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エレファントカシマシ宮本浩次がくれたもの

初心者エビバデの想い

エレファントカシマシ宮本浩次さんが芸術選奨 文部科学大臣賞に選ばれた時、私はアルバム「生活」を聴き始めていた。

「ロマンス」から宮本浩次さんを聴き始め、先輩エビバデに勧められた「ROMANCE」「宮本、独歩。」「All Time Best Album THE FIGHTING MAN」を聴いた。

その中でガストロンジャー、奴隷天国、デーデ、花男は衝撃だった。あの優しい声で「あなた」を歌っている宮本さんからは想像できない歌声だった。しかし、エレファントカシマシのフロントマンである宮本浩次としてはそれが彼の芯をなすものであると思った。

そして、エピ期と言われるアルバムを買い始めたが、「生活」の楽曲は単独で聴けても通して聴くのは覚悟がいると思った。

アルバム「東京の空」を聴いた時どうしても全体が消化できなくて、やはり後回しにした「生活」を聴かなければいけないと思った。

「生活」は1990年9月1日発売。現在から31年前宮本浩次さん23歳の時の作品である。「男は行く」を聴いたことはあるが他の曲はほぼ初聴きだった。最初に聴いた日は晴れた日だった。「晴れた日で良かった。」と心底思った。

それほど「生活」は暗かった。「男は行く」も威勢よく始まるが「ああ 青蠅のごとく小うるさき人達よ 豚に真珠だ貴様らに 聞かせる歌などなくなった」という一節で宮本さんは視聴する者を切り捨てようとしていた。

しかし、このアルバムにあるのはエレファントカシマシ宮本浩次さんの底まで落ちてもがく様と共に、彼のLiveでの歌唱のように最大限に身を縮めてそこから繰り出されるジャンプやファルセットのように無限の可能性を秘めた歌声やメロディーラインと歌詞だった。

何回も通して聴いていると「男は行く」の中の「さとりすましたこの身には」のくだりの若き宮本浩次さんの素顔の声が聞こえる。「凡人-散歩き-」で突き詰めていく若さ故の自己否定。「too fine life」で見せた間奏でのファルセットの美しさ。「偶成」のメロディーラインの美しさとそれに対比する「俺はこのため生きていた ドブの夕陽を見るために」という強烈な一節。私見だがこの時期の宮本さんの比喩的な世間そのものだろう。

「遁生」の絶叫で歌われる厭世感がひときわ身に染みた。「生活」とは無限にあって若き宮本さんの考える生活は華々しく世間に認められる事だったのだろうか。しかし、遁生の中には若き宮本さんに問う「誰か」がいる。「貴様」と呼びかけられる「誰か」がいる。そして、この曲でもファルセットが生きている。「お前はなぜに生きている」「小さき花を見るために。」の表現の美しさ。

「月の夜」の月と太陽の対比としての歌。そして、歌声が高音と低音を行き交う。

「晩秋の一夜」の虫の音を思わせるアコースティックギターとオルゴールのようなピアノの音と終盤の宮本浩次さんの絶唱がとても美しくて心を打たれる。

23歳のエレファントカシマシメンバーと宮本浩次さんのその時代を切り取った「生活」

そして、全曲が絶叫で歌われる。お洒落じゃない。けれど、この時代誰が絶叫できるのか。隣を気にして世間を気にして絶叫などできない。それをエレファントカシマシ宮本浩次さんはやってくれている。

小声でしかも相手に解るように思いやりを持った会話を繰り広げているが、時に叫びたい衝動に駆られる時がある。それをやってくれている、自分を曝け出しながら。自分も叫んでいいんだ、嫌な事があれば閉じこもっていいんだという肯定をくれるアルバム「生活」




今の宮本浩次さんと繋がる名盤と呼ばれる理由がよくわかる。

芸術選奨 文部科学大臣賞受賞おめでとうございます🎊🎊
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