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世界は少しぼやけているけどビリー・アイリッシュは全くぶれていない

映画ビリー・アイリッシュ:世界は少しぼやけている のロックオヤジ感想文

そこには、自分の曲がラジオ?でオンエアされ、はしゃぎまわるごく普通のアメリカの女の子がいました。

まったくの普通の10代前半の女の子でした。

しかし、映画の最後には完全なプロフェッショナルに成長したあなたがいました。

世界を熱狂させるエンターテイナーであり、世界に政治的なメッセージを発信し、世界が熱狂するビリー・アイリッシュをひきうけた10代の女の子、偉大なミュージシャンがいました。

映画で、あなたと同世代のファン、そして、極東の〝ELDERLY ROCK FUN(初老ロックオヤジ)〟のわたしも含めた世界中のファンがあなたになぜ魅了されているのかをあなた自身があなた自身の言葉で教えてくれました。

『私は、私の今の気持ちをそのまま唄にしている』

この世界で今、それがどれほど難しいことなのかを世界中のあなたを支持するファンが感じているのだと思います。その困難に、あなたはプロフェッショナルとして挑み続けています。この映画はあなたの成長する姿を描いたドキュメンタリーですが、同時にあなたのその歌詞にその言葉が本当であることに共鳴し、一緒に成長するファンと、あなたを尊重し、愛しているあなたの家族の物語なのですね。

先日、テレビで放送されたあなたのベッド・ルームからの兄フィニアスとのデュエットはあなたにしかできない画期的なあなたらしいパフォーマンスでした。賛否両論があるようですが、Therefore I Amと歌ったあなたはあなたらしいパフォーマンスをしたのでしょう。


有料放送に加入し、「ビリー・アイリッシュ:世界は少しぼやけている(原題:Billie Eilish: The World's a Little Blurry)」を観て、日本のテレビの映像のベッドのパフォーマンスの意味を知りました。あの映像は、世界中を熱狂させた、あなたの世界ツアーの演出の2人が座ったベッドがせり上がる場面の小規模な再現であり、よりリアルにしたスペシャルな演出だったのですね。
(わたしは、どうやらGAFA、そして、様々な配信サービスにとりこまれ、そればかりを観て、聴いているようです)


さて、映画です。

この映画で、わたしは、あなたの頭の中の混沌としたイメージを具体化するプロフェッショナルなチーム、そして成長をサポートする家族がいて、あなたは駆け上がってきたことを知りました。

同時に、あなたが表現者の強固な魂を持ち、その魂のために小さな肉体にプロフェッショナリズムという鎧を纏っていく姿に感動しました。


正直、あなたの存在を知った当時は、どうしてあなたに世界中のマスコミ、そして音楽ファンが熱狂するのか全く理解できませんでした
白状してしまいますが、この時代にチープといっていいようなエレクトリックサウンドに、声量もなくダンスも得意ではないあなたの魅力を理解することができませんでした。わたしは、ハードロックを聴き、ロバート・プラントの超絶シャウトこそロックと信じていたのです。あなたのボーカルはあまりに稚拙に聴こえてしまいました。素人かと思っていました。
しかし、実際はあなたが歌っている映画007の主題歌No Time To Dieで、あなたは、フルオーケストラをバックに素晴らしい熱唱を聴かせているので、囁きのボーカルはあなたが試行錯誤の上に獲得した固有のスタイルであると考えています。


さらに付け加えると、あなたの囁きのボーカルというスタイルは非常に画期的で、その囁きというスタイルであるが故に、ステージが、巨大なアリーナ、スタジアムであっても1対1のコミュニケーションを成立させることができるという奇跡的なスタイルだと気が付きました。

〝ELDERLY ROCK FUN(初老ロックオヤジ)〟の知りうる範囲では、スタジアムで、1対1のコミュニケーションを成立させることを成し遂げたのは、密室性を強く感じさせた、ピンク・フロイドのロジャー・ウォーターズとプリンスという偉大なるレジェンドしかいないと思います。

この2組のミュージシャンも人間の暗部を描き、その暗部に飲み込まれる恐怖感を描きましたが、同時にそれが人間であり、それを肯定し、愛を歌ったスタジアムミュージシャンだと思います。
ひとり部屋でレコードに耳を傾けても、スタジアムで体験しても同じ感覚で聴くことができます。
(残念ながらわたしは、ロジャー・ウォーターズ、ピンク・フロイドは映像でしか観たことがありません)

この国では、洋楽ファンというのは、現在、絶滅危惧種だそうです。
音楽は自給自足しているということなのでしょう。

たしかに、洋楽のチケットをゲットすることは難しいことではありません。ここ数年で、チケットをゲットするのに苦労したのは、クイーンとU2。幸運なことに最終的にはチケットをゲットし、素晴らしいステージを堪能しました。

