4729 件掲載中
この数字はTwitterやFacebookでのリツイート・いいねなどの反応数を合算して算出しています。

大人の言うこと、分かる?

CHVRCHESが時を越えて教えてくれたこと。

最近どうも、大人の言うことが分かってきた。

安く沢山食べるより、ちょっといいものを少し食べたい。
観葉植物の成長に癒される。
そして何より、時間の流れが早く感じる。

そう実感したのは、CHVRCHESのファーストアルバム”The Bones Of What You Believe”の発売からもう8年が経とうとしているから。当時15歳だった自分は、ラジオから聴こえてきた”Gun”に心を奪われた。あの軽くて抜けるようなイントロから、ローレンの芯の強さと華やかさが同居するヴォーカル。そのまますぐにお小遣いを持って、アルバムを買いに行ったのを覚えている。

先日、リニューアルオープンしたハリウッドにあるアメーバミュージックで、レコードをディグっていたら、その時の感動が走馬灯の如く蘇っていた。なぜならそのアルバムがセールの棚に眠っていたから!シンプルだけど、何か物語を想像させるあの赤いアルバムジャケット(これを背中にプリントしたパーカーが欲しい!)が目に飛び込んできた。もちろんカゴに直行。周りの人に取られないように、ちょっと隠しながら(The自意識過剰)。

このアルバムを通して聴くのは、もう何年ぶりだろう。
そんなことを思いながら、ターンテーブルにレコードを乗せる。CHVRCHESの他のアルバムはもちろん好きで全て聴いてきたし、”Love Is Dead”なんてエレクトロをよりポップに、多くの人に届けやすくした傑作だと思う。でもやっぱり、初めて惚れたこいつは特別なんだよなぁ。

A面とB面で別れるだけで、こんなにもドラマチックに聴こえるのか!!!

このアルバムはレコードで聴く為に作られたんじゃないだろうか。
そんなことすら思った。

正直なところ、”Tether”や”Lies”はスキップしがちな曲だった。でも不思議なことに、レコードで聴くとその音圧は心地よく、決して圧迫感のない丁度良いスケール感だった。
アルバムを通して特徴的なチープなシンセサイザーは、レコードで本領発揮するらしい。強くて鮮やかだった全体の印象が、柔らかくて、暖かみのある印象に変わった。

窓が開いて光が差すような、一曲目”The Mother We Share”のイントロ。そこからみるみる光を増すように、眩しく輝き始める。

15歳の時に感じていた、あの高揚感。
時間は無限で、日曜日に友達と、朝からカラオケのフリータイムに行って、帰りに吉野家で牛丼を食べるのが楽しみだったあの頃。
自転車に乗って、夕陽を浴びるのが好きだったあの頃。最後にしっかり夕陽を見れたのはいつだろう?
ロサンゼルスを夢見て、必死に英語を勉強していたあの頃。

A面最後の曲、”Under The Tide”で、Martinが鼻歌のように歌う”Are you really happy?”って一節は、頭の中をぐるぐる回った。

A面が陽だとしたら、B面は確実に陰の印象だ。

語り掛けられたと思ったらいきなり始まる”Recover”、そこから一気に影を落として、ドラマチック度で言えばNo.1の隠れ名曲”Night Sky”。シームレスに”Science/Visions”に繋がって、アグレッシブな匂いがするところにCHVRCHESの「ワシらの本気見せたろかぁ!」という声が聞こえる(ような気がする)。”Lungs”(肺)と”By The Throat”(喉)という流れよろしく、”Lungs”で吸った明るい煙を、”By The Throat”で吐き出して物思いにふける流れ。このセンスに脱帽しながらも、彼らはキメたりするのかなぁとふと思う(多分しない)。最近のThe 1975感が既にある”You Caught The Light”は、物語のエンディングとして完璧な一曲。Martinの歌声ってどうしてこんなに切なくて、無力感があるのだろうか。歌いながらも、心は別のことを考えているような。掴み所のない彼の魅力に気づいた人たちは、このアルバム発売当時から今じゃ相当いるだろう。

余計な力が抜けていくのと同時に、レコードは止まった。
挑戦的で、実験的。かつ信念が見える歌詞のアルバム全体の構成。1作目ならではのある種「捨て身の強さ」が感じられた。売れ線などとは程遠い、彼らの強い姿勢。
そして一瞬だけど、15歳の頃にタイムスリップして思った。

大人の言うことなんて、分かってたまるか。
その勢いのまま、あの頃の感覚と興奮を掴み取るように、夕陽に染まるロサンゼルスのYOSHINOYAに向かった。
  • 投稿作品の情報を、当該著作者の同意なくして転載する行為は著作権侵害にあたります。著作権侵害は犯罪です。
  • 利用規約を必ずご確認ください。
  • ハートの数字はTwitterやFacebookでのリツイート・いいねなどの反応数を合算して算出しています。
音楽について書きたい、読みたい