
2月17日0時、星野源の新曲「創造」が配信され、自身のインスタグラムでこう紹介した。

スーパーマリオブラザーズ35周年のタイアップとして完成したこの曲は、沢山のゲーム音が取り込まれ、音にも歌詞にも任天堂への敬意が払われている。


その曲を聴きながら、私はすごく興奮してしまった。それは新曲を聴けたことの嬉しさもあるが、ある出来事を思い出したからである。

あれは20年以上前、私がまだ小学生の頃だった。我が家に初めてゲームボーイがやってきた日のことだ。
一切ゲームや漫画に興味はなかったが、ゲームボーイだけは欲しくて欲しくてたまらなくて、スーパーマリオのソフトと一緒に、ようやく買って貰えたのだった。


電源を入れる。
「ピコーン」
ゲームボーイの起動音。なんか凄いものを手に入れた、やばいものを持ってる感じがして嬉しかった音だった。

大きな本体に白黒のデジタル画面。
3つのボタンを押すだけで、アイテムを手に入れ、水の中を泳ぎ、ボスキャラを倒す。
小さな画面の中で大きな冒険をしている気分で、60歳を過ぎていた祖父と一緒に、画面の中のキャラがジャンプすると、私も体を浮かすように動き、マリオがしゃがむと2人で頭を低くし…と毎日のように祖父と遊んだ。


その時の記憶が、映像の1番最初に聴こえてきた「ピコーン」という音で、一瞬で脳内に戻ってきた感覚だった。


高校生になり、3DSを手に入れることが出来た。そこでも遊んだのはスーパーマリオだった。
画面はカラーになり、立体感まで出てきた。
プレイしながら、祖父と遊んだことを思い出す。誰よりもハマってゲームしていた祖父とは、その頃には疎遠になっていた。
疎遠となったまま、祖父は亡くなった。その事を私は今でも後悔している。
「もっと私が歩み寄っていれば…」

スーパーマリオには、楽しい記憶と寂しい記憶の両方が詰まっている。
《何か創り出そうぜ》
と歌い出すこの曲は、その記憶を私に思い出させてくれ、「忘れるな」と言われたようだった。



記憶を呼び戻したのと同じように、私の心臓の鼓動を早くしたのが歌詞だった。
《僕は生まれ変わった 幾度目の始まりは
   澱むこの世界で 遊ぶためにある》
《死の淵から帰った 生かされたこの意味は
   命と共に 遊ぶことにある》

自身のモノづくりへの想いや、これまでの過程を歌詞にしたとは言っても、これだけダイレクトに表現したのは今までなかったのではないだろうか?


源さんは、2012年・2013年と2度の病を乗り越えて帰ってきた。本当の本当に死の淵から上がってきた人だからこそ、この歌詞は響く。そしてその「生かされたことへの使命感」を頭の片隅であったとしても、常に抱えていることも。

過去のことがあったから「今」がある。それはみんな分かっているが、当たり前のように流れていく日常生活の中で、つい忘れがちなことではないだろうか?


重ねた後悔。後悔したままでなく、それをどう活かせるのか「想像」して創り出すこと。
星野源の音楽を聴けることへの感謝とともに、「創造」という曲を聴きながら考えた。



じいちゃん、今度墓参りに行くね。
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