しかし、1枚だけどうしてもチケットがとれなかったミュージシャンがいました。

それはあなたです。

コンサートは一人でいくことにしているので、非常に楽観していたのですが、あなただけはどうしてもチケットが取れませんでした。
あなたのファンの多さに驚きました。

この時世で、来日が、中止になったのは、非常に残念でしたが、あなたが、世界中のファンに、配信ライブという新しいフォーマット、プラットフォームを実現してくれたことは、チケットがゲットできなかっただけに、有難い経験でした。

ありがとうございます

構想が練られて、あまりに素晴らしく、映像とライブ感が融合し、平面の映像なのに、三次元に感じる映像には驚きました。

あまりに見事すぎたので、これは、完全に事前収録で、映像を編集したのだと思っていましたが、完全、ライブ再現だと報道されているのを読み、驚愕しました。
どれほどのリハーサルをしたのでしょう。

アーカイブがあり、時間の許す限り、何度も観ましたが、途中再生が可能な配信ライブのアーカイブで、最初から最後まで、途中再生ができなかったのはあなたのライブだけでした。
完璧なストーリーを体験してほしいというあなたの強いこだわりを感じました。

できれば、もう一度実現するか、DVDなどでの発売を強く願っています。
世界中で配信ライブが繰り広げられていますが、私は、配信ライブは、配信ライブという新しいメディアあるというこだわりのある演出が相応しいと思います。そのスタイルのライブが私には興味深く思えます。実際のライブでは体験できない楽しみ方が面白いと思います。昨年の配信ライブの世界的な成功例が、BTSとデュア・リパ、そしてあなたであった事実がそれを観客が望んでいることを証明していると思っています。(話がそれますが、BTSが全米ナンバー1を獲得したということは大きな衝撃でした。世界と勝負しているだけで素直に驚いてしまいます。一過性のことだと思っていましたが、多数の一流ミュージシャンと共演していることからして、その実力とセールスがすでにワールドクラスであることを想像するのは簡単なことです)、

このコロナ禍が過ぎ去り、コロナとの共存の時代がきたら、是非、来日を再考してください。
わたしにもチケットがとれるように、横浜アリーナという会場ではなく、もう少し広めの会場でお願いします。

最後尾から、静かにあなたのライブを堪能したいと思います。
わたしにも生のライブを体験させてください。
きっとあなたと同世代のファンの熱唱をうるさいと思うでしょうが、時代の目撃者になることを願っています


今更ながら、最近、ビヨンセのHOMECOMINGを観ました。完璧なエンターテイメントショーでした。唖然としました。血が逆流するような興奮でした。

それは、徹底したエンターテイメントでありましたが、同時にブラックパワーを強調した政治的なショーでした。

ビヨンセが、このコーチェラフェス後に、より政治性を強めて、自らのルーツであるアフリカを意識したグルーヴ、サウンドになり、静かな怒気を感じる抑え気味のボーカルの作品に繋がっているということは、想像力の乏しい〝ELDERLY ROCK FUN(初老ロックオヤジ)〟の後付けの理屈ですが理解できました。

熱唱型の圧倒的なボーカルと極限まで鍛え抜かれた肉体によるダンスをみせるビヨンセはあなたと対局の表現スタイルともいえますが、その政治性、メッセージ性は共通しています。

配信ライブで、10代のあなたが、大統領選挙への投票、そして世界の諸問題に対する問題提起をし、政治的なメッセージをはっきりと発信したことは、あなたの表現者として矜持だと思います。その重みをあなたはだれよりも認識していましたし、それでも発信したあなたに感動しました。



あなたがみせる、日常は普通の女の子としか思えません。
わたしが、この映画で涙した個所は多々ありましたが、最も涙した場面を記述して、この文章を終わります。


ヨーロッパ、ミラノのステージ。あなたが、飛び出し、足を怪我して、ステージをおり、バックステージに戻ります。

そこで、あなたは、自分のミスを嘆き、ステージには上がれないと涙します。
しかし、スタッフに励まされ、あなたは、ギブスをするという応急処置をして、ステージにもどります。そして、ファンにジョークを交え、謝罪し、ステージを続けます。

が、その後、その怪我は、靱帯損傷という大けがであることがわかり、あなたは、プロフェッショナルにはゆるされないと、肉体改造に取り組みます。あなたが背負ったものの重さと、それを引き受けたあなたのプロフェッショナリズムを象徴するものだと思っています。



ラジオで曲がかかったとはしゃいでいた少女は、現在はスーパースターとして、重みを背負いました。
わたしには、そのプレッシャーの想像もできませんが、仮にあなたのような才能があっても引き受ける勇気もありません。
政治的な発言などすることもないでしょう。

今年の新作でアルバムが何を表現してくれるのか、今から楽しみでなりません。
来日をあなたのメッセージを待っています。

そして、あなたを支える家族、スタッフに支えられて成長するあなたをこれからも〝ELDERLY ROCK FUN(初老ロックオヤジ)〟は応援しています。

ロッキング・オン掲載前に自分なりのレビューを書いてみました(了)
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