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世界の終わりは始まりだし、やっぱり終わりだった

アベフトシと、ミッシェル・ガン・エレファントという宝箱

世界の終わり。
ミッシェル・ガン・エレファントのデビュー曲であり、解散前ラストライブの1番最後に演奏した曲。
幕張メッセで大勢のファンとともに高らかに世界の終わりをかき鳴らしている彼らの映像を観ていると、得も言われぬ感情の波に押し潰された。

ミッシェル・ガン・エレファントの音楽は、純度の高すぎるロック。無駄を排除した純度の高さではなく、純粋という意味での純度。その一点だけの、その一音に全てを込める。だからこそ、焦りや生き急いでる感じがするのか。今を生きているから、その一点にしか存在しないから、その点にミッシェルの全てが詰まっているから儚い。

ミッシェルのことを考えると、歌詞、行動、言葉…意味を突き詰めて考えて、たった一つの原点に辿り着くなんてことばかり。
1996年(詳しくはもっと前だが、メジャーデビューから計算した)~2003年に活動していた4人組のバンド。それだけ。
楽器があるから音を出す。カッコ良い曲を作ったからレコードを出す。楽しいからライブをする。それだけ。
そんな純粋な想いを貫き通して活動している強さや清々しさは、ミッシェル・ガン・エレファントの最大の特徴なのではないか。


少し速いテンポのギターで始まった世界の終わり。もちろん、終わりを告げる合図を出すのは、アベフトシである。
アベさんのギターの弦が切れた時の考察は出来ないけれど、ソロはかなり痺れた。
ボレロを織り交ぜた「泣き」の音。アベの悲痛な叫びを代弁しているようにすら聴こえる。野性味ある表情はバンドマン・アベフトシのプライド、誇り高さを全面に魅せる。しかし、時折見せるミッシェルがなくなってしまうことを悲しむような、少しぶすくれたような切なげな表情もまた美しかった。演奏中はイっちゃってるはずなのに、何かを考えながら弾いているのだろうというギャップが悲しかったし、それ以上にこの世の何にも代えがたいほどに綺麗だった。

そして、チバさんがステージを去っていくときの下降音型に全てが込められている気がして心がはち切れそうになった。ミッシェルの全ての活動や思い出、ファンへの想いをアベさんが宝箱にひとつひとつ大事そうに収めていくように感じたのだ。そしてあの名MC「ありがとう」で、宝箱にそっと鍵をかける。ギターを置いて客席に向き直ったアベさんの表情には、宝箱を閉じてしまった一抹の寂しさと、ミッシェルでいられたことへの誇りや嬉しさが込められているようだった。
ミッシェル・ガン・エレファントという物凄いバンドが存在した証を、それがずっとずっと続いていくように祈りながら、頑丈に鍵をかけた。

世界の終わりは何かの始まりを暗示するようなメロディではあるものの、ミッシェルはそこで終わった。
それが彼らの新たなスタートになろうと、そうではなかろうと、終わりは終わり。
ただ、それだけ。

あの時メンバーは何を思ってたのだろうとか、なんで解散してしまったのだろうとか、考えれば考えるほど悲しくなるし意味も無いから、私も純粋に彼らを浴びる。
ただミッシェルが好きだから、ミッシェルを聴き続ける。


アベさんが宝箱に鍵を掛けてからー
ミッシェルが解散してから8年後、私はふと、たいそうな宝箱を見つけてしまった。
なかなか一筋縄では開かない宝箱。その中からはかすかに、けれどもだいぶ確実にカッコいいサウンドが漏れ出ていた。そして今でもその音をもっと感じるべく、開かない開かないとウンウン言いつつ鍵と格闘して10年経った。
アベさんが課した開かない宝箱のミッションは私には到底クリア出来無いけれど、そんな駆け引きも、また一興。
「アベさんったら、まったく」なんて思いながら、今日もミッシェル・ガン・エレファントを聴く私。


そして今日もどこかで誰かが宝箱を見つけ、音を聴こうと、アベさんが閉じたフタを開けようと、ミッシェルの虜になっているのだろう。
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