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愚痴を聞きたい

星野源の音楽を聴きながら

 「今日こんな嫌なことがあってさあ」

 こんな言葉で始まる話に前向きなものは少ない。
 かつて母は僕に「愚痴を人に言うのはやめなよ」と教えた。愚痴を聞く側は気分が悪くなるし、マイナス思考は良くない。くだらない愚痴を話す人間には友達なんかできやしない。母の教えはストレートで、汚れのない正論だ。

 でも不思議だなと思う。それは自分が愚痴を聞く側になったときのこと。

 知り合って間もない相手の口から初めて愚痴を聞いたとき、なんだか自分に心を開いてくれたような気がして嬉しくなることがある。こんな嫌なことがあった、こんなムカつくことがあった、というような一見ネガティブな話を聞いた時の方が、なんとなくその人の本質に触れたような気になる。

 愚痴を話してくれる人こそ、心許せる友達になったりするのだ。

 「君の癖を知りたいが ひかれそうで悩むのだ」
  昨日苛立ち汗かいた その話を聞きたいな」

 星野源さんの「くせのうた」を聴きながら、僕はいつもそんなことを考えている。

 弱みを見せるのは恥ずかしい。癖を知られるのも恥ずかしい。でも、相手の弱みや癖を知ることができたとき、なんとなく安心する。ああ、この人は友達になれそうだって、その瞬間に無意識に判断しているような気がする。あれ?ちょっと変態チックかな。いや、でも僕の場合はきっとそうだ。

 「暗い話を聞きたいが 笑って聞いていいのかな
  思いだして眠れずに 夜を明かした日のことも」

 一人暮らしのコロナ禍はつらい。しんどい。人と会えないのはやっぱりさみしい。
 音楽を聴いても、結局暇つぶしでしかない。それでも僕は空白を埋めるかのように音楽を聴いている。そして友達のことを思う。

 みんな元気にしてるかな。次会ったときはどんな愚痴を聞けるんだろう。
 ワクワクするポイントがやっぱり変態チックだな。なんて思いながら。夜明けまで。

「君の癖はなんですか?」
